*0.はじめに **0.0 コロナ感染 -お蔭様で,私自身はかなり軽症ですみました。 -念のため,宿泊療養を選択しました。ルートイン知立で,「誰にもあわず,健康観察結果をwebで報告し,一日一度電話でのやりとりをし,弁当を届けていただく」という日々を経験しました。 -「コロナに気をつけよう」と言いつつも,どこかで「自分は大丈夫」という慢心があったのかもしれません。 -でも,調べてみると,たとえば,愛知県での陽性者数は,すでに約200万人。 --@https://www.pref.aichi.jp/site/covid19-aichi/, こちら -愛知県の人口は約750万人ですから,すでにかなりの割合が「陽性として確認された人」なのです。 -私自身も,「ためしに検査を」と思わなければ,そのまま過ごしていたでしょう。 -つまり,潜在的に感染した経験がある人の割合は,もうかなりのものなのです。 -逆にいえば,それくらいの集団感染になっているから中国の感染爆発状態ではないかもしれないだけで,最近の15000人/日なんていう数字は,東京あたりと比較しても,「かなり高い」ことに変わりはなく,感染力はとても高くなっていると思う方が妥当なのだと思います。 -私自身は11/30に5回目のワクチン接種をしました。 -ワクチン打っても感染するんだ,ともいえますけど,たぶん,そのおかげで,かなりの軽症ですんだのではないかと思っています。 -ワクチンに関して,いろいろな考えがあるでしょうけど,個人的には,「お勧めします」。 **0.1 代替措置としてのオンデマンド -今回が初めてです。こういう対処。 -ご不便もおかけしましたが,「何事も実験」という考え方も大切かと思います。 -「授業」って,「やっている教員が同じでも,生徒(学生)がちがうと,かなりちがうものになる」ことを,実感していただいたのではないでしょうか。 -これは,例年のことです。 -3年生は,実習の経験があり,2年生はありません。 -たぶん,たったそれだけのことでも,いろいろなところに違いが生まれます。 -逆にいえば,「この授業は,実習経験者でないと,ちょっと無理がある」とも思いますけど,「そうでない人には,そうでない人向けの工夫ができないだろうか」「実習前に経験することで,実習にプラスにできることはないか」というスタンスで取りくんでいます。 *1. 「発問」「図」の工夫の例 **1.1 (前回の)水のみ問題について *** 教科書では -「右の図で,放牧場を点A, 小屋を点Bとします。また,草原と川の境目を直線l(エル)とみたとき,羊が水を飲む地点をl上の点Pとします。このとき,AP+PBが最短となる点Pの位置を求めなさい。」 -教科書では,「紙」つまり,「動かせない図」で提示しています。 -教科書でのそれまでの構成は,「基本作図」つまり,定規・コンパスで作図をする方法を学んでいます。 -そのため,上記に続く問1は次のようになっています。 -「前ページの場面で,羊が歩く道のりが最短になるような水を飲ませる位置Pを,水の図に作図して求めなさい」 *** 教科書で想定している数学的活動は? - 「線対称」のアイデアは? -- これは思いつくことを想定しているのかな,それとも,そのアイデアは提供して,「説明してごらん」を想定しているのかな。 -- そのあたりは,先生の意図によって,いろいろと変えて授業を実施することができるでしょうね。 - その説明は深追いをしないとしたら,「そういう点を実際に作図しよう」というところが,大きなねらいになるのかもしれませんね。 *** 先日拝見した授業では - 12/19に拝見した授業では,ある生徒が,「垂直二等分線との交点」という予想をしました。そして,教室の大半の生徒はそれに同意しました。 -そういう反応が想定されるクラスだったら,「きっとそうなる」というのを,どういかしますか? -かなり前,附属名古屋中学校では,上記のような反応も出そうだと思って,次のような図から出発しました。 |#00235-0104-02| -この図で,経路(AP+PB)が最短になるような点Pの場所はどこでしょう。 --みんな,「そりゃ,真ん中だよ」 -確認してみようか。 --ほら。やっぱり,当たり前じゃない。 -じゃあさ,今A,Bが同じ高さだったけど,もし,Bを下に下げると,最短になるはずの場所Pって,どうなるかな。 -変わらないっていう人もきっといるよね。やっぱり真ん中。 -いや,右っていう人もいて,おかしくないよね。 -逆に,左っていう人もいるかもしれない。 -じゃあ,三択だ。「左,変わらない,右」 -それぞれ,挙手してもらおうか。 -- それぞれ挙手 -実際に,確認してみるよ。 -この授業の流れの「意図」と,そこで生まれる生徒の中での議論って,想像できますか? -ここでは,生徒の手元に,タブレット等はありません。 -紙しかありません。 -問題状況を先生は,「一つの画面」で提示するだけですが,「しばらくすると,みんな共通の画面の中で,それを確かめる実験をすることができる」わけです。 -手元にiPadがあって,「確認したいと思ったらすぐにできる」環境と,明らかに,生徒の活動は変わってきます。 *** ある学校では,「鏡」をつかった。 - 「最短になるはずの場所を見つける実験って,どうやったらいいのかな」 -- 光の経路 - そうだな。じゃあ,今日は,鏡とレーザーポインタで,実験してみよう。 -どういうしかけを用意し,どういうことを観察し,そして,どういう流れで授業が構成されたか,想像できますか? *** ある学校では, 「教えてしまった」 - こういう問題があります。 - これってね,こういう解き方をするんだ。 - さあ,考え方,わかったかな。じゃあ,今日の問題です。 - さっきの問題は,一つのところに,タッチしたね。 - 今日,みんなに考えてほしいのは,「二つ」の場合です。 - この先生の「意図」はわかりますか? *** 「測定」は,「推論の前なのか,後なのか」 - 問題提示をして,「考えることは紙の上で行ない,発表」をして,そして,最後に確かめる。 - これは,一つの2000年代以降の一つのスタンスです。 - GIGA以降では,「手元にタブレットがある」から,先に測定してしまうかもしれませんね。 - 「この問題で,測定をして,場所を見つけたとする」 - さっきとは,どういうことが変わるのでしょう。 -- より明確にいえば - 「測定で,この問題に対する答えが見つかったとすると,さらにすべきことって,あるのでしょうか。」 *** 三つの図。なにがちがう? -(1) |#00236-0104-10| -(2) |#00237-0104-11| -(3) |#00238-0104-12| -(4) |#00239-0104-13| -(5) |#00240-0104-14| *** 上記の「違い」は,いかせるのかな。 -どうでしょ。 **1.2 水のみ問題をちがうねらいから検討しなおす *** 問題状況として提示する(1) -次のような問いは,どういうねらいがあるでしょう。 -こんな感じでね,Aから羊を連れ出してBに行きたいんだけど,途中で水を飲ませたいんだ。みんなだったら,どのあたりで飲ますといいと思う? *** 問題状況として提示する(2) -次のような問いは,どういうねらいがあるでしょう。 -こんな感じでね,AからBまでの競争をする。まっすぐに行くのではおもしろくないので,途中で水にタッチしてからBに行くことにする。みんなだったら,どのあたりにタッチするといいと思う? *** どれくらいの「発展」がありうると思いますか? -きっと,みなさんが「大学生として」取りくむ価値もありそうに思います。 **1.3 方ベキの定理 -豊田くんが今回,課題で取り上げてくれていますけど,これは,CIIで取りくむ事例としては,「扱いやすい事例の一つ」ですよね。 -- 紙で扱うときには,....どういう扱いでしょう。 -- 動的に扱うことで,どういうことを発見しやすくなるでしょう。 -- そこで授業でつかう図も,複数想定されます。 -- 関連して,「問い」をどうするかということもあるでしょう。 **1.4 関連して / コンバージョンキック(ラグビー) -@http://www.auemath.aichi-edu.ac.jp/teacher/iijima/gc_rc/rc/gchtml/gc_02916-j-sample-07.htm, 私のトップページにも掲載しています。 - コンバージョンキックって,知っていますか? - ラグビーって,知っていますか? / サッカーはすべてゴールに入ったら1点だけど,ラグビーって,どうなっている? - サッカーのWカップ,もりあがったけど,今年もWカップあるの知ってる? 前回日本開催でもりあがったんだけど。そう。ラグビー。 - みたいな,いろいろな「はいり方」あるでしょうね。 - この問題,どういうところがおもしろいのでしょう。 **1.5 円に内接する三角形の面積を最大にする問題(星原さん) -この問題の場合,「観察」はきっとわかりやすいですよね。 -「その証明」はどういう論理で取りくむことを想定しているでしょう。 - 「四角形」はかなり異なる展開になります。 - それらを含めて,いくつかの選択肢を考えたとき,「どの学年・単元」で扱うかによっても,授業化は大きくかわってきます。 **1.6 円周角の定理の逆(宮本くん) -「点Eを自由に動かしたときに∠BDCと∠BECの大きさを比べたとき大きさが一緒になるとき4点B,C,D,Eにはどんな性質があるといえるだろう。」 -普通に,「円周角の定理の逆」を授業化するということでしょうか,それともなにか少しこだわりがあると思った方がいいのでしょうか。 **1.7 朝になって,さすがにいろいろな方が「投稿」しているけど - できたら,「CIIの中でのあまりに基本的な事例」は,「基本的には避けよう」。でも,どうしてもというときは,「それなりの工夫」をしよう。 - たとえば,「四角形の4つの辺中点を結んでできる四角形」では,「いつも平行四辺形になる」 - 「問い」には工夫があるだろうか。 *2. 証明と発見 ** 最初に思いつくのは,「解説」かもしれないけど。 - みなさんが最初に思いつく事例としては,「わかりやすい解説」かもしれません。 - それはそれでよさもあるので,否定はしません。 - ただ,それって,「主役は先生」ですよね。 - やはり,授業を考える上では,「主役は生徒」にしたいと思うわけです。 - そして,対面で取りくむ授業として。 ** 「動的」は発見に役立つことが多く,証明には「静的」が合っている。 -すべてをGCでというのは,きっとうまくいきません。 -図形を動かして調べるというのは,基本的に,「発見」には役立ちますけど,「証明のための道具」にはなりにくいことが多いです。 ** 「事実の発見」だけでは,数学にならない -対応表のようなものをつくるためにGCをつかうのは,適しています。 -でも,「事実の羅列」では,数学ではありません。 -どこかで,「数学的に問いを生み出し,思考の切り換えを生み出したい」わけです。 ** 「証明だけの数学」も,ちょっと魅力が少ないかもしれない。 -「できる人」にとっては,数学は証明されしておけば,それでいいじゃないかと思うかもしれません。 -それはそれで否定はしませんけど,「発見」や「動的」がはいると,また,その魅力がより深くなっていく。 -そういうところを,実感してほしいと思います。 ** 「発見」と「証明」は両輪 - これは,みなさん自身が,「そういうもの」として,「具体的な事例をふまえて,語れるようになってほしい」と思うんですけどね。 -指導案作成等の課題が,もしみなさんにとってむずかしいとしたら,そういうことを,自分の経験をふまえてきちんと記述するというのも,あってもいいのかもしれないと思っています。 * 3.課題 **3.1 「授業の大まかな流れ」を明確にする -扱う素材は,「前回の課題で想定したもの」でもいいですし,「変えてしまう」のでもいいです。 -次の項目を,まなびネットに書き込んでみてください。 -- (1) 発問 -- (2) 図(オンライン保存したもののurlをコピペする) -- (3) 想定する主な授業の流れ -上記がある程度明確になってきたら,きっと指導案へ...といけますよね。(そのための準備として行っているわけです。) **「授業中に検討希望」の方は,ぜひ,メールにて。 -CIIの授業の中で検討してほしいと希望する方,ぜひ。 -今後の授業のどこかでは,発表をするわけなので,はやい方がいいかと思います。