GCマニュアル : 変形
0. 「フロッピィを入れて電源をいれて起動」
「変形」そのものとは関係ないですが,GC/DOSのような,DOSのソフトでは,「起動が簡単」なども一つの特徴なので,簡単にまとめておきましょう。
最近は,Windows95/98 などが普及したため,ソフトの「起動」一つでも,結構大変なことがありますが,その点,DOSのソフトは簡単です。GC/DOS のように,フロッピィ1枚ですべての環境が整ってしまうものは,
フロッピィを入れて電源を入れる
だけで,いつでも同じ画面に到達することができるわけです。生徒の人数分のコピーは面倒などというデメリットもありますが,これは一つのメリットだと思います。
1 基本は6つのキーだけ
基本的には,次の6つのキーだけで使えます。
+-ESC +-矢印キー
+-+-----------------+-----+
|+++ | |
|+-+ ++ | |
| || ↑ ++|
| キーボード ++←↓→ ++|
+----------------+-------++
+-------+---ENTER キー
(RETURNキー)
(実行キー )
Geometric Constructor(DOS,Win の両方とも) では,メニューの利用と,変形などでの移動などの使い方が主ですが,キー操作は,
キー +-←↑↓→:メニュー選択,点などの移動の方向
(6つ)| リターン:メニューの決定
+-Esc :現在の作業の終了,元のメニューへ
というのが,基本的な役割となっています。
最低限のことは,この6つのキーだけで済ませることができます。それ以外のキーを使えることもありますが,その場合,画面の下側に表示されます。
2 マウスも使える
また,Geometric Constructor は,マウスを使うこともできますし,マウスだけでの利用も可能になっています。その機能は,基本的には,
マウス+-左ボタン (人指し指) : 選択あるいは実行 (リターンキー)
+-右ボタン : Esc キーと同じ機能
と思っていただければいいでしょう。
なお,マウスを使えるようにするには,実行用のフロッピィで若干の設定が必要なことがあります。
3 「4角中点」という例を読み込み,点Aを動かしてみよう
手続きの概要(DOS版)
- まずは,「例」を選択し,その中から「4角中点」というのを選びましょう。
- そして,「変形」を選びます。
- 「○」で表示されているのが,「動かせる点」です。
- それらの中から,実際に「動かす点」を選びます。
- キーボードならば,↑と↓で候補を変え,リターンキーで決定します。
- マウスならば,近くに行って,クリックすると,候補が変わり,
- もう一度クリックすると,それで確定します。
- そうしたら,矢印キーを押してみましょう。その方向に点Aが動き,図形全体も変形します。
- マウスの場合,マウスの矢印を動かして左ボタンをクリックすると,その場所に点Aが動きます。左ボタンを押したままにして,矢印を動かすと,連続的に変形するような様子となります。
- 変形を終わりにするには,
- キーボードならば「Esc」を押す
- マウスならば右ボタン(中指)を押す
注意(DOS[98]版)
- 98の場合,普通はマウスの矢印が表示されません。これは,98のマウスドライバの機能のためだと思われます。画面の美しさ(滑らかさ)よりも,矢印表示を優先させたい場合には,メニューエディタを起動させ(シフト+F10を3回),「変形」に割り当てているコマンドを,DEFMからDEF2に変更し,使う画面を1つだけに限定すれば,矢印を表示することができるようになります。)
- 一般に,「標準メニュー」に戻りたいときには,このESCを何回か押せば戻ります。
手続きの概要(Windows版)
詳しく
- まずは,メニューの中の「ファイル」をクリックします。
- 「例」を選択し,その中から「4角中点」というのを選びましょう。
- まずは,「例の読み込み」を選択し,「sample.gc4」というディレクトリィを選択し,その中から「4角中点」というのを選びましょう。
- ネットワーク対応の環境設定がしてあれば,ここをクリックしてデータを呼び出してもいいです。
- そして,「変形」を選びます。
- そのための最も基本的な手続きはメニューの中の「変形」→「一点を動かす」です。
- 図形が表示されている状態で画面をクリックしても,その状態になります。
- 「○」で表示されているのが,「動かせる点」です。
- それらの中から,実際に「動かす点」を選びます。
- キーボードならば,↑と↓で候補を変え,リターンキーで決定します。
- マウスならば,近くに行って,クリックすると,候補が変わり,
- もう一度クリックすると,それで確定します。
- そうしたら,矢印キーを押してみましょう。その方向に点Aが動き,図形全体も変形します。
- マウスの場合,マウスの矢印を動かして左ボタンをクリックすると,その場所に点Aが動きます。左ボタンを押したままにして,矢印を動かすと,連続的に変形するような様子となります。
- 変形を終わりにするには,
- キーボードならば「Esc」を押す
- マウスならば右ボタン(中指)を押す
注意 : GC/Win の 「Windowsソフトらしくないマウスの使い方」
- GC/Win は GC/DOS となるべく同じ操作で使えるようにしているため,マウスの使い方が,いわゆるWindowsソフトの標準的な使い方と違う部分があります。他の作図ツール(カブリ,SketchPadなど)や,図形に関するソフトとの違いに注意してください。
- 多くのWindowsソフトでは,マウスをある対象に近づけると対象を認識し,たとえば色を変えたり,メッセージを表示したりします。そして,「クリックを1度すれば」それを選択したことになります。
- 一方,GC/Winでは,「候補変更」のためにクリックを1回,「選択」のためにクリックを1回の合計「クリック2回」が標準です。
- このようになっている背景には,次のような事情があります。
- GCではマウスとキーボードを全く対等に扱っている。
- 作図ツールの場合には,いくつかの点/直線/円等が(同種のものあるいは異種のもの)が重なっていることが多いため,他の図形ソフトでの対象の選択と違う側面がある。作図ツールのそれぞれで使い勝手はそれぞれ違う。
4 練習問題
(事前の設定がしてあれば,)図をクリックすると, GC/Winが起動し,図を表示します。
| 点 E を動かしてみよう。
E,F,G,H にどういう関係がありそうか。
|
| 点 D を動かしてみよう。
点 A も動くが, それは点 D での結果がかなり分かってからの方がいい。
|
| 点 A,B,C,Dを動かしてみよう。
ABCDがどんな形のときに, EFGHがどんな形(状態)になるだろう。
ABCDの候補 : 長方形, 正方形,
|
| 点 E を動かしてみよう。
|
| 点 D を動かしてみよう。
|
5「変形」の数学的な意味
日常的な意味での変形というのは,「移動」を指したり,あるいは,「つぶす/のばす」というような「変形」を指すことが多いと思います。
しかし,作図ツールによる「変形」というのは,かなり意味が違います。
点A,B,Cが決まればΔABCが決まる
そして,
点A,B,Cが変わればΔABCは変わる
というのが,数学的な作図の(関数的な)意味であると考えると,そういう関数的な側面を,実際に,ソフトを使って実感(実験)できるようにしたのが,作図ツールだと言えるでしょう。
また,別の側面としては,次のようなことが言えます。
数学的な命題は,個々の数学的事実関する記述ではなく,ある集合に関して成立する,一般的な命題である。
という認識があります。たとえば,
四角形ABCDの4つの辺のそれぞれの中点を結ぶと,平行四辺形になる
という命題は,その命題の横に示されている「特定」の四角形に関する記述ではありません。「すべての」四角形について成立する命題です。しかし,紙に描いた図は,「一つ」です。それが「一つ」ではなく,集合の要素であり,その集合のいろいろな要素を実際に実感(実験)できるようにしてくれるのが,作図ツールということもできます。
6 対応表による補助
いろいろと動かすと,いろいろな現象を観察することができます。しかし,次の段階では,それを「組織的」に行うことが必要です。特に,動かせる点が複数ある場合には,「適当」にやっては,「モレ」等が出てきます。
それを防ぐようにするためのの一つの方法は,
どういう場合を考えたらいいか
を意図的に扱うことでしょう。たとえば,「4角中点」であれば,どういう四角形について考えるか,等を,表にしてワークシートとして用意する(どういうワークシートが適切かを吟味する)ことが有効です。
対応表の例(1)
ABCDがどういう形のときに,EFGHはどういう形になるか。
表の右側を埋めよう。
ABCD | EFGH
|
---|
正方形 |
|
長方形 |
|
ひし形 |
|
平行四辺形 |
|
等脚台形 |
|
たこ形 |
|
台形 |
|
一般の四角形 |
|
(こちらは,四角形ABCDをそれぞれの形にしてみたときの結果を埋めればいいだけなので,作業は簡単に行えます。)
対応表の例(2)
ABCDがどういう形のときに,EFGHはどういう形になるか。
表の左側を埋めよう。
ABCD | EFGH
|
---|
| 正方形
|
| 長方形
|
| ひし形
|
| 平行四辺形
|
| その他
|
(こちらは,四角形ABCDをいろいろな形にしてみたときに,四角形EFGHがどうなるかを調べるので, ABCDについて,どういう調べ方をするのかを意識しておく必要があります。そういう意味で,対応表(1)で得られた結果をさらに詳しく調べたい(表1の左側にはないような場合についても調べたい,というような場合に使うことになるでしょう。)
7 「線分」を動かす
たとえば,「4角中点」で「いつでも長方形」というような変形をしたいという場合には,通常の「変形」はあまり適切ではありません。
という2段階が必要になってしまい,「長方形のままで変形する」ことにはなりません。
それに対処するには,
「変形(複数の点)」
を使ってください。たとえば,A,Bの2つの点を指定すると,それらが同時に移動するので,線分ABを動かすことになります。
手順の概略
- まず,「変形(複数の点)」を選びます。
- 「○」で表示されているのが,「動かせる点」です。
- それらの中から,実際に「動かす点」を選びます。
- キーボードならば,↑と↓で候補を変え,リターンキーで決定します。
- マウスならば,近くに行って,クリックすると,候補が変わり,
- もう一度クリックすると,それで確定します。
- 続いて,他に一緒に動かす点を順番に指定します。
- たとえば,「線分 AB 」を動かしたい場合には,A,B を指定すれば十分なわけですが,「第三の点」を要求してきたら,「Esc」を押します。これで,「動かす点の指定」が終了です。
- そうしたら,矢印キーを押してみましょう。その方向に点 A,B が動き,図形全体も変形します。
- マウスの場合,マウスの矢印を動かして左ボタンをクリックすると,その場所に点Aが動き,それに点 B が付随して動きます。左ボタンを押したままにして,矢印を動かすと,連続的に変形するような様子となります。
- 変形を終わりにしたいときは,ESCを押せばいいでしょう。
8 特定の直線・円上などを動かす
点 A を一定の方向に動かしたいという場合,上下/左右の方向に動かしたいのであれば,簡単です。つまり,キーボードの上下左右キーを使えばいいわけです。
しかし,斜めの直線や,円の上で動かしたいという場合には,
- マウスを使って,アバウトな結果を出す
- 「編集」機能の「点の動きの束縛」を使う
のいずれかの方法を使うことになります。
9 変形における キーボード vs. マウス
基本的には,
- キーボードだと,ぴったり上下/左右,一定距離,にすることができる。
- マウスでは,アバウトに「この辺」ということを調べやすい。
- しかし,キーボードでは,斜めなどに動かすには,不自然になる。
- マウスだと,「ぴったり」というのは,なかなか難しい。
- 遅い機種の場合,マウスの方がいいことが多い。
- 速すぎる機種の場合も,マウスの方がいいことが多い。
もっと詳しいこと(マニュアルより)