Geometric Constructor / Win
テスト版のマニュアル
愛知教育大学 数学教室
飯島康之
目 次
一般的な注意
Geometric Constructor / Win はまだ開発途上です。ある程度の機能を実装しては公開/テストを経て,まずは, DOS版のGeometric Constructorと同じ程度の Win95/NT アプリに到達し,次にWinアプリならではの機能を実装していこうと思っています。
ですから,
- お気づきの点を気軽に,
こちらにお寄せください。
- まだ開発途上版ですから,
研究目的以外で配布することは避けてください。
Geometric Constructor / Win の基本的な特徴
- Geometric Constructor(DOS版)の継承
当たり前のことですが,Geometric Constructor / Win は,DOS版のGeometric Constructorの継承を基本としています。特に次の点を重視しています。
- データの継承(少なくとも,GCのデータはGC/Winで読める。GC/WinのデータをGC互換形式で保存できる)。
- 基本的な操作の継承(Windowsアプリ固有の操作形式に倣わなければならない部分は変更)
- 「授業」での利用のためのソフト
DOS版のGeometric Constructorが使われているほとんどの場所は「授業」です。先生がいて,生徒がいて,プロジェクタを介して一つの図について議論したり,グループで調べたりする環境です。必要に応じて,先生が指示をしたり,ワークシートを配ったりする環境です。そして何よりも,生徒の思考を妨げないことが重要です。
様々な機能拡張を試みることも可能かもしれませんが,それは個々の数学的探究を支援する可能性と同時に,あまり慣れていない生徒にとっては,かえって分かりにくさの増長になってしまう危険性もあります。そのような様々なことを考慮しつつ,また現場の先生方や授業実践を反映させながら,「授業」での使いやすさを追究していこうとするソフトです。
- キーボード操作も可能なソフト
DOS版のGeometric Constructorを開発した当初(1989)は,NEC9801VXあたりが最新の機器でした。マウスがあるとは限りませんでした。また,その後の私の開発・テスト環境はノートパソコンでしたが,そこでもマウスはありませんでした。そのようなことも影響し,当初のGeometric Constructorはキーボードのみで操作するソフトでした。
その後,様々な要望もあって,マウスも部分的に利用できるように改良しました。さらに,MARTYのように,マウスしかない利用環境のことも考え,マウスだけでも利用可能なように改良しました。
このように,Geometric Constructorは,キーボード/マウスの両方あるいは,どちらか一方のみでも使えるようなソフトになっています。(そのため,マウスでの利用においては,若干の違和感もあります。)
一方,他の作図ツールのほとんどは,マウスを前提にしています。キーボードの操作は,名前の設定などの場合のみしか使わないのが普通です。
Windows版を開発するのに当たって,この「マウス中心」か「キーボード併用」かは悩むところでした。Windowsという環境は,マウスでの操作が基本です。そういう意味では,他の作図ツールの使い勝手とほぼ同じ環境にするという選択肢もありえます。しかし,次の2点を考慮し,ある意味では,作図ツールの中で数少ない(他にはないかもしれない)「キーボードも使える」環境にすることにしました。
- Windows版の利用者がDOS版を使うときにも,あまり違和感を感じないようにする
- キーボードによる変形「↑↓」のように,一定方向に移動するということが適切な場合はかなり多い。
ファイルの読み込み
- 基本は「ファイル」→「例の読み込み」
他のWindowsアプリと同様,基本的な操作は,メニューの,「ファイル」→「例の読み込み」という流れです。しかし,代わりの方法も用意しています。
- ステータスバーのファイル名をクリックする
一つの別の方法は,ステータスバーのファイル名の部分(左下)をクリックする方法です。アイコンを増やして画面を狭くするよりも,ここを利用することにしました。
- 起動時は,画面をクリックすると「例の読み込み」になる
ソフトを起動したとき,次に何をするでしょう。授業では,多くの場合,「例の読み込み」です。そこで,Geometric Constructor/Winでは,画面をクリックすると,「例の読み込み」をすることにしました。(図がある場合には,「変形」になります。)
- DOS版からの改善点
VBのコモンダイアログを使っているので,例の読み込みは,他のWinアプリと同様のインターフェイスになりました。DOS版では,「パスの変更」が変更でしたし,「深さ」の違うパスへの変更は,不可能ではないが大変な作業だったので,そういう困難点は根本的に解消したことになります(しかし,分かっている生徒がいろいろといたづらをしてしまう危険性も増えたといえますが)。
変形
- 基本は「変形」→「1点の変形」
基本的な操作は,メニューの「変形」→「1点の変形」という流れです。しかし,変形という基本的な操作のたびに,この2段階をしなければならないというのは,思考を妨げると言えます。実際,多くの作図ツールでは,画面の図は,標準的な状態で,「変形可能」な状態です。マウスを近づけると,「この点を動かしたいのか」というスタンバイ状態になり,マウスを押してドラッグすると,その点を動かすということになります。
このままでは,DOS版以下の環境と言っていいでしょう。(DOS版では,標準の状態でリタンーンキーを押すと「変形」になる。)
- 画面をクリックすると,「1点の変形」になり,「変形する点を選択」
そこで,画面をクリックすると,「1点の変形」になり,そのためにどの点を動かすかを「選択」するモードになるようにしました。つまり,
- 画面をクリック
- 変形の候補を「×」で表示(通常は点A)
- 候補を変更したいときは,他の候補に近い場所に行ってクリック
- 表示されている候補でokのときはクリックして確定
がマウスでの操作になります。
また,DOS版と同様に,候補の変更や確定に関しては,「↑↓」キーや「リターンキー」を使うこともできます。
- 変形はマウスのドラッグか矢印キー
変形は,マウスによるドラッグあるいは,マウスを移動しておいてクリックか,矢印キーで行います。
「ドラッグ」は他の作図ツールと同様の操作の仕方ですが,マウスを離しても,変形終了にはなりません。他の方法に関連して,次のようなことをすることができます。
- 一定速度で一定方向に動かす(キーボード)
- マウスを離したまま移動し,「点Aがここにきたら,図形全体はどうなると思う」という発問ができる。
- 変形をやめたいときはEscかマウスの右ボタン
そして,DOS版と同様に,変形をやめたいときには,Escキーかマウスの右ボタンを押します。
軌跡
- 基本的な使い方はDOS版と同じで「設定」と軌跡の「On/Off」
DOS版と同じように,Geometric Constructorでの軌跡の利用は 2 段階。「軌跡」→「設定」で設定しておくことが事前に必要で,それが設定してあれば,軌跡のスイッチを「on」にすれば,変形したときに,その跡が残される。
しかし, ファンクションキーはWindows環境ではあまり使わない方がいいので,次のように変更している。
- 軌跡の設定 : メニュー内の「軌跡」→「設定」→「点」/「直線」/「円」→選択→設定
- 軌跡スイッチのon/off : ステータスバーのクリックかメニュー内のスイッチ(DOS版はF9キー)
- 軌跡の消去 : メニュー内の「軌跡」→「消去」(DOS版は「シフト + F9」)
- DOS版からの改善点
DOS版では,軌跡のためのメモリの制約があって,特に98,DOS/V版では,ある程度軌跡を残すとエラーが生じ,そこで軌跡がクリアされました。そのような制約が解消されました。
主な未実装機能
- 変形(複数の点/変数)
- 編集・オプション・補助機能の一部
- 落書き機能(F8キー)
削除する可能性の高い機能
- 画面分割(DOS版でのF2,F3キー)
複数起動することによって,部分的に解消可能
- ハードコピー(F6キー)
他のソフトとの組み合わせで解消可能
- 画面ファイル保存(F7キー)
他のソフトとの組み合わせで解消可能
- スナップショット(F4/シフト+F4キー)
予定なし
- 文書ファイル(F5キー)
他のソフトとの組み合わせで解消可能
- メニューのカスタマイズ機能(シフト + F10キー)
かなり難しい
- 多国語対応
必要があれば,それぞれの版を作る
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