1.「変形」とは何か。そして,それに関連して,どのようなことに注意したり(仮説等),どのようなところを観察しながら,どういうプロセスをすることを想定しているのか。自分だったら,こういうことをする,このときに,こういう発見をする可能性がある,というような探究の流れを分析せよ。
「変形」するに値しそうな問題を具体的に選択し,何をどうしたら,どういうことに気づいたかを,「うまくいかなかったこと」も含めて,自分なりに記述してみよう。 一つの問題について,二人で考えるというのもいい方法である。(話し合いをする中で,「自分は何かを考えているのかが自然に客観化される。) |
今回のレポートの中で,基本的なことはかなり書かれているようにも思えますが,「数学的探究」としての「変形」と,「変形の学習をさせる上での注意事項」が混在しているように思います。もちろん,後者を明確化することも不可欠なのですけど,とりあえずは,前者を明確にすることに中心をおいていいように思います。
前者に注目したときに,
CADなどと作図ツールの違いという観点では,「条件を保ったまま変形できるように図形を扱うためには,図形のデータ構造をどのように設計したらいいか」という問題が出てきます。(これは開発上は基本的なテーマですが,関心がある人がいなければ,特に触れなくてもいいでしょう。)
条件を保ったまま「変形」するというときに,その「道具」を使いながら,一つの目的を持って数学的探究をするわけですが,どういう作業課題を持って,何を意識しながら,探究を進めるかということが,暗黙のうちにあるはずです。それがないと,むやみに図形を動かして遊ぶだけになります。
そこでの調べ方は一通りとは限りません。また,事例によって,適切な調べ方もあれば,そうでないものもありえます。(「ケーススタディの重要性」がここでもでてきます。)
そのような例の一つは,波多野君が挙げていることでしょう。
例えば、 「四角中点」の問題の場合、外の四角形が、一般の四角形、長方形、ひし形とする と、中の四角形はそれぞれ平行四辺形、ひし形、長方形になると思いますが、この とき「外の四角形の性質が変わると、中の四角形の性質はどう変わるか」について 観察するべきで、またそうするはずだと思います。さらに、ここでは外の四角形と 中の四角形、一般には「何」と「何」の間に一種の対応のようなものができていて、 その対応について考察していくことが必要であると思います。このような考え方は,他の問題に対して,どの程度通用する見方なのか。また,そういう取り組み方をする上では,どういうワークシートが「ソフト以外の教材としてあるといいのか」。また,実際に複数のソフトを使ってそういう作業をしてみたときに,どういう違いがあるのか等を分析してみることは,より臨床的にソフトの比較を行う上で,重要なことです。
上記の「変形」に関するリソースや,いくつかの事例をより深める方向で,次の課題を授業の中で見つけたみたいと思います。
2.Excelを「10分程度の練習」で使えるようになる,数学での使い方をいくつか挙げよ。 その使い方によって,「どのような集合の数学的探究」が可能になるのか。 その数学的探究は,既存のシステムでの処理とどういう面で共通し,どういう面で異なるのか。 その使い方によって,今まで実質的に不可能だったが,ある程度可能になるという例を挙げよ。 |
たとえば,一つの指摘として,
いま、10分程度の練習で覚えられることと言えば、 表をつくって、図を描くこと程度であろう。 その場合、従来の様に、グラフ用紙にグラフを描くことと、 どれだけ有益性があるだろうか?がありますが,それを具体的に「やってみる」ことが必要ではないでしょうか。もちろん,紙と鉛筆のときと比べて,ほとんど効果がない事例もあるかもしれません。しかし,多くの場合,現実はそれほど単純ではないのです。微妙な部分でいろいろな変化があるのです。それを明確に捉えるということが,「ケーススタディ」として不可欠な要素だと思います。
もし、あくまで生徒一人一人がコンピュータを操作する形態で、 Excelを用いた数学教育を目指すのであれば、 生徒に対する操作性や現場の教師の授業中の負担を考えれば、 マクロ等でインタフェイスをカスタマイズするのが最善と思う。 ただし、マクロ等でのカスタマイズは、現場の教師一人一人が行うのは、 授業前の準備での負担が大きい。 したがって、その部分は業者に委託することになろう。 当然、その場合は、コストの問題が出て来て、おいそれと実行は難しくなる。という指摘があります。Excelの使い方を何らかの形で工夫するようにする必要はあるでしょう。しかし,インタフェイスをマクロ等でカスタマイズするまでの必要があるのかどうか,個人的には多少疑問です。つまり,入り口はもっと簡単に,
有効なブック(あるいはワークシート)を用意しておいて,それをちょっと変更して使う
という程度でいいのではないかということです。
なかなか例が出ないので,いくつか挙げます。
他にも,使えるところはいろいろあると思いますが,上記のような例の中のどれかについて,実際にワークシートを作り,それを使うことで,どういう数学的探究が生まれるのかを,もっと具体的に分析してみましょう。
笹根さんに限らず,「関数」について取り組みたい人は,この方向性で少し調べてみてください。
「3.GCのユーザーインターフェイスの特徴に関して分析せよ」の続き |
操作互換性に関する議論は,面白い部分がいろいろありました。また,川口さんの指摘にある
、GCで気になったことは、まちがった操作を行なうとアプリケーションが強制終了してしまうことである。ユーザにとっては、突然の強制終了は非常にむかつくものである。エラー処理をもっと柔軟にすべきである。というのは,もっともなことです。私自身もそういう目に何回もあって「むかついている」人間の一人です。
「4角中点」の作図に関して,比較・分析をしてくれましたが,同様のことを,少し続けてみることが,いいのではないかと思います。そういう意味で,「1」と「3」に関しては,課題の方向性を集約する方向で考えてみようかと思います。
具体的な問題の選択は,授業の中で検討しましょう。