作図ツールの「変形」と「変換」
−エルランゲンプログラム的アプローチ− |
数学的探究のためのソフトは,「機能の実装」によって,
一般に,教科書等での記述で,最も一般的な図を基にして,命題や問題が構成される。命題群の体系化には最適だが,次のような問題点を生むこともある。
このような問題点を解消する手段として,作図ツールの利用が考えられる。命題や問題を変えないときでも(1) への影響があるが,「『変形』あるいは『変換』による数学的探究に適した発問」を工夫すれば,(2) や(3) に関しても効果的な指導が行える。1つの教授方略として,「サバイバルゲーム」を挙げよう。
具体的な数学的探究の場面における「エルランゲンプログラム」的アプローチを明確にした。それを支援する作図ツールの「変換」あるいは「変形」の利用について検討し,一般化のプロセスを重視した教授方略として,(数学的命題/証明に関する) 「サバイバルゲーム」を明らかにした。
1.エルランゲンプログラム的アプローチ
F.Kleinによるエルランゲンプログラム
↓
(数学的探究における)エルランゲンプログラム的アプローチ(本論における造語)
2.作図ツールの「変形」/「変換」の利用
文字通りのエルランゲンプログラム的アプローチを行うには「変換」
「変換」は大学生のための環境としてはいいのだが...
「変形」の利点
変形は図形をいくつかの点を基にして構成される関数としてみなすこと,そしてその元になる点(=独立変数)を動かすことによって,図形(=従属変数)がどう変わるかを観察することである。
「三角形の重心」のように,場合によっては,一点を動かす変形がある変換(この場合はアフィン変換)を施すのと全く一致する場合もあるが,「三角形の内心」のように,そうはならないこともある。つまり,原理的には,変形と変換は,現象としては似ているが,かなり異なる。
3.「変形」や「変換」を利用した指導
教育研究は,ソフト開発で終わるのではない
また,教科書等では,
通常の指導における問題点
作図ツールの利用と,一つの教授方略としての「サバイバルゲーム」
3.0 基本的なアイデアとしての『特殊な場合からの「一般化」』
3.1 「数学的性質」のサバイバルゲール
まず,図の中にある事実, あるいは数学的性質のサバイバルゲームである。
例( 飯島他[1997]) :図1の中にある様々な「合同な三角形の組」に関して,点Bの位置に関して,
と一般化するのに応じて,どうなるか。
なお,この図形に関しては,「合同な三角形の組」以外にも,相似性,四角形の種類,線分の長さなど,様々なことに注目したサバイバルゲームがありうる。
3.2 「数学的証明」のサバイバルゲーム
また,事実としては一般に成立するものであっても,その証明もすべて一般的にできるとは限らない。同様のサバイバルゲームが成立する。
例:図2において面積について, □EFGH=1/2□ABCDであることを証明するとき,
□ABCDが
のいずれで成立する証明かを検討する。
a.すべての四角形が合同(あるいは面積が等しい)から
b.赤い部分の大きな三角形の面積と,外側の2つの三角形の面積の和が等しいから
c.三角形分割の方法を次の図のようにすると,内外2つずつが等しくなるから(1)
d.三角形分割の方法を次の図のようにすると,内外2つずつが等しくなるから(2)
[要 約]