5/28(数学教育方法論 I)


お仕事


今回のレポートに関連して

1.「変形」とは何か。そして,それに関連して,どのようなことに注意したり(仮説等),どのようなところを観察しながら,どういうプロセスをすることを想定しているのか。自分だったら,こういうことをする,このときに,こういう発見をする可能性がある,というような探究の流れを分析せよ。

「変形」するに値しそうな問題を具体的に選択し,何をどうしたら,どういうことに気づいたかを,「うまくいかなかったこと」も含めて,自分なりに記述してみよう。 一つの問題について,二人で考えるというのもいい方法である。(話し合いをする中で,「自分は何かを考えているのかが自然に客観化される。)

今回のレポートの中で,基本的なことはかなり書かれているようにも思えますが,「数学的探究」としての「変形」と,「変形の学習をさせる上での注意事項」が混在しているように思います。もちろん,後者を明確化することも不可欠なのですけど,とりあえずは,前者を明確にすることに中心をおいていいように思います。

前者に注目したときに,

ということが,共通して指摘されているように思います。

CADなどと作図ツールの違いという観点では,「条件を保ったまま変形できるように図形を扱うためには,図形のデータ構造をどのように設計したらいいか」という問題が出てきます。(これは開発上は基本的なテーマですが,関心がある人がいなければ,特に触れなくてもいいでしょう。)

条件を保ったまま「変形」するというときに,その「道具」を使いながら,一つの目的を持って数学的探究をするわけですが,どういう作業課題を持って,何を意識しながら,探究を進めるかということが,暗黙のうちにあるはずです。それがないと,むやみに図形を動かして遊ぶだけになります。
そこでの調べ方は一通りとは限りません。また,事例によって,適切な調べ方もあれば,そうでないものもありえます。(「ケーススタディの重要性」がここでもでてきます。)

そのような例の一つは,波多野君が挙げていることでしょう。

例えば、 「四角中点」の問題の場合、外の四角形が、一般の四角形、長方形、ひし形とする と、中の四角形はそれぞれ平行四辺形、ひし形、長方形になると思いますが、この とき「外の四角形の性質が変わると、中の四角形の性質はどう変わるか」について 観察するべきで、またそうするはずだと思います。さらに、ここでは外の四角形と 中の四角形、一般には「何」と「何」の間に一種の対応のようなものができていて、 その対応について考察していくことが必要であると思います。
このような考え方は,他の問題に対して,どの程度通用する見方なのか。また,そういう取り組み方をする上では,どういうワークシートが「ソフト以外の教材としてあるといいのか」。また,実際に複数のソフトを使ってそういう作業をしてみたときに,どういう違いがあるのか等を分析してみることは,より臨床的にソフトの比較を行う上で,重要なことです。
(たとえば,マウス/キーボードの件も,そのようなことがある程度関与しています。)

さて,上記のような内容に関して,関係すると思われるリソースとして,次のようなものを作りつつあります。

上記の「変形」に関するリソースや,いくつかの事例をより深める方向で,次の課題を授業の中で見つけたみたいと思います。


2.Excelを「10分程度の練習」で使えるようになる,数学での使い方をいくつか挙げよ。
その使い方によって,「どのような集合の数学的探究」が可能になるのか。
その数学的探究は,既存のシステムでの処理とどういう面で共通し,どういう面で異なるのか。
その使い方によって,今まで実質的に不可能だったが,ある程度可能になるという例を挙げよ。