ネットワークのチェック
- あれ,変だなと思ったら -
数学教室 飯島康之
目次
異常があったとしたら
最近は以前ほどは聞きませんが,たとえば,「メールができないんだけど」というような類の問い合わせを,情報処理センターの兼任教官の方などにするケースが多かったようです。
時には,「今できないと困るんだ」とかなり強い調子で詰め寄る方もあったようです。しかし,そういうことを繰り返すと,現在のようなボランティアベースの管理者は,いずれ誰もやらなくなってしまうことを自覚しましょう。
実際,ネットワークの利用者は,非常に増えています。これまで以上の意識的な配慮が必要になっていくのです。
当たり前のことをまず掲げておきます。
ネットワークの管理はボランティア
基本的に,ネットワークの管理はボランティアです。つまり,「本業」を他に抱えています。もし,手伝ってくれるとしても,それは本業に割く時間をそちらに振り向けてくれているということ。それを直すのが,「当然の義務」ではないということを,まず自覚しましょう。
それを管理する人がほしいということになれば,大学の中にそういうスタッフを「教官」あるいは「事務官」の形で確保するか,あるいは,どこかの会社と契約するしかありません。また,そういう人材等を確保したとしても,「すべてをお任せ」を要求するならば,多くのマンパワーや経費が必要です。それをなるべくかけずにすむようにするためには,いろいろな工夫が必要です。
自分でできることはまず自分でする。
ネットワークは,様々な段階があります。たとえば,情報処理センターで責任を持つ範囲は,基本的には,学内の幹線と基幹の機器そして,学外(主として名大)との関わりです。個々の端末やトランシーバー・ハブなどの管理は,それを設置した個人(教官・事務官)あるいは組織(教室・選修等)の責任です。
たとえば,異常があるとしても,その異常の原因は,自分の範囲のものなのか,情報処理センター内のものなのか,あるいは,外部にあるのか等をある程度把握し,診断することは,自分でするべきです。
「個人の範囲の問題は尋ねてはいけない」というわけではありません。それぞれの個人の問題を共有し,知っている人が知識やノウハウを提供することはネットワーク社会ではある意味で当たり前の行為です。しかし,それは「情報処理センター等が答えるのが当然」というスタンスのことではなく,互いにいろいろなことを共有し合うことによって,よりよいものを形成していこうという価値観を持ったネットワーク社会の中での行為であり,必要なときは,自分も積極的に情報を提供する側にまわることも考え,尋ねるときも,自分と同じ立場の人が答えることを想定して尋ねるというスタンスでなければいけません。
急がせない
「本業に支障のない範囲で」というのが,基本的なスタンスです。また,障害があるときに,復旧に時間がかかるのも当然です。「自分は今,こういうことをしなきゃならないのだから,何とかしろ」という要求は基本的にできないと考えた方がいいでしょう。ネットワークがダウンすることは,それほど頻繁ではないとしても,やはりときどきあります。普通ならば,「数時間経てば何とかなるだろう」くらいのスタンスでいいと思います。「1日ダウンするようなことは,めったにない」くらいに思った方がいいのかも。現在では,ネットワークは日常的に多くの人が使っているので,相手の人も,ネットワークがおかしいことはきがつくはずだし,大規模な支障には,いろいろな人が積極的に復旧に取りかかっているはずです。
また,「どうしても使えないと困る」というようなときは,愛教大以外のネットワークに電話でアクセスし,回線が確保できるようにする(たとえば,個人的にプロバイダと契約しておく)等の措置を取っておくという方が懸命でしょう。
人材を育てる
こういう問題を解決していく一つの方法は,知識とノウハウとモラルを持った人材を増やすことです。自分を育てること,院生や学生を育てることなど,手はいろいろありますが,いずれにしても,そういう人材を増やすことです。
能力のある人をくだらないことで酷使しない
逆に,いろいろな知識やノウハウを持っている人を,「あの人に聞いたら,なんでもしてくれるから」という安易な理由で,何でも頼むというようなことはしないことです。町の電気屋さんじゃないんだから。町の電気屋さんは,それで収入が増えるから,それでもいいけれど,その人をそういう使い方をし続けると,その人により価値ある仕事をさせないことになります。その人自身の本業に差し支えるようになります。そして,その人は,いずれ,その仕事を放棄します。
そうならない範囲で,その人をうまく生かして行くことを考えないといけません。
ネットワーク上のリソースを増やす
「能力のある人をくだらないことで酷使しない」というのは,その人に「尋ねてはいけない」というわけではありません。その人でないと答えられないことならば,その人にとって当たり前のことでも,答えてもらうことは価値があります。しかし,同じ質問を何度もその人にするのは,「くだらない」ことです。また,その人が,いろいろな人に対して,同じことを繰り返し説明するのも,「くだらない」ことです。たとえば,一度答えたことは,再びその人が答えなくてもいいようにするための工夫等が必要です。
たとえば,一度「分かった」人が,今度はまわりの人の質問に答えるようにするという手もあります。あるいは,WWWやニュースあるいはメーリングリスト等の上にリソースを作ったり,「FAQ」を蓄積・整理するなどという手もあります。そういうことをすることによって,ある程度は,「能力のある人をくだらないことで酷使しない」ようになっていくはずなのです。
つながらないぞ
ネットワークは,ダウンすることもあります。また,端末が壊れている可能性もあります。まず,いくつかのテストをしてみましょう。基本的な道具は,「ping」というソフトで,当該のIPアドレスの機器と接続されているかどうかを実験します。MS-DOSプロンプトで,次のことをしてみましょう。
ping その端末のIPアドレス
Replyがあれば,その機器は正常です。Time Outになったら,その機器の何かがおかしいので,まず,再起動して,同じことを確かめてみましょう。
ping 133.96.48.34
次は,数学教室のWWWサーバーとの接続を確かめてみます。Replyがあれば正常ですし,そうでない場合は,次の可能性があります。(数学教室の機器など,133.96.48.**の機器の場合)
- WWWサーバーの電源が切れている。(サーバーの電源のチェック)
- 自分の機器とネットワークがつながっていない。(ケーブルのチェック)
- トランシーバーの破壊
WWWサーバーとの関係は,同じ建物内のネットワークの中ですから,物理的につながっていればつながるはずです。通常は,電源か,ケーブルの接続等の問題のはずです。しかし,以前の例では,落雷によって,飯島研究室のトランシーバーが破壊されたこともありました。そういう場合は,接続するトランシーバーを変えてみるとか,同じ建物内のネットワーク内の他のコンピュータとの接続を調べてみるなどのチェックをしてみる必要があります。
ping 133.96.48.241
次に,建物内のネットワークと各棟を結ぶネットワークをつなぐルーターをテストしてみましょう。上記は,数学教室関連のルーターですが,学内のそれ以外の場所は,「*.*.*.241」になります。
鎌田さんから頂いたメールより
「ネットワークがつながらないとき」の話で、その建物のルータの電源が切ら
れていることが、いまでもときどきあるようにきいています。富士通のLR550
という装置ですが、大きな箱で、大きなファンがぶんぶんまわっていてうるさ
いので、気を利かしたのかなにかで、電源を落してしまう人がいるということ
です。
ルータの電源が切られてしまうと(ときどき、保守のため業者が電源を落して
調整していることもあります)、その建物から外に出ることはできません。
ですので、情報処理センターへの接続を試す前に、自分が所属しているネット
ワークのルータが生きているかどうかを試しておくことに意味はあります。
「自分が所属しているネットワークのルータのアドレス」は、自分が使ってい
るコンピュータのIPアドレスの末尾を241に替えたものです。
ping 133.96.2.4
次に,情報処理センターの機器との接続を調べてみます。これがTime Outになるときは,次の可能性があります。
- 情報処理センターの保守やバックアップ作業のために,停止している。
- ルーターなどの機器が壊れている。
ping www.auemath.aichi-edu.ac.jp
ping www.aichi-edu.ac.jp
ここで,Bad IP Name のような表示がなされるときは, DNS(Domain Name Server)が機能していない可能性があります。それが復旧するまで待ちましょう。
ブラウザで愛教大を見る
これができるということは,愛教大の内部のネットワークは基本的に正常ということです。
ブラウザで名大を見る
これができるということは,愛教大 - 名大のネットワークは基本的に正常ということです。
逆に,上記が正常で,これができないということは,愛教大 - 名大間のネットワークあるいは,名大内でダウンしているということです。
ブラウザで東大を見る
これができるということは,愛教大 - 名大 - 東大 までのネットワークは基本的に正常ということです。
逆に,上記が正常で,これができないということは, 名大から先のネットワークがダウンしているということです。
ブラウザで富士通を見る
これができるということは, 学術系のネットワーク(SINET)と商業系のネットワークが基本的に正常ということです。
逆に,上記が正常で,これができないということは,SINETと商業系のネットワークの間の交換の部分等に問題があるということです。「つながっている/つながっていない」というだけでなく,「速度」の問題に関しても,同様です。つまり,接続の速度が出ないということは,そういう部分で混んでいるということです。
これができるということは, 学術系のネットワーク(SINET)とアメリカのネットワークが基本的に正常ということです。
逆に,上記が正常で,これができないということは,SINETとアメリカのネットワークの間に問題があるということです。「速度」の問題に関しても,同様です。なお,日米間の状況は,1997年秋頃からかなり改善されたように感じます。
遅いぞ
-サイトによる速度の違い -
それぞれのサイトとは,ネットワーク的な距離が違います。「ネットワークが遅い」と言う人がときどきいますが,そのサイトまでの「どこがネックになっているのか」を認識する必要があるでしょう。
いくつかの例を挙げましょう。
イーサネットアドレスを調べるには
情報処理センターに「ネットワーク利用申請書」を提出する際,分からない可能性が高いのは,「イーサネットアドレス」です。
Windows95の場合
MS-DOS プロンプトにして,「winipcfg」と入力すると,知ることができます。
リソース集