愛知教育大学 数学教室
飯島康之
問題状況
四角形ABCDの4つの角の二等分線を引き,それらの交点をそれぞれ E,F,G,Hとする。
四角形ABCDを変形させると、中の四角形EFGHはどのように変化するだろうか。
[いろいろな探究]
ABCDが平行四辺形の場合について調べてみると
-ある学生の気づきの記録-
(1995年か1996年の)愛教大の3年生の授業で,池田君,宇佐美君たちが,次のようなことにこだわり,面白いことを発見しました。そして,それを出発点にすると,次のようなことが分かりました
- ABCDが平行四辺形のままで変形すると,EFGHとABCDが接するときは,E,GがそれぞれAD,BCの中点になりそう
- 接しない場合でも,直線EGとABCDとの交点を調べると,AD,BCの中点になりそう(4点に共線性がある)
- この共線性はABCDが台形等になるとくずれてしまう
- だが,AB,CDを延長してみると,直線EGとAB,CDは一点で交わる(共点性)ことがわかる
- この交点をPとすると,GはΔPADの傍心,EはΔPBCの内心であり,∠Pの二等分線上にあることが分かる。(だから共点性が成立する)
- 逆に考えると,池田君たちが注目した事実は,Pが無限遠点になったとき, AB//CDになると同時に, ∠Pの二等分線の極限としてのEGが残っていることを示している。だからこそ,AB//CD//EGであり,二つの点から等しい距離にある点の集合であるから,AD,BCの中点を通るのである。