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複素数:写像の観点からの考察(1)

- 四則演算から調べてみる -

平面から平面への写像としての複素数の演算

複素数は平面だ。平面上の点に対して,平面上の点を対応させるきまりがあれば,平面内の図形,平面全体などがどのように写るかを調べてみるということは,「写像」としての性質を調べてみることになる。

四則演算について調べてみよう

複素数に関して,様々なものを写像の観点で調べることができるが,まず最初の出発点は四則演算であろう。なお,「差」に関しては「a - b 」は「a + (-b)」と考えられるので,「和」の一部として考えればよい。また「商」に関しては,「a/b」は「a * (1/b)」と考えられることと,GCでは「逆数(1/z)」があるので,「逆数」を考えればよいだろう。そういう意味で,最初の演算は,「和」,「積」,「逆数」とする。

調べてみる対象

基本的な図形として,次のものを取り上げてみる。

対象観点
直線直線性の保存
直角三角形直線性/長さ/角度/比
円の保存

GC/Win 1.3.0 以降の「シフト + 変形機能」は便利

これまでも「編集」機能の中で,直線や円の上に,点の動きを制限することはできた。しかし,多角形などはその設定を変更しながら行なうとか,キーボードで縦/横のみの動きなどをするしか手がなかった。
GC/Win 1.3.0 以降では,シフトを押しながら変形をするときのモードとして3種類のものを用意した。そのデフォルトは,近接の直線/円の上に点の動きを制限するというもので,要するに,三角形の上などに点の動きを制限することができる。
つまり,シフトを押しながら,矢印キーやマウスを押すことによって,上記のような対象の変換の様子を観察することができる。

データと主な結果

データ結果
直線
直角三角形

データ結果
直線
直角三角形

逆数

データ結果
直線
直角三角形

まとめと次の課題

上記の結果をまとめると,次のようになる。
変換の特徴直線直角
平行移動直線直角保たれる
拡大+回転直線直角保たれる
逆数?直角?保たれない

そして,このことから,複素数の和や積は,既知の変換を実現する演算として理解できると同時に,逆数は複素数独自の変換であると同時に,直線・円を円に写す,これまでにない特徴を持つ変換であることが分かる。
これらか,次のようなことが,次に調べるべき課題として登場する。 そこで,とりあえず,冒頭の課題を明らかにすべく,次の探究に進もう。