分かりにくいことを分かりやすいしようと工夫したときによく起こる現象である。
たとえば,円周角の定理について,次の図を作ってみたとする。
この図を見せながら,「ほら,円周角は一定なんだ」と説明したとしよう。
生徒は何を感じるだろうか。
また,次の図をみてみよう。
これをみて,「ほら,内角の和は180°になるんだぞ」と言われたとしよう。
何を思うだろうか。多くの生徒にとっては,「だからなんなんだ」 ではないだろうか。
何らかの問題(解消したいもやもやな気持ち)を抱いていて,それなりの作業をして,それなりの発見を得たり,それなりの達成感があるときに,「そうか」とか「分かった」と思うものである。すべてをお膳立てしてしまうと,生徒が「すべきことがない」
「だからなんなんだ」と思う場合には,「生徒がすべきこと」そして,「そこで発見しうること」などをきちんと考え,それに応じたものに変更することが必要である。