Date: Wed, 17 Feb 1999 17:08:04 +0900 From: "安井 順之" Organization: 愛知教育大学教育学研究科情報科学専修 Subject: レポート Sender: iijima-report-request@math-ntserver.auemath.aichi-edu.ac.jp 「数学教育におけるインターネットの活用について」に対する意見                               M97054   安井 順之 1.学校教育とインターネット    学校のメディア教育においては、これまでソフト先行(内容が充実したソフト は数少な いが)型であったが、ここ数年、ようやくハードが追いついてきたようである。 しかし、 情報化社会の技術の進歩はそれ以上に早く、一年前にはできなかったことが、今 じゃ当た り前というくらい、移り変わりがはやい。インターネットの整備に関しても同様 であり、 家庭や個人のコンピュータに接続すること自体が驚く位、容易になった。また、 本文にも あったが、その費用も安価になったため「当たり前のライフライン」としての地 位を得た だろう。そうなると、インターネットが学校教育のインフラとして整備される本 質(本意 )は何であろうか、という疑問が私には生じる。「すべての学校」にインターネ ットを接 続するという文部省の目的(学校利用目標)と整備を行う市町村の”役職”の方 の意思は 必ずしも合ってないのではないか、と思う。安価になってきたので整備しよう、 というこ とになる前に、今何故、学校にインターネットを整備することが必要なのか、そ の上で、 どれだけのコストがかかって、どれだけの学校に整備できるかという論議になる べきでは ないだろうか。中央では、当然、その論議が繰り返されたうえでの結論であろ う。それは、 インターネットの100校プロジェクト等にみられるように幾つもの試験的試み を繰り返 してきたうえでの結論だからである。しかし、中央からの指示を、パイプの如く 受けて流 す市町村のインターネットに対する考え方はどうなのだろう。その意義を認識し た上での 整備であれば、整備の仕方にそれぞれ意図工夫がみられるであろうため、これか らのイン ターネットのインフラには、興味を持ってみていたいものである。 2.数学教育とインターネット  数学教育におけるインターネットの利用は、本文にあるとおり割合が小さくな ってしま うだろう。それは、インターネットの教育への利用を考えたときに、どうして も、資料的 側面が強くなるので、理科や社会に偏ってしまうからであろう。従って、個人レ ベルで、 数学の教材をインターネット上で実行するというような実践の仕方は、あまり効 果がない ように思われる。すなわち、人間(学習者)対機械(コンピュータ)の1対1に なるよう な利用では、初期のCAIにみられた、単なる、メディアドリルと変わりがな い。だが、 メディアをやりとりするためのインターネットではなく、コミュニケーション活 動を行う 場としてのインターネットには活用の価値があると思う。数学という分野は、ひ とつの正 解を求めることよりも、その解法に面白みがある分野だと私は考える。従って、 問題⇔答 というやりとりよりも、問題⇒答に至るまでの過程の方が楽しく重要な訳であ る。この点 にインターネットの活用の場があると思う。ひとつの問題に対して、正解へのア プローチ を、網の目の向こうの人とコミュニケーションを通してつくっていくことが可能 であろう。 本文中に「数学は本来コミュニケーションとは関わりのない活動なのだろうか」 という問 題提起があるが、私は、先述のとおり、関わりの深い教科であると考える。 3.実践利用について  コンピュータという媒体を通しての、数学教育となるとグラフィックを利用し た・・・ となるのが現在の主流であろう。私もそれに異論はない。コンピュータの特長を 活かした 授業をおこなうことは、すばらしいことだし、利用する側(学習者)にとっても 親しみや すいであろう。あえて、欲を言うのならば、グラフィック以外の数学的部分、例 えば、本 文にあるように、単純に計算機としての役割など、が実践の中で充実してくると いいのに、 と思う。 4.ネットワーク社会の中での数学教育  今日のネットワーク社会の中で数学教育がこれから位置するところは、技術的 拡張や利 用形態的拡張といったところではないと考える。むしろ、そういった立場を支援 する側の 一機能としての役割が求められるのではないだろうか。数学を学ぼうとする学習 者に、メ ディアを介してどのような学習が行えるかということよりも、数学を学ぼうとす るそのラ インに立てない(立つ気にならない)学習者をどれだけ数学の世界に引き込むこ とができ るかということである。その位置付けの上で、ネットワーク社会内の数学教育を 構築して いければ、それこそ、インターネットは数学教育の中で4番打者になれるのでは ないだろ うか。 個々それぞれについては、また明日1限の授業の議論の中で話し合っていきたい と考えます。 -- ********************************************* * 愛知教育大学教育学研究科 * * 情報科学専修 * * 安井順之  * * E-Mail : sm97054@auecc.aichi-edu.ac.jp * *********************************************