二学期の終わりを迎えるに当たって, 私は小さな満足感を感じています。 この二学期の間, 附属学校として, いろいろなチャレンジを提供してきたと実感しているからです。
たとえば, シンポジウムでの授業提案。 天羽先生も, 渡辺先生も, 周到な準備のもとで, 新しい授業提案をしてくれました。 田中先生は, 朝日新聞のおしごと年鑑やデータベースを使って, みなさんが新しいビジネスモデルを提案する授業にチャレンジしてくれました。 小田原先生や川上先生は, 留学生の人々を生かして, 彼らに対して三年生が日本をアピールするチャンスを提供し, 三年生ばそれにこたえてたとえばオールイングリッシュで発表するチャレンジなどをしてくれました。 先日は野田先生が, カンボジアからの大学院生が開発した実験装置を使った授業をしてくれました。 もちろん他にも, それぞれの先生が, 附属学校ならではの授業にチャレンジしてくれました。
私は大学のスタッフとしても, いろいろな授業に黒子として参加してきました。 たとえば, 天羽先生の授業は, 授業の細部に渡って議論しました。 9月の週末に, 静岡大学まできてもらって,工学部の学生対象に模擬授業をしていただき検討したこともありました。 カンボジアの院生の実験機器については, 博士課程の授業の中で議論してきました。LEDを使うことで今までできなかった実験が可能になること, 今回の機器はシンプルですが, それをコンピュータで制御したらさらに改良可能なこと。まず今回の実践では何にチャレンジするかなどを議論してきました。
みなさんからみれば, たった1時間の授業でも, 長い時間をかけて, いろいろな試行を繰り返して準備をしています。たとえば天羽先生の研究授業には70人くらいの方が参加しましたが, それに加えて, ビデオを通じて, 本学の100人くらいの学生・院生が観察し, 学んでいます。
実験としての授業を通して, 私たちは「未来の代表」としてのみなさんにチャレンジしています。 みなさんが生きる未来からみて, 今どんな授業を受けていただくのが適切なのか, チャレンジしています。そして, みなさんの反応は, 未来からのメッセージとして受け止めています。
実験としての授業ですから, もしかすると, 未完成のところもあったかもしれません。 でも, そういうこともすべて含めて, 私たちは本気で授業にチャレンジしてきました。 そういう「本気でチャレンジする授業」の中で, きっとみなさんも何かをつかまえてくれたのではないかと思っています。
一年生, 二年生のみなさん。 この冬休みに, 基礎固めをしながら, この二学期で一番刺激になったことを振り返ってみてください。来年, この学校でどんな学びをしたいのか, 教えてください。
三年生のみなさん。 この三年間を振り返って, 他の高校生とは違って, どんなことを経験してきたのか, それはあなたにとってどんな意味があったのかを, 言葉で表現できるようにまとめてみてください。 面接や小論文でそれを表現するチャンスがある人はぜひ, 生かしてください。 一般入試で戦うなら, ぜひ, みなさんの自信の裏付けにしてください。
この年末・年始が, 次のいいスタートに結びつくことを期待して, 終業式の式辞といたします。