本日入学を迎えられた二百名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。ご臨席の保護者の皆様方にも愛知教育大学附属高等学校を代表いたしまして、心よりお祝い申し上げます。
本日の入学式には、ご多用のなか、愛知教育大学理事、中田敏夫様をはじめ、ご来賓の皆様にもご臨席いただいております。高いところからで恐縮でございますが、厚く御礼申し上げます。
新入生の皆さんは、これから始まる高校生活に胸を膨らませていることでしょう。難関を乗り越え、五十五校の中学校から夢や希望を胸に本校に進学されたみなさん。新しい友達との出会いを今日から楽しんでください。
私が校長として赴任した二年前、人工知能の発達は一つの脅威として,たとえば,今ある多くの職業がなくなるという悲観的な主張と結びついていました。実際,昨年の就職戦線の中では銀行の求人が大きく減る一方,人気も下がってきたという報道もありました。しかしそれ以上に感じる変化は,日本の人口構成が急激に変化していく中での人手不足の予想であったり,その機器を乗り越えるための手段として人工知能などへの期待が語られるように変わったということです。 みなさんが今就きたいと思っている職業もみなさんが就職する頃には大きく変わっているかもしれません。少ない人手であっても,地域そして日本全体を支えていけるように,さまざまなチャレンジを行っていくべき時代になっていくのであり,その主役にみなさんがいるはずなのです。言われた通りに実行するのでは不十分で,みなさんが提案し,実践し,そして改善していくようなことが多くの職場で当たり前に行われていくようになるはずなのです。
そういう未来でみなさんが活躍するための基礎・基本を,この附属高校で身につけていただきたいと思います。
まず,基礎的な知識・技能を身につけること。一定の学力がなければ,目の前の現象を理解し、問題として感じることも難しいのです。日々の授業を大切にして、着実に積み重ねていきましょう。
授業では,知識・技能の習得以上のものを求めます。たとえば,疑問を感じる力や問題を発見する力を大切にしたいと思います。語る力や書く力も大切にしたいと思います。
みなさんの学年から,入試も大きく変わります。いや,みなさんの学年から急に変わるのではなく,たとえば本学の後期日程の入試はこの春から変わり始めました。それらの変化をつかまえながら,新しい入試でも通用するような学力を,一緒に模索していきます。今年からいろいろな学びをコンピュータにアーカイブすることになりますが,単に点数の記録を残すだけではなく,アーカイブする価値がある学び,たとえば推薦入試やAO入試でみなさんが「語れる学び」とは何かを一緒に模索しながら実践していきたいと思います。
そういう授業にするために,あるいは授業外での学びを生み出すために,先生方も努力すると思います。でもそれだけではうまくいきません。みなさん自身が主役として,自ら表現し,関わりあい,そして解決していく。そういう主体性とダイナミズムを,授業の中で実現してほしいと思います。
本校は愛知教育大学の附属高校です。愛知教育大学は教員養成を目的とする広域拠点大学であり、教育の総合デパートです。附属学校も幼稚園から高校まで7つあります。学部・修士課程・教職大学院・博士課程もあります。教育に関するさまざまな専門家も教科の内容の専門家も教科の教え方の専門家もいます。さらに,アーティストもいます。大学教員・附属学校教員・学部生・院生などさまざまな人がいます。
附属高校はもちろん,高校生として学ぶみなさんが主役ですが,それ以外に,高校教員になろうとする人,高校生の学びを研究したい人,高校生に刺激を与えてくれる人,この高校を支えてくれる人。いろいろな人が出入りする教育環境です。この教育環境を生かすことで,みなさんが新しいおもしろさと出会うチャンスを広げたいと思っています。三年間の学びの中で,ぜひ,生かしてください。
最後に、保護者の皆さまに申し上げます。新しい制服に身を包んだお子様の晴れの姿に、お喜びも格別でしょう。お子様の健やかな成長と、そして安全を願う気持ちは、私たち教職員にとりましても同じことでございます。本校に入学されたすべての生徒が、それぞれの能力や適性を伸ばせるように、教職員一同、情熱をもって指導にあたる所存でございます。
お子さまがたの健全な育成という目標に向かって、ご協力賜りますようお願い申し上げまして式辞とさせていただきます。