+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |熊本大学大学院集中講義(96.7.23-26)                     | |                                      | |                                      | |             概  要               | |                                      | |             愛知教育大学 飯島康之              | | http://www.auemath.aichi-edu.ac.jp/teacher/iijima/ | | yiijima@auecc.aichi-edu.ac.jp | |            fax:0566-36-9635 (数学教室)             | |             tel:0566-36-3111 (内523)             | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+                  0.はじめに 0.1 略歴 1959 (昭和34年) 埼玉県に生まれる 1978 - 82    筑波大学第一学群自然学類 (ゼミ:微分幾何)  1982 - 88    筑波大学大学院博士課程教育学研究科 (数学教育学専修)  1988秋 - 90 秋 上越教育大学助手  90秋 -     愛知教育大学助手  93  - 愛知教育大学助教授 0.2 主な著書 共著, コンピュータで数学授業を変えよう−GCによる図形の指導−, 明治図書(1995) 共著, Geometric Constructor による図形の指導, 明治図書(1996,近刊) 共著, メディアを活用した数学科課題学習, 明治図書(1992) 0.3 作図ツールGeometric Constructor との関わりと近況 現在の私の研究等を述べる上で,Geometric Constructor というソフトを抜きにするこ とはできない。 ときどき,コンピュータ屋と思われることがあるが,上記の経歴が示すように,私自身 は,数学教育屋である。学生のときは,数学ばかりをしていたから,元々は数学屋と言っ てもいいかもしれない。学生のときは,主にトポロジーや微分幾何など,幾何を中心に勉 強していた。大学院は数学教育が専門となったのだが,それが尾を引いて,幾何教育を研 究することとした。大学院の入試のためにかなりDewey の文献を読んだ影響が大きく,「 探究」を一つの手掛かりとして研究し,モデル化の過程などについて考察した。 大きな問題が生まれてきた。それは,「実施可能性」である。研究として,いろいろな ことをすることは可能である。また,附属学校等で,研究授業を実施する程度のところま では到達するかもしれない。しかし,果たして一般学校で実施可能なのだろうか。たとえ ば,モデル化を考える場合,その問題は「リアル」であることが必要だ。そうでなければ ,現実の問題を解決することにはならない。しかし,そのためには,煩雑な計算も必要で ある。多くの生徒にとっては,その計算をするだけで四苦八苦である。それを前提とした 教育目標に到達することは,果たして可能なのか。  そのような問題を抱えつつ,上越教育大学に就職した。そこで,プログラミングの授業 も担当することとなり,再び,いろいろな数学テーマについてプログラムを作ってみる機 会を得た。再びというのは,学生のときに,授業やサークルで,多少いろいろなプログラ ムを作ったからである。学生のときは,FORTRAN であったが,ここで扱ったのは,BASIC やPASCALであった。 数値に関するプログラムだけでなく,幾何に関するプログラムも作ってみたいと思った 。そのきっかけは,初等幾何学の授業で九点円を扱ったとき,その作図にかなり時間がか かったからである。図をいろいろと変形させて調べてみようというテーマに対して,数時 間の授業を費やして,毎回,学生はいろいろな図を描き,いろいろな観察をしてきた。そ ういうことをするための道具を作ってみたいと思ったのである。  BASIC では,この九点円の図を描くだけでも,結構大変だった。そのようなプログラミ ングをもっと大規模にしてみたいという「絵に描いた餅」だけはできたのだが,BASIC で は大規模なプログラミングは無理かなと思った。そして,ちょうどその頃,Quick BASIC が発売された。BASIC に初めてプロシージャの機能が実装された言語であり,しかもコン パイラであった。それが追い風となって,Geometric Constructor の最初の版が生まれた 。1989年のことである。 最初の研究授業は,上越教育大学附属中学校で行って頂いた。その成果と課題を抱いて ,私は愛知教育大学に転勤した。そしてまた,「授業について具体的に検討しながら,自 分の研究テーマについて研究することができる可能性」を実感しはじめていた。 転勤先ですぐに研究授業を依頼することもできないので,Geometric Constructor に関 する研究授業について,いろいろと上越に依頼した。 雑誌に記事を書くことをきっかけとして,ソフトを配付することにした。それをきっか けとして,いろいろな地域で熱心に研究していただける方を得ることができた。地元でも ,附属名古屋中学校等の協力を得ることができたが,様々な協力者が,様々な場所に点在 することになった。特に,川崎市・島根県・鳥取県等の教育センターの方々には,非常に お世話になった。このような経験は,私自身を大きく変えるきっかけになったのではない かと思っている。  その後,ソフトについても様々な改良等をしたり,また様々な教材開発や授業研究等を してきたが,その一方で,「教師のネットワーク」を意識するようになった。同時に,い ろいろなことを,一人ですることのマンパワー的な限界を痛切に感じるようになった。海 外の様子をかいま見ると,とても一人で太刀打ちできるような状況ではないのである。 そうしたことを感じているときに,「インターネット」である。同僚には,「インター ネット屋」よばわりされる羽目になったが,「ネットワークの魅力と可能性」を考えると ,夢中に成らざるを得なかった。 現在はまだ,「ある程度道具が整いはじめた段階」に過ぎない。実際,「情報発信」と 言っても,発信し続けるには,かなりのマンパワーが必要である。とても一人でできるよ うなことではない。「仲間作り」をしなければならない。取り合えず,学生と院生をどう 巻き込むか,そういう作戦を実行しているのが現在である。そして,全国の様々な先生方 をどう生かすかが今後の課題である。 時期を同じくして,どういうわけか,学内のネットワークの委員会が創設され,その委 員長にさせられてしまった。好むと好まざるとに関わらず,「情報化」を意識せざるをえ ない毎日となってしまった。 0.4 この集中講義への期待  実は,大学院の集中講義というのは,初めての経験である。教育センター等での講座と して,短くて2時間程度。長くて2日程度を担当することはあったが,大学院の授業とし て,まとめて4日(3日半)の時間を頂くのは初めてである。  時間が短いときは,シナリオはすべて事前に作っておかなければならないのだが,今回 は,参加される方々に合わせながら,軌道修正をしてみたいと思っている。そのため,              私が話をできそうな内容の一覧 を以下にまとめてみることにした。これらのすべてを扱うわけではない。また,実際には ,より具体的・実践的に扱う積もりである。様々な「希望」を出して頂ければ,できるだ け,それに応える形のものにしてきたい。  また,私自身,この機会を,「自分は何をしているのか」を考え直す機会としてみたい と思っている。そのためにも,単に具体的な例を挙げるだけでなく,それを少しでも組織 的にまとめてみることをしてみたいと思っている。  そのような接点から,「大学院らしさ」が出てくるのではないかというのが,この集中 講義を始めるに当たって,私自身が期待していることである。 0.5 要求すること コンピュータに関する知識は, 要求しない。 (もちろんあるに越したことはないが。) 求めたいことは, (1) 「数学の面白さ」について体験し,言葉や行動で表現すること (2) それらを授業化するための教材研究・授業研究へのこだわり である。そして,可能であれば, (3) 「数学教育の情報化」について議論し, (4) その前提でもあり,また手段でもある「ネットワーク社会」について体験し,また 今後の在り方について議論したい。         I.数学の探究者・ソフトのユーザーとしての観点 1.Geometric Constructor とは(1)   −「変形」と「軌跡」−   1.1 「変形」  1.2 「軌跡」 1.3 「作図」   1.X 主要資料::GC通信 3-1,2,3, マニュアル2 2.教材研究(1)   −教科書の問題の解説のための道具として使う−   2.1 動かすことを前提としている教科書の問題に関する解説をしてみる   2.2 動かすことを前提としていない問題について動かしてみる 3.Geometric Constructor とは(2)   −「作図」−   3.1 Geometric Constructor における作図の考え方 3.2 補助線の追加 3.3 最初から作図する 3.4 各種の編集機能               II.授業者としての観点 4.「インターラクティブ」というキーワード   4.1 インターラクティブでないコンピュータ利用とは   4.2 イニシアティブは「人」が持つことの重要性   4.3 ソフトを通して「人の能力」が顕在化される   4.4 致命的な問題=「経験がない」   4.5 基本的な姿勢=「ちょっといたづらをしてみよう」   4.6 「汎用ソフト」のすべての機能を知る必要はない   4.7 「テストケース」を育てることの重要性   4.8 自分は何をできるようになったか   4.9 「インターラクティブ」の3つの側面     (1) ソフトとユーザー     (2) ユーザー集団        (→「授業」の問題, 集団形成の問題)     (3) ソフト開発とテストケース   4.10 インターラクションに対峙するもの (1) 「正しいものは一つ」という考え方     (2) 知識は「与えるもの」あるいは「教えるもの」 (3) 知識には,確固とした体系があり,それは変化しない 4.11 インターラクションに関連する知識観 (at Random に) (1) Dewey らのプラグマティズム (主体と客体 (環境) の相互作用) (2) Piagetらに始まり,様々な展開をみせている構成主義 (3) Logoを生んだPapert     (4) ブルバキの様々な「理念」から読み取れる現代数学への期待       たとえば「構造」 5.インターネットを覗いてみる(WWW)   5.1 とにかく覗いてみる     (1) 「計算機室」のPowerMacをもっと使おう      ・電源の投入      ・Netscapeの起動 ・「リンク」の概念 ・終了するには  5.2 どういうことができるだろうか   5.3 我々の何を変えるだろうか(宿題) 6.教材研究(2)   −何が面白いのかを明確化する−   6.1 「教科書の解説」を越えるための障害と必要なこと 6.2 「おいしい部分」は生徒に譲る 6.3 思考の道具の変化は,「問題」を変える   6.4 思考に使う時間の変化は,「問題」を変える   6.5 道具の利用は「敷居を下げる」   6.6 問題本来の面白さを体験するための「道具」 6.7 「何が面白いのか」という問いへの回帰   6.8 実践−言葉による記述と体による演示の必要性− 7.授業化へのプロセス   7.1 自分にとって面白いことの「再体験」としての授業     ・何が面白いのかを明確にすることが不可欠   7.2 主発問と議論の焦点     ・その面白さに焦点を当てられるような発問を考える     ・そして,どういう議論をすることが,その面白さに結びつくのかを考える 7.3 多様性の確保と対処     ・発見が1つしかないのでは,「最初に発見した生徒」しか光らない      あるいは,そういう場合は,一つの画面で,みんなで考える     ・発見があまりに多様すぎると,収拾がつかなくなる     ・どんな生徒でも,1,2つは発見可能であるように発問する。      そうでないと自信喪失になる     ・どんな生徒でも,気づきにくいことがある方がいい      他の生徒の発見を知ることの意義を感じられる     ・発見しやすい場合は,できるだけオープンな問いにする      発見しにくい場合は,多少発問を絞る 7.4 動かし方と発見しうることの対応     ・作業の時間は,せいぜい10分程度      大半の生徒が目的を持って20〜30分も調べられるような課題を作るのは,非常 に難しい。      20〜30分も「もつ」ためには,観察しながら「あれ」とか「こういうことをし      てみよう」というようなことをしながら, インターラクティブに探究を進める ことが不可欠。     ・ソフトの機能をすべて使える必要はない。「この問題」のためのソフトの使い      方が分かればいい。そのためにも,「使い方」, さらに,「動かし方」をある 程度限定し,明確にする方が適切である。 7.5 「調べ方」の規定     ・「動かし方」を規定したからと言って,無理解のまま,無目的に調べるのでは 仕方がない。どういう目的で調べようとしているのか,そのためには,どうい      うことを調べるといいのかについて,事前の議論の中で明確にしておく必要が ある。 7.6 ワークシートの必要性     ・画面を観察しても,多くの場合は,「見るだけ」である。生徒自信が意識的に 記録を残すことはほとんどない。 ・そのような記録を残すようにするためには,ワークシートを作り,こういうこ とを調べてほしいということを明示する必要がある。 7.7 「提示」すべきことと「発見」すべきこと     ・「こういうことを調べたい」ということや,「こういうことが問題なんだ」と ということを理解するために「提示する」必要がある。 ・提示しすぎてしまうと,ただの「解説」になる。発見すべき, 一番面白い部分 は基本的には「発見」させるべきである。 ・プロセスを提示する場合,その問題そのものに関するある事実を提示するとい う手もあるが,別の問題に関する調べ方を明示し,「こういうことを今日はこ の問題で考えてほしい」と提示する方法もある。 7.8 「まとめる」べきことと「発表させる」こと     ・作業は,「問題」に関していろいろな発表をし,議論するために行う。発見が ある程度多様な場合は,それをうまくまとめる観点が不可欠である。そのよう なまとめなしに単に発表させるだけでは収拾がつかなくなる。 そのようなまとめのために,どういうことを発表させるかを考えることは不可 欠なのである。 7.9 基本的な姿勢=紙と鉛筆での思考と何が違うのか     ・我々は,「紙と鉛筆」での思考に慣れてしまっている。 その先入観にとらわれていると,動く図の環境下で,「何を感じるのか自然な のか」が分からず,ナンセンスなことを指示してしまうことがありうる。     ・教科書等での問いも,基本的には,「紙と鉛筆」という文脈の中で書かれてい る。 8. 一斉指導とコミュニケーション   8.0 「集団」でないとできないこと     ・一人で追究可能なこともある。 しかし,教室の中で,同じ課題について多様な発見が可能であれば,集団で授 業を受けていることのメリットを体感することが可能なはずである。     ・みんなで一斉に同じことを発見する課題であれば,「競争」である。 しかし,複数の発見がある場合は,むしろ,一つの「ネットワーク社会」とし      てとらえ,ネットワーク社会の中での付き合い方を明示するようなスタイルと する方が適している。  8.1 「何をしたらいいの」という子どもが出ないようにするために (1) 問題の理解 (2) 調べ方の明示 (3) 基本的な操作の仕方の演示   8.2 「議論とまとめ」と一斉指導   8.3 「一つの画面」をみんなで観察することの重要性     ・LAN で画面を転送するよりも,一つの大きな画面を共通して観察する方が,教 師の側に視線が集中し,普段の授業のノウハウをうまく利用することが可能  8.4 解釈の多様性は「動き」によって増加する     ・静的な図でも,複数の解釈は可能だが,動きが入ることによって,観察可能な 部分がかなり増大する。 8.5 「ああいう考え方もあるんだ」     ・たとえば,できる子であっても,「ああいう考え方もあるんだ」という気持ち を再体験してほしい。 8.6 「正しい」かどうかよりも,「思考の契機」を与えてくれるかどうか     ・「模範解答」を提示した者が最適とは限らない。 8.7 「モニタの覗き込み」をどう考えるか     ・カンニングととらえるのか,コミュニケーションととらえるのか     ・「覗き込み」を平等に適切に行えるようにするためには,教室内でのパソコン      の配置の仕方が重要になる。            III. 「数学的探究」研究としての観点 9.「数学的探究の探究」の必要性と可能性   9.1 我々は一体何を指導していることになるのだろうか。 9.2 問題を解くための「道具」としてのコンピュータ 9.3 「問題解決」自体を変える存在としてのコンピュータ 9.4 指導不可能だった思考過程を可能にしうる道具としてのコンピュータ 9.5 「数学的探究は環境 (道具) によって変化しうる」という公理 10.「活動の授業化(明治図書(1995)) 」 11. 「数学的探究」を変える手段としてのソフト開発 (「問題解決を支援するソフトウェア−Geometric Constructor の開発の理念と経緯−」  三輪編著(1993)『数学的問題解決能力の育成におけるコンピュータの役割に関する日米 比較文化的研究』,科研費報告書(0230118) (飯島康之「『数学的探究=F(環境)』......」イプシロン(1995))              IV. 教育改革としての観点 12. テクノロジーによる情報化革命   12.0 「情報化革命」の必要性      (1) 学問としての数学も変わりつつある。 (2) 学問や社会の中での「使われる数学」とその「使われ方」が変わりつつあ る      (3) 計算等の煩雑さを削減し,本来の数学の面白さを,多くの人に解放する      (4) 様々な「選択の可能性」を生み出す   12.0' 「情報化革命」の失敗の可能性 (1) 使いこなせる「勝者」と使えない「敗者」に分けてしまう危険性 ・現在でも,数学を「使える人」は少ないし,英語を「使いこなせる」人 も少ないから,それほど心配する必要はないのかもしれないが。        ・ただし,現在のそれらよりも,大きく「生産性」に関わることは確か      (2) 情報化「に」失敗する可能性 ・この確率は,非常に大きい。特に高校で。        ・情報化と整合性のあるカリキュラム作りは非常に難しい。       ・あるいは,よりグローバルに見れば,これまでの「大学入試までの数学         教育」が変化し,「社会の中でも使える数学教育」や,「入試には役立         たないけれども,分かる人には分かる数学」など,いろいろなものが生 まれていく可能性はある。      (3) これまでの数学の伝統の崩壊        ・ある意味では受け入れるべき部分はあるのだが,そのような価値の崩壊 が,多くの現場の教師にどのような影響を与えるかが心配        ・それに変わりうる新しい価値観が育つかどうかが問題      (4) 基礎学力の低下 ・ありうる一つのシナリオは, 「コンピュータに任せればいいんだから,算数・数学教育はあまり必要 でない」           ↓         「時間数の減少」・「基礎・基本重視という名の『つまらない算数・数 学』の台頭」           ↓ 「基礎学力さえ低下」        ・「基礎的な計算技能」に代わりうる「情報化時代での基礎・基本」を確 保しうるかどうかが問題 12.1 「現代化」との比較の必要性−失敗しないために−      (1) 情報化は,「現代化」以来の,そして「現代化」以上の革命 (2) 「道具の変化」は数学を変える それは,「内容の変化」以上の大きな変化である。 (3) 現代化はトップダウンであった。しかし,情報化では,イニシアティブは 「個人」に委ねられる。 それだけに,より大きな可能性があると同時に,失敗の可能性もある。      (4) 教育改革としての「現代化」での様々な方法をを参考にすると同時に,新 たなアプローチを練る必要がある。 12.2 成功のための第一のハードル−自主的な利用−      (1) 「開発・研究」主導によるbreakthroughの生成 (2) それぞれの地域での指導者による「研究授業」 (3) 「味をしめる」ことができるかどうか →「こういう授業をしたい」という経験が残れば,「研究をしなければな         らない」というバイアスがなくなったとしても,やはりそういう授業を 「続ける」はず        →そういう「生き残る授業」の有無が評価基準となる。  12.3 第一のハードルを越えるために必要なこと (1) 改善したい場面の明確化        ・出発点も終着点も「授業」        ・授業のよしあしで評価すべき      (2) 適切なソフトの開発(あるいは選択)        ・かなりのソフトがすでに「ある」        ・「ある」ソフトを作る必要はない        ・ソフト「群」を育てることにもっと力を入れるべき      (3) 柔軟なハードの利用        ・最新機種でもできないことはある        ・手持ちの危機でもできることはある        ・こういう授業・こういう使い方は,このレベルの機器でできるという         ノウハウを蓄積することが必要        ・「最新」性ばかりを追いかけるのは不毛      (4) 適切な管理体制        ・コンピュータは消耗品(時間内にどれだけ使い切れるか)        ・「しまいこむ」ことが一番ばかげている。        ・できるだけ「開放」することが必要        ・モラルを育てることも不可欠      (5) 発想の転換        ・これまでに「やりたくてもできなかった授業」を実現する        ・普段の授業や教科書は,「紙と鉛筆や黒板」を前提としている。         コンピュータらしい授業を生み出すためには,新しい観点が必要        ・普段の授業とあまり効果がないならば,「やめた方がまし」      (6) 「使用/不使用」の教師による自主的な選択        ・ソフトの「使用・不使用」,授業の「実施/不実施」は教師による         自主的な判断を重視し,その選択に任せるべき  12.4 第一のハードルだけでは何が足りないか      −局地的な改革から組織的な改革へ−      (1) 生徒には選択の権利は「ない」        −不幸な子どもを生まないための工夫−        ・「プラス」面が確保されたら,次の課題は,「マイナス」の削減     (2) ソフトの「利用/不利用」が生徒の「利益/不利益」に結びつく        −「使いたい先生だけが使えばいい」わけではなくなる−        ・だれだって,「プラス」でありたい。     (3) 「大多数の先生」が使ってもそれなりに授業が成功するために        −様々なノウハウや基礎資料の公開の必要性−        ・「公教育」として「プラス面」を保証し,「マイナス面」をできるだけ 少なくするためには,「大多数の教師に実行可能」であることが必要     (4) カリキュラムとの整合性        ・基本的に,「紙と鉛筆」による数学と,「コンピュータ」による数学は 「水と油」である。力のある教師は,うまくそれを融合し,「ドレッシ         ング」の如くにしてくれるが,力のない教師でも実施可能であるために         は,カリキュラム自体をある程度再編成する必要がある。  12.5 第二・第三のハードル −標準化そして....−      (1) 「定番」のソフト (群)      (2) 利用者自身が新しい世界を生み出す可能性      (3) 様々なノウハウの蓄積と公開そして共有      (4) カリキュラム改革のための「素材」の蓄積・公開・共有 (5) カリキュラム改革のための「再編成・再編集」の蓄積・公開・共有      (6) 授業者自身をどう参加させるか      (7) 大きな問題−誰がイニシアティブを取るのか−   12.6 第二・第三のハードルを越えるための基礎作業      (1) 数学 (数学的探究) の変化 −数学者による数学や社会の中での数学の使われ方の変化の分析−      (2) 数学観の変化      (3) 社会の変化と知識観・教育観の変化      (4) 社会システムとしての「学校教育」の分析      (5) 「学校外教育」の可能性と関わり方   12.7 第二・第三のハードルを越える上で日本が抱えている問題点      (1) 「ソフト」を育てる意識の欠如 (2) トップダウンの伝統とその限界      (3) 層の薄さ−特に研究者−   12.8 第三のハードルを越えるには,「ネットワーク社会」の成立が不可欠                V.ネットワーク社会 13. ネットワーク社会 (一般論)   13.1 工業化社会から情報化社会へ 13.2 均質性から個性へのシフト 13.3 時間的・空間的束縛からの解消−グローバリゼーション−   13.4 「関心の有無」により生成・消失する世界   13.5 新しい価値観   13.6 可能性と危険性  13.7 現実の社会はすでに変わりつつある  13.8 参加者の増大に伴うモラルの低下の問題   13.9 ノウハウとモラルを持ったユーザーの育成の問題 14. 教師にとってのネットワーク社会のための入場券   14.0 「ネットワークを使った授業」の前に,まずは自分がネットワークを道具とし て使ってみること 14.1 メール 14.2 メーリングリスト (mathedu の紹介も含めて) 14.3 WWW による情報発信 14.4 知識・ノウハウの公開・蓄積・公開の意義と可能性 14.5 「再編集」の可能性と面白さ   14.6 「価値観の転換」という問題 15. 数学教師に求められること   15.1 「殿様商売」からの脱却      −「受験のための数学」から「選択してもらえる数学へ」−   15.2 数学本来の面白さを経験すること  15.3 数学本来の面白さを言葉や行動で示すこと   15.4 生徒の興味・関心・能力に合わせて,「面白い数学」を演出できること   15.5 様々な「面白さ」へのナビゲーション   15.6 自分なりの「こだわり」情報の発信  −教材・授業など− 16. ネットワーク社会の中で可能 (かもしれない) こと   16.1 膨大な資料庫としてのインターネット      ・現在では,数学の「資料集」でさえ,あまりに貧弱      ・数多くの研究発表がなされているが,その場限りで消えている  16.2 「学校数学」以外の形態の数学の生息      ・学校以外の場での数学の情報発信の可能性     ・「数学教師」による「学校の授業」にとらわれない数学へのこだわりを発揮 する可能性   16.3 様々な「選択」の可能性とそれを発表し,情報交換しうる可能性      ・生徒同士 ・生徒/他の学校の教師/他の種類の学校の教師/社会人 17. ネットワーク社会へ移行するための課題 17.1 価値ある情報を発信すること, またそれを支えること      ・国内ではまだまだ少ない      ・特に,「継続」するには,多くの労力が必要      ・情報発信に対する様々な支援が必要     ・価値観の障壁  17.2 大学・教育センター等の意識改革      ・地域の大学・センターから全国への情報発信基地へ      ・目の前の学生のための授業から不特定多数への情報発信  17.3 「目」を養う ・インターネット上は,玉石混淆。しかも「石がほとんど」。      ・何がどういう意味で「マシ」なのかを見抜く目と情報が不可欠。   17.4 教師の専門性の強化      ・さまざまな情報が溢れていても,なお「参加するに値する授業」であること が要求される。virtual な世界にはない魅力を教師自身が身に着ける必要が ある。それは,教科に関する専門的な知識のみではない。むしろ,「教師」 としての専門性である。      ・そのような魅力のない教師は,見向きもされない危険性さえある。  17.5 「ネットワーク環境」を当たり前のものにすること      ・まともなのは大学程度−しかし,どれだけ使っているのか−      ・予算の問題/回線費用の問題       (おそらく,数年後には実現するだろうが。)     ・「生徒」の前に教師集団のネットワーク化が不可欠      ・「所有」の知識観から「共有」の知識観への転換も必要 17.6 資源がなくてもできることをまず始めること      ・ない袖は振れないが,袖がないわけではない。それなりに振っていることが 重要      ・メールだけなら,今でもできる。 ・WWW による情報発信も, (1) プロバイダ利用, (2) 大学のサーバー利用 などの手もある。 ・また,必ずしも,on line である必要はない。大規模データの保存・転送は 容易かつ低価格になっている。