数学教育と情報化
教師の視点から>

日々の仕事を変える

「コンピュータは道具である」というとき, 最も現実的には, 「日々の仕事を助けてくれる」かどうかが, 選択の基準になるでしょう。
今や,「仕事の道具」としてのコンピュータを「使わない」教師はほとんどいないと思いますが, 「使い方」にはいくつかの段階があるのではないかと思います。

(1) 清書マシン・ましな電卓

定期試験問題, 通知文書, 報告など, 様々な文書作成はかなりの量になります。
また, テスト結果の集計など, 今まで電卓を使っていた事務処理もかなりの量です。
「ワープロという名の清書マシン」と「表計算(Excelなど)という名のましな電卓」を使いこなすだけで, 「日々の業務」のかなりの部分は「それなりに楽」になります。

(2) ひな型作成と再利用

ワープロの利点は, 「清書マシン」ではありません。清書マシンとしてのワープロは, いわば「美しき死体」(岩谷氏の表現)を製造するわけですが, それが効率性・能率性・創造性等に結びつくためには, 「再利用・共有」等が不可欠なわけで, せめて, 「ひな型」の利用や, 文書の再利用でありたいわけです。
定期試験の使い回しは「手抜き」になりかねませんが, 問題も蓄積されていけば, 問題生成のためのデータベースとしての性格を持っていくことでしょう。

(3) データの共有/ライブラリ化

上記は, いわば「個人の範囲での情報化」です。一方, 社会の中で起こっている情報化は, たとえば企業等に見られるように, 「組織としての情報化」です。)教育における情報化はそこまで進んでいないので, 「授業等の仕事が果たせるならば, 手書きであれ, ワープロであれどちらでもよい」ことになります。)
組織として様々なデータを集積・ライブラリ化・共有できるようになると, さらに一歩先の情報化の道具となりえます。
これまでも, 様々な研究資料等がまとめられ, 配布されてきましたが, オンライン化されれば, 「いつでも参照可能な資料庫」として職場から使えるようになるはずです。

(4) 教育情報のオンラインでの入力・再編集・再利用

テスト結果にかぎらず, 教育では様々な情報があります。通知表など, 文書としてまとめなければならないときに, さまざまなところにある情報を「まとめ・清書」するのにかなりの労力を払うことになります。
様々な入力をより簡単に行えるようにしたり, 入力者を広げるようにしたり, またそれを再編集・再利用する機会を増やすことによって, 「まとめ・清書」の大変さがかなり軽減できるようになります。しかし, そのためには, 日々の入力を一括してデータベースとして処理するための「しかけ」が不可欠です。
つまり, 少なくとも学校として, あるいはより大きな組織の中での共通の「しかけ」がある場合に限られるとはいうものの, そういう「しかけ」がある場合は, 日々の仕事が大きく変わる可能性があると言えます。
なお, そういう仕掛けがある学校の一つとしては, 小牧中学校が挙げられると思います。