*0. はじめに ** 全国学力・学習状況調査 -他の授業でも話題にされることが多いと思いますし,みなさんが生徒のときにも受けたものとして,文科省の「全国学力・学習状況調査」があります。 -この調査にはさまざまな側面がありますが,「これからこういう種類の問題に取り組んでほしい」というメッセージもあります。 -令和6年の調査問題等も公開されました。 -今回,関連する問題を扱うので,それについても少し触れることにしましょう。 *1.図形を動かして調べるとは(2) **1.1 「教科書」ではどういう意図で扱っているだろう。 #00003-0423-01 **1.2 「紙面で提示する問題」としての問題文は? -(条件文があって).... PB=QAとなることを証明せよ。 - その問題の意図は? *** 生徒が書くと思える証明を「2通り」イメージしてみよう。 - どういう意味での「2通り」があるのか。 - どちらがどういう意味での「よさ」があるのか。(動的と関連して) *** 「動的」の観点からみて,この問題にはどういう「よさ」があるのだろうか。 - そのよさを引き出す上で,「証明後に動かす」としたら,どういう流れが想定されるか。 - 「問題理解」の段階で動かすとしたら,どういう意図などが想定されるか。 **1.3 「きまりの発見」から授業を出発することはできるのだろうか。 #00003-0423-01 - この図を動かすと,どんなことに気づきますか? **1.4 全国学力・学習状況調査では,どういう出題だったのか。 -@https://www.nier.go.jp/24chousa/24chousa.htm, 令和6年の問題等 *** まず,生徒目線で「解いてみよう」 -「解けるか」 -「なにを感じるか」 -- なども考えながら *** 教師目線で考えたとき,「この問題あるいは,こういう授業の意図はなにか」 - **1.5 図形を動かして観察することで,どんなことを発見できるだろうか。 *** 注目するポイント(1) 変わらないモノ - 点(の位置) - 線分(の長さ) - 角(の大きさ) - 多角形(の形や面積) *** 注目するポイント(2) 変わらないコト (関係性) - 合同・相似 - 長さや角度が等しい(相等性) - 直交・平行 - 共点性,共線性 **1.6 条件変え(1) - 中学校の教科書では,この問題は,条件変えの代表的な問題として扱われることが多いです。 -「線分AB上に点Cをとる。ACとCBを一辺とする正三角形ACP,CBQをABに対して同じ側につくり,AQ,BPをむすぶ。」 -- ここで,「AB上に点Cをとる」というのを変えよう -- 正三角形というのを,正方形に変えよう。 *** #00005-0423-02 -どこ結ぶといいのかな。 **1.7 条件変え(2) - 教科書では,上記のような条件変えにとどまるのが普通だけれども,他にもいろいろある。 *** その1 #00007-0423-04 *** その2 #00006-0423-03 *** それぞれ,どう発展するんだろう。 *2.みなさんの「課題」に関して **2.1 それぞれの「問題」とコメント -犬飼くん --1.直線 y=2ax+a^2について、aがすべての実数値を取って変化するとき、この直線が通りうる領域を図示せよ。(aを動かす) --2.f(x)=x^3-6x^2+9xとする。区間[a,a+1]のおけるf(x)の最大値M(a)を求めよ。(aを動かす) --(数研出版 チャート式 基礎からの数学2B 1.P190 例題123 2.P214 例題214) - GCでは数式そのものは対象でないので,他のソフトの方が適している。 -大原さん --【1問目】 --円 x2+y2=4 と直線 y=x+k が異なる2点 P,Q で交わるとき,次の問いに答えよ。 --(1) 定数 k の値の範囲を求めよ。 --(2) 線分 PQ の中点 M の座標を k を用いて表せ。 --(3) 定数 k の値が変化するとき,(2) の中点 M の軌跡を求めよ。 --⇒ k の値を動かしてみると何か気づくかも?(特に(3)において) --(問題の出典:俣野博ほか.数学Ⅱ Advanced(東書・317),p.107.東京書籍,2019.) -GCの場合,数式でなく,図として表現した問題等として扱える。 --【2問目】 --a を定数とするとき,関数 f(x)=x2 -2ax+a(0≦x≦2)について, --(1) 最大値を求めよ。 --(2) 最小値を求めよ。 --⇒ y=(x-p)2+q の形に変形すると,軸が x=a であるので,放物線を -- (1) では,変域の中央の左・一致・右 -- (2) では,変域の左・中・右 -- に動かしてみると,それぞれの場合における最大・最小となる位置が一目瞭然である。 -- この分野を初めて習うときに実際に動かしてみるとよさそう。 --(問題の出典:チャート研究所.増補改訂版 チャート式 解法と演習 数学Ⅱ+B,p.104.数研出版,2018. ) - GCでは数式そのものは対象でないので,他のソフトの方が適している。 -寺本さん --1.同じ底面積と高さからなる、錐形の体積と柱形の体積との関係を調べよ。 --2.放物線はすべて相似であるか調べよ。(自作) - 1はGCは3Dは扱わないのであまり適切でない。 - 2は扱い方次第ではおもしろくできる -田中さん --1 鈍角三角形ABCにおいてBC=5 CA=4の時、点Bを動かし、BCの長さを変えるとBCは最大でいくつとなるか。(出典:チャート式 解法と演習 数学Ⅰ+A p.189) --2 二次関数の放物線について、頂点を動かしてある点aとの距離を短くする(傾きを変える)とxの増加量が1の時どれだけ短くなるか。(自作) --1は扱えるがおもしろいかどうかはやってみないとわからない。 --2は他のソフト向き -馬上くん --1,四角形ABCD上に点Pがあり、点PはA,B,C,Dの順に辺上を動く。この時の三角形ADPの面積の変化を調べよ。(自作) --2,二次関数y=2x^2-5x+4のグラフをx軸、y軸、原点のそれぞれに関して対称移動した曲線をグラフに持つ二次関数を求めよ。 --(増補改訂版 チャート式 基礎からの数学Ⅰ+A チャート研究所編著 p123) --どちらも初めて取り組んだとき頭ではイメージしにくいので実際に点を動かしたり、移動した先を確認したりしてイメージしやすくさせる。) -1は扱いやすい -2は「式」そのものは扱えないが,現象としては扱える。 -藪木さん --⑴2点A,Bで交わる2つの円O,O'がある。直線ℓが円O,O'にそれぞれ点C,Dで接している。また、2点A,Bを通る直線mが、ℓと点Eで交わり、3点A,D,Cを通る円と点Fで交わる。このとき、四角形BDFCが平行四辺形であることを証明せよ。(点O,O'を動かす、円O,O'の半径を変える) --(数研出版 改訂版高等学校数学A P108) -問題文としてまとまってはいないが,現象としては表現できる。 --(2)三角形ABCの頂点Aから辺BCに垂線ADを下ろす。線分AD上に点Pをとり、Pから辺CA,ABにそれぞれ垂線PE,PFを下ろすとき、四角形BCEFは円に内接することを証明せよ。(点P動かす) --(数研出版 改訂版高等学校数学A P109) -「証明せよ」を,「発見する形」等に変えるといいと思う。 -松下くん --1.鋭角三角形ABCの垂心をH、外心をOとし、辺BCの中点をM、線分AHの中点をNとする。線分MNの長さは三角形ABCの外接円の変形に等しいことを、AH=2OMが成り立つことを用いて証明せよ --(チャート研究所.増補改訂版 チャート式 解法と演習 数学Ⅰ+A,p.332.数研出版,2018. ) --2.関数y=sinx(0<=x<=π)の表す曲線上に点Pがある。点Pを通りy軸に平行な直線がx軸と交わる点をQとする。線分PQを一辺とする正方形をxy平面の一方の側に垂直に作る。点Pのx座標が0からπまで変わるとき、この正方形を通過してできる立体の体積Vを求めよ --(チャート研究所.改訂版 チャート式 解法と演習 数学Ⅲ,p.336.数研出版,2020. ) -前半は現象として扱いやすい。 --後半は,sinxなので,他のソフト向き -芳村くん --【1】平面α:x + 2y + z = 5 と2点A(0,0,2)、B(2,1,0)がある。 --(1)平面αに関する点Aの対称点Cの座標を求めよ。 --(2)線分ABは平面αと交わらないことを示せ。 --(3)点Pが平面α上を動くとき、AP + BP の最小値を求めよ。 --(出典:高校の教師のオリジナルプリント) --空間図形の問題はなかなかイメージが湧かないため、点Pが平面状を動くとどのように変化するかが見てみたい。また、点ではなく平面を動かして色々探り、(4)を作問したい。 -3Dは扱えない --【2】xy平面上の2つの円c1:x^2 + y^2 = 25 c2: (x - 4)^2 + (y - 3)^2 = 2について、 --(1)c1,c2の2つの交点を通る直線の方程式を求めよ。 --(2)c1,c2の2つの交点を通り、点(3,1)を通る円の方程式を求めよ。 --(出典:Focus Gold 4th Edition 数学Ⅱ+B P184 例題102 名城大) --(2)の点(3,1)を自由に動かして、どのような円が出来るのかを観察する。点の位置によっては円がとても大きくなり、2つの交点付近だけ見たらほぼ直線になる。(1)と(2)の関係性に誰かが気付いて欲しい。 - 2の方は,現象として扱える -河崎さん --1.図で立体ABCDEは辺の長さが全て等しい正四角すいでAB=4cmである。Fは辺BCの中点であり、GHはそれぞれ辺AC、AD上を動く点である。3つの線分EH、HG、GFの長さの和が最も小さくなるとき、3つの線分EH、HG、GFの長さの和は何cmか、求めなさい。(出典:愛知県公立高校 2022年A日程入試問題 ) --2 .2点A(6,0)、B(3,3)と円x^2+y^2=)を動く点Qを3つの頂点とする三角形の重心Pの軌跡を求めよ。(出典:数件出版 チャート式 基礎からの数学Ⅱ+B p168 例題108) - 3Dは扱えない - 後半は扱える -西村さん --1.どのような三角形でも、三角形の重心は各中線を2:1に内分しているのか調べよ。(自作) --2.円x^2+y^2=1と直線y=x+mが共有点をもつとき、定数mの値の範囲を求めよ。(数研出版 改訂版高等学校数学Ⅱ P84例題7) - 前半は扱えるが,確認から発見に位置づけたい - 扱い方次第で -服部くん --1、y=2x²+4ax-8a(1≦x≦4)の最大値、最小値を求めなさい。ただし、a>0とする。(自作) --2、y軸上の2点(0.1)B(0.2)とx軸上の正の部分を動く点P(a.0)を考える。このとき、∠APBが最大になるときのaの値を求めよ(2006年 北海道大 改題) - 数式は扱えない -鈴木さん --1.tを実数とし、x,yの一次方程式(t+1)x+y-t-2=0…①、(2t+1)x+(t+3)y-4t-3=0…②を考える。座標平面上で①が表す直線をl、②が表す直線をl'とする。 --tがどのような値をとってもlは点(1,2)を通らないことを示せ。 --(出典:数研出版,改訂版 キートレーニング 数学演習I・Ⅱ・A・B 受験編 p59) -- 他のソフト向き --2.AC=4、BC=3、で∠C=90°であるような直角三角形ABCを考える。斜辺AB上に点Pを取り(ただし、PはA,Bと異なる)、PからACおよびBCに下ろした垂線をそれぞれPQ、PRとする。点Pが辺AB上を動くとき、長方形PQCRの面積の最大値を求めよ。 --(出典:数研出版,改訂版 キートレーニング 数学演習I・Ⅱ・A・B 受験編 p15) --扱える -黒田さん --1.方程式x^3-3x+a=0の異なる実数解の個数を求めよ。ただしaは定数とする。 --(数研出版 改訂版 教科書傍用 クリアー数学Ⅱ+B p101例題107) --2.sin(θ+π/4)、cosθ/3のグラフを確認せよ --(自作) - 他のソフト向き -大川くん --2次方程式x^2-2ax+4a-9=0の異なる2つの実数解のうち、ただ一つが0