3角形を折る
探究 : 相似性への注目 (1)
- D を動かす -
愛知教育大学 数学教室
飯島康之
問題状況
紙でできたΔABCがある。頂点AをBC上に乗せて折る。
(ここでの記録は,98年公開講座と小浜での講座(98.9.17)での探究等を元に記述しました。
)
特殊な場合での結果
ΔABCが正三角形の場合,Dがどのような場所にあっても,下の二つの三角形が相似になります。
このことにこだわると,「そうでないときにも相似になるようなことはあるだろうか」という問いが発生します。
一般化した結果の観察
しかし,今回は,そう簡単には相似になりません。角度の対応を考えてみると,正三角形の場合とはかなり違うことが分かります。そして,「平行線の同位角」になるような場合でないとうまくいかないことが分かります。
平行性に関する観察
たとえば,AB//FDになるということが,必要条件となります。
そういう場合はありうるのか,何通りくらいあるのかを調べてみようと思いつつ,点Dを動かしてみると,次のような画面になります。
このように,二つの線分のなす角が次第に変化していく様子を観察すると,平行になる場合は,「一つは必ず」そして,「一つだけ」あることが分かります。
「平行四辺形」への着目
しかし,条件を満たすためには,AB//FD「だけ」ではだめです。同時にAC//EDも成立しなければなりません。
上の図から観察すると,どうもうまく行っているように思えるのですけど,よくわかりません。ここで,次の証明問題が生まれることになります。
「平行四辺形」になるのか
問題:AB//FDになるとき,AC//EDになるか。なるならば証明せよ。
小浜の講座で,私がもたもたしていたら,次のようになると,ご指摘を受けました。
一般の場合でも,紙を折っているという条件から,上の図のような角がそれぞれ等しい。
そして,AB//FDになると,錯角が等しくなるので,上記の角が等しくなる。
この二つから,4つの角がすべて等しくなり,逆る錯角が等しいことから,AC//EDが言える。
点Dをどこに取ったらいいか
今までのことから,AB//FDになるようにすればいいことが分かりました。そして,そのような場所は1箇所しかないことも分かりました。しかし,さて,「どこにとったらいいのでしょうか。
「平行四辺形」というよりも,「ひし形」
ところで,図をよく観察すると,どうも,ただの平行四辺形とは言えません。
実際,「折っている」のだから,上と下の対応する辺,つまり隣合う辺の長さが等しいことになります。そして,平行四辺形の対辺の長さが等しいということは,この場合には,ひし形になることりなります。
ひし形を作るならば,頂角の二等分線
出来上がるのがひし形だとすると,左右対称になるので,∠Aの二等分線を引くと,次の図のような形で,Dの位置が決まります。
折り紙で...
上記の結果が分かると,実は,折り紙だととても簡単に折れることが分かります。
ということは,紙を使って調べる方が適切だったのだろうか....?
(でも,紙を降りながら,すぐに解答を見つける方はほとんどいません。)