研究のねらいと経過


1 研究のねらいと経過

(1) ねらい

中学校部会の研究のねらいを「教科学習におけるコンピュータ活用の研究」と設定した。このねらいは本研究委員会で継続されてきたねらいの一つである。

今までの研究では,各学校の実践を持ち寄り,それを委員で検討し,指導案や実践記録の形式で研究報告書にまとめることにとどまっていた。これは委員の構成上,また研究会開催の日程上,考えられるベストの形であり,発行されてきた報告書の内容も意義深いものが多い。

しかし,発足からほぼ10年が経つ研究会を考えてみると,本年度も引き続き同様なアプローチをしたのでは,今までの研究会の成果以上のものをさらにあげることは正直難しい。新たなアプローチで研究主題「教科学習における活用の研究」に迫りたい。

(2) 新たなアプローチ

「研究」という言葉に忠実であれば,仮説を持ち,それにしたがった研究・実践がなされ,振り返りがなされるべきである。そして,その上で仮説の修正が行われ,さらに新たな研究・実践がなされるべきである。また,本委員会の位置づけを考えたとき,その研究の成果が市内に広がり,愛日地区の教育課程をも揺さぶり,少なくとも市内の学校のカリキュラムに定着すべき成果を生むものでなくてはならない。 

こうしたことを考えたとき,「ねらい」の項で書いたように,本年度は総花的に実践を集め,まとめることで研究主題達成を図るのではなく,的をしぼり,より実践的なアプローチをしていくことが、本研究委員会の本来の使命であると再確認した。実践的なアプローチとは授業づくり,授業実践,授業反省など,具体的な授業を核としたアプローチをしていくことを指す。

中学校部会の委員の構成を考えたとき,数学担当が3名,理科担当が3名,技家2名である。同一教科であれば,上記のようなアプローチはすぐさま可能であるが,教科が異なっているためにまずはじめに,どの教科に焦点をしぼるかという問題がある。

また、委員会での研究成果がなるべく市内に広がりやすい状況を考えたとき,本研究で活用されるソフトが市内の全中学校に配付できるものであるかどうかという観点がある。さらに,今までの市内の実態や全国の実践の様子を考えたとき,どの教科が一番共通理解を得やすいかということも観点にいれるべきであろう。さらに,委員が今まで実践してきた延長線上にあるものの方がより研究の成果を積み上げる上で有効であろう。

本委員構成、ソフト、過去の成果の観点から,今年度は『数学』に焦点をあてることにする。全中学校に配付できるソフトウエアという観点から,「GC」という作図ツールソフトとし,それを利用した数学の図形指導における研究をすることに決定する。

「GC」とは正式名称はGeometric Constructor といい,愛知教育大学の飯島康之助教授開発の作図ツールである。このソフトは現在研究配付版として,インターネット,教育センター等を通して配布されているものである。

作図ツールについては,日本においては現在「カブリ」「スケッチパッド」などが他にあるが,広く配布されているものは,GCのみであると把握している。また,実践事例も多く,飯島氏によってインターネット上にGCフォーラムという課題,発問,実践事例などを掲載したホームページも開かれており,最新の情報も得やすい状況である。また,メールなどを通して指導をいただくことも可能である。

(3) 研究の経過

  ・  5月 2日(木) 小委員会(本年度の研究について,進め方について)            

  ・  5月28日(火) 全委員会(組織作りと研究計画立案)

  ・  6月27日(木) 中学校部会(研究計画についての検討)

  ・  9月27日(金) 中学校部会(授業実践)

  ・ 10月29日(火) 中学校部会 GCシステムコピー(各中学校40枚ずつ),マニュアル作り

               各中学校GC配付

  ・ 11月27日(水) 中学校部会(指導案検討,研究授業分担確認)

  ・ 12月18日(水) 中学校部会

               研究授業(桃陵中学校2年G組 授業者 玉置 崇) 及び授業検討会

  ・  1月24日(金) 中学校部会(研究授業記録,研究協議録検討、

               授業実践をふまえた上での「指導案修正」)

  ・  1月31日(金) 小委員会(報告書検討)

  ・  3月12日(水) 全委員会(研究紙上発表,大阪教育大学助教授 田中博之氏 講演会)

 


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