新しく200名の一年生を迎えて, 今年この附属高校で学ぶ600名が揃いました。 一年生のみなさんは, 「高校ってどんなとこだろう」と楽しみにしていると思います。 二・三年生のみなさんも, 「どんな後輩と出会えるかな」と楽しみにしていると思います。 教室は違っても, フロアは違っても, 部活動は違っても, いろいろなところに 出会いのチャンスがあります。
今年の一年生から, 入試が大きく変わります。 でも, 一年生だけを念頭に置くのでなく,すべてのみなさんのことを念頭において, 新しい入試でも通用するような「学び」に注目してみたいと思っています。
実際, 去年の後期入試。愛知教育大学でも大きく変わりました。 私は直接入試には関わっていません。附属高校の生徒も受験生ですから。 でも, 同僚から, いかに「書けていない受験生が多いか, 語れていない受験生が多いか」ということを耳にしています。 客観的に正しいと言われる正解を書けばいいわけではありません。 迫力も, 魅力もないのです。
みなさんが経験したこと, みなさんが感じたこと, みなさんが考えたこと, そして熱意。 いろいろなものをきちんと折り込んで, それがきちんと伝わるように表現する。 そういうことが求められます。
そんなことは難しいと思うかもしれませんが, 実は日々の学びの中で意識することで, きっと変わっていくのです。 まず, 授業の中で, 「ノートに書くこと」を少し変えてみてください。 板書を写すだけでなく, 自分の誤答を消しゴムで消して正解に書き直すだけでなく, そこで自分へのメッセージを書くのです。 印象的だったところに, 「なるほど」と書いておくだけで, 自分が納得した感動の気持ちの足跡を残せます。 間違ったとき, 消しゴムで消すのでなく, 「これがミスの原因」というのがわかるように, 赤で書くのです。 くやしいという気持ちをそこに形に残すのです。 先生が板書しなくても, 「これが大切じゃないかな」と思ったことを, 脇に書き込むのです。
そして, 授業が終わったとき, 「この1時間で自分にとって一番印象的だったことはなにですか?」と聞かれたら, 端的な言葉と, 具体的な場面で返せるようにするのです。
4月当初には間に合いませんでしたが,授業の中で使う情報機器が次第に増えていくでしょう。 今までの板書と違って先生がプロジェクタで提示するような場面や, そこに書き込むような場面や, みなさん, あるいは友達がそれを使って語るようなことが増えるかもしれません。
なるほどと思うだけでは, ただ過ぎ去ってしまうかもしれません。 それはどういう意味があることなのか, 自分の記憶に刻み,ノートに書き込み, 残していくことが求められます。
iPadを使って協働学習をするときも同じです。何かおもしろかったねで過ごしてしまうのではなく, そこで何をしたのだろう。発表する価値があることは何なのだろう。ここで学んだことは何なのだろう。 主体的に, 能動的に, 記録する価値があることは何なのかを, 自分で意思決定して行動することが求められるのです。
もちろん, 授業のスタイルを一気に変えるはずはありません。 これまでと同じように, この授業の中で学ぶべき知識も技能もあります。 でも, 入試で求められるものが変わりつつあることを自覚しながら, 少しずつ 「授業の中で勝負する」こととは何かを, 実感してみてください。
ときどき, そういう授業の様子を拝見しに行きたいと思います。
授業以外にも,世の中の動きとか,興味深い問題とか いろいろなことに関心をもっていただきたいと思っています。 よかったら,校長室ものぞいてみてください。 月曜日と木曜日の夕方が中心になりますが, ドアが空いているときはいつでもかまいません。
でも, 手ぶらでは来にくいと思うので, 今まで同様, 「附高生へのチャレンジ」 という問題を, 毎週つくっておこうと思います。 ホームページにも載せています。 いろいろな好奇心を一緒に広げていきましょう。
以上で, 一学期の式辞とします。