数学教育と情報化

はじめに

数学教育の「情報化」とは何を指すべきか。その内容はかなり多岐にわたると思います。また, 時代と共に,その内容も変わると思います。
ここで, それらを包括的に議論することは考えていません。
「私自身が接する範囲の中での数学教育の情報化」について, 考えてみたいと思っています。

影響の可能性

表面的な現象から捉えれば,情報化とは, 我々の生活の中に, コンピュータやネットワークが浸透してきていることである。それが数学や数学教育そのものを変えるわけではない。しかし, いくつかの面で, 影響を及ぼす可能性を持っている。
(1-1) 「みんなが使えるものを作れる」
日常使っている教具等を, コンピュータ上で見るコンテンツとして「作ることができる」。もちろん, 「モノ」によって作った教具とは違うから, 利点も欠点もある。しかし, かなり複雑なものを「作ることができる」。 しかも, それらは媒体(CD,フロッピィ等)やネットワークを通じて, 配布することができる。誰かがどこかで作ったものを, 非常に多くの人々が「使う」ことができる。
(1-2) 「仲間を作り, 育てることができる」
ネット上でmlで議論したり, webの上に資料をおき, 共有することによって, 「いつでも交流可能な仲間」を作ることができる。
この集団こそが, 「可能性を持った卵を育ててくれる」。
しかも, この集団は, 今までのように, 職場や地域に限定されるとは限らない。
(1-3) 「資本はなくてもできる」
産業革命以降,大量生産が可能になったが, そこでは資本の集中が不可欠だった。しかし, 上記のような ことは, そのような大きな資本が「なくてもできる」。
(2-1) 数学学習(利用)の潜在可能性を拡大する。
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