式辞
三年生の皆さん,ご卒業おめでとうございます。また,ご臨席の保護者の方々におかれましても,お子さまの晴れの姿を目の当たりにして感慨もひとしおであろうと思います。あらためて,お祝いのことばを申し上げたいと思います。また,本日の卒業証書授与式に,刈谷市教育委員会学校教育課指導主事の榊原和憲様,愛知教育大学副学長の松本昭彦様はじめ,多くのご来賓の方々にご臨席たまわり誠にありがとうございます。
さて,三年生のみなさんにとって,本校での三年間, どんな出会いがあったでしょう。県内のいろいろな地域から集まった194名。いや全校なら600名。いろいろな地域の人と友達になれたと思います。研究室訪問の他, 図書館や生協など, 大学のキャンパスも自分たちの庭として親しみ, 直接話をしなくても, いろいろな空気を感じ育ってくれたのではないかと思います。
学校生活のいろいろなところで存在感を発揮してくれました。部活動の成果も目ざましく,体育系部活動では開校から数えても3回目のインターハイ出場を槍投げで獲得したり, 女子のリレーでの東海大会出場もありました。また, 文科系部活動ではたとえば吹奏楽部が県大会に出場したり, 合唱部が中部大会で金賞を獲得するなど,いろいろなところで活躍し,多くの成果と存在感を示してくれました。
体育祭と一体化した碧海野祭。日々盛り上がっていった中心に,後輩たちをまとめるみなさんがいました。ここ講堂での説得力ある堂々とした演奏, 演劇そして発表。去年とは違ういろいろなチャレンジを実感しました。合間の時間に流された部活動ごとの恋ダンス。それぞれの個性がにじみ出ていてよかったですね。体育祭の最後の部対抗のリレーでは, ビデオを何回みても陸上部とサッカー部が紙一重でした。みなさんの一生懸命さが現れた一こまだったと記憶しています。
校長というのは, 直接授業をする立場ではないので, 去年, 今年と, ときどき授業の様子を拝見に行きました。「行儀よく, 授業をしっかりと聞いている」というのが第一印象でした。「もっとアグレッシブに授業に参加してもいいじゃないか」と感じたこともあります。逆に,みなさんの表情や言葉の中に, 「こんな授業じゃ満足しない。もっといい授業にしてくれ」という暗黙のメッセージを感じたこともあります。ノートを覗き込んでみると, 板書とは違ったコメントを自分なりに書き込んでいて, 自分なりに授業とバトルしていることを実感したり, シンポジウムなどの機会には先生と一緒に新しい授業にチャレンジし, 作り上げている様子を実感することもできました。
ここにいるみなさんの中で, 「授業」に関わる仕事, つまり教育にたずさわる人はそれほど多くはないでしょう。でも, いろいろな形で授業と関わったことは, これからのみなさんにとって, 生きていく財産になると思います。
たとえば,「人工知能」という言葉に象徴される第4次産業革命の中で, みなさんが生きていく上でこだわってほしいことの一つは, 「人間」です。人工知能にはできないこととしての「人間だからこそできること」であったり, 「人工知能を使いこなす」ような「人間の知性」であったり, 一人だけで対処するのではなく, チームで問題に向かっていける社会的な存在としての「人間のチームワーク」など, さまざまな意味での人間らしさがみなさんに求められていくことになると思います。さらに, もう一つ付け加えるとしたら, 「学び続けていける人間」です。高校や大学で学んだらそれでおしまいではなく, 仕事をしながらずっと学び続けていく姿が, みなさんの世代には求められます。そんな, 「人間」とか「学び」というキーワードに結びつくことを, きっとみなさんは, この3年間の授業の中で, さまざまなことを実感してくれたと信じています。
本校の校訓, 覚えていますか?
あたたかい人間になろう。 たくましい人間になろう。 おおらかな人間になろう。
これから進む道は変わっても, きっとこの校訓が語ることの価値は変わらないと思います。この校訓の下, 一緒に育った経験を生かして, 次のステップに進んでください。
終わりになりますが, ご多用のところ, ご臨席を賜りましたご来賓のみなさまに, あらためてお礼申し上げます。また, 保護者のみなさま。お子様方は, 今日をもって本校を巣立ちます。この三年間で大きく成長され, この日を迎えることができましたことを一緒にお祝い申し上げますとともに, この三年間, 本校発展のため, 終始ご理解とご支援を賜りましたことに, 心からお礼申し上げます。
卒業生のみなさんの今後の活躍を祈念し, 式辞といたします。
平成30年3月1日