*0.はじめに **この授業の「教科書」のこと - 希望者には,教室にて(一定数は持ってきています。) - それ以降の希望者は,研究室(自然科学棟522)にて。 ** まなびネット -- 毎回,授業に関する感想等を,授業後に記述することを求めます。(これが,出席の代替になります) -- また,今後,毎週1つずつくらい,「授業ビデオをみて,感想をかく」ことなどを,課題にしたいと思います。 -- -- その感想は,まなびネットの中に書き込み,また全員の意見を「みえるようにして」意見を共有できるようにしたいと思います。 --「共有することの意味と意義」「共有すべき情報と共有しない方がいい情報あるいは課題」等に関しても,意識化できるようにしてください。 **0.1 「教科書」の0.1-0.5に関して -この部分は,ある意味で,「先週,ある程度扱っている」ともいえます。 -一方,「お話を聞くだけ」ではあまり実感できない部分でもあります。 -学習指導要領解説や,web上のいくつかの資料等をもとに,このあたりに関して検討し,レポートとしてまとめる課題は,後日扱いたいと思います(今の予定では,11/17)。 **0.2 「探究とはなにか」を実感する。 -今後の一つのターゲットは,「探究とはなにか」を,「実際に模擬授業的に取りくんでみる」ことを通じて,実感する」ことです。 -最初は,「前回の話題」について「自分でも実験・観察してみる」ことを出発点に,模擬授業的に取り組んでみます。 -みなさんの観察や,発言などをもとに,教室全体としての探究でどういう方向に進んでいくか,それを一緒に楽しんでみてください。 -「それを振り返ってみて,」どういうところが自分にとって「数学的と感じたか」,それを振り返って言葉にしてみることが,今日のまなびネット用の)課題です。 *1.「動かして調べることができる」ことは何を意味するのだろう。 **1.0 「どんな場合がある?」 #00003-1027-02 -今日の本題にはいる前に,ちょっと模擬授業を。 -中学生になったキモチで取りくんでください。 **1.1 「四角形の4つの辺の中点を結んでできる四角形」の問題について #00001-test *** GCでの「動かして調べる」 - 「緑の点」は動かすことができる。 - マルチタッチで,複数の点を一緒に動かすこともできる。 - 基本的には,「アバウト」に形を動かして「だいたいのことがわかればいい」という観察 - 「きちんとした形にする」上では,「格子点に限定」のボタンを使うのも一つの方法 - 「方眼を表示する」のも一つの方法 *** 「いろいろな場合を調べる」 - 四角形ABCD について,「どんな場合でも,○○になる」というのは,「一般的に成り立つこと」への注目 - ABCDとして,いろいろな「特殊な場合」について調べることもでき,「特殊な場合に成り立つこと」への注目もできる。 *** GCでの「観察」について - 「どういう場合について調べるか」は,無限にありうる中で,代表的なものを「選択」している。(他にもあるかもしれない) - たとえば,「平行四辺形」は集合なので,観察しているのは,その中の一部だけ。 - 特にスケッチをかいたのは,一つの場合だけ。 - その図の特徴などを「解釈している」ので,本当に正しいかどうかはわからない。 ***「いろいろな場合」について調べてみよう。 |ABCD|EFGH|スケッチ| |正方形||| |長方形||| |ひし形||| |平行四辺形||| |台形||| |四角形||| - ワークシートを配布するので,それを使って観察し,記録してみよう。 - 「一通り埋めることがねらい」ではなく,「それを眺めて,どんなことに気づくか」を発表することがねらい。 ***ここから「どんな問題」を見つけたのでしょう。 -「いつも成り立つこと」としては -「こんなときにはこんなこと」(特殊な場合)としては - それ以外に, どんなことが大切と思いましたか? ***「普通の授業」だったら, どんな意図に基づいて, どんな発問あるいは活動をしているのでしょう。 - - - ***「教科書の流れ」でいけば - 教科書では,「教室の全員に紙の上でスケッチをし,『どうなった?』」 - それぞれの目の前に,「特定の四角形があり,その結果がある」そして,「学級全体では,かなりバリエーションがある」 - 「すべてに共通することとしての,『EFGHは平行四辺形』」 - それを証明しよう,という流れ。 *** GCで表示すると,「動かすことで,いろいろな場合を調べることができる」のはどんな教育的な意味があるのだろう。 - 全員が一つずつでなくても,「全員がいろいろな場合を調べる」とか,「グループで協力しながら,いろいろな場合を調べる」ことが可能。 - その結果を観察することで,「どんなことに気づくか」という流れが,「多くの図に対して行えるはずの活動」として想定できる。 - そういう活動をすることには,「どういう意味があるのでしょう」 - 「教育的な意義」が意図されていれば,それはやってみる価値があります。そして,そういう意図が実現したかどうかを観察し,生徒の活動に対して価値づけをすることができます。 - 逆に,意味ある活動が実現できないなら,わざわざややこしい道具(ICT)を使う意味などありません。 **1.2.第二の問題 *** まず, 問題文を「what if not で変える」 -- つまり,問題文を明確にして,「その一部を他に変えてみる」 -- どこに注目するか,どう変えるかで,組織的にいろいろな問題文を生成することができます。 -- そういう方法論のことを,数学教育の中で,「what if not strategy」と呼ぶことが多いです。 - 辺の中点を, 角の二等分線でできる交点 に #00002-1027-01 *** まず, 「いろいろな場合」について調べてみると, どうなる? |ABCD|EFGH|スケッチ| |正方形||| |長方形||| |ひし形||| |平行四辺形||| |台形||| |四角形||| ***ここから「どんな問題」を見つけますか? - 注目したい事実 - つくった「問い」 - その他 **1.3 「多くの問題に対して,同様のことができる」のが,動的幾何ソフト(作図ツール)を利用する意味 -紙上にフリーハンドで取り組むことで,最初の問題について,今日と同様の探究をすることは可能です。 -でも,第二の問題についてと紙とフリーハンドで取り組むことは,ほぼ不可能です。 -GCなどの動的幾何ソフト(作図ツール)を使うと,非常に多くの図に関して,「作図して,動かして,いろいろな場合について調べる」ことが可能です。 -つまり,「いろいろな場合について調べること」は,理念的には理解できても,紙で実行可能な世界は限られていますが,その世界を広げているのが,動的幾何ソフトなのです。 -ただし,本当に力がある人にとっては,そういうソフトなんて使わなくてもそういう活動を,念頭で行ったり,フリーハンドで行ったりすることも可能でしょうけどね。 *2.「今日学んだこと」は何だろう。 - 「知識」としては - それ以外として,みなさんは何を感じましたか。 *3.課題 - 今日の感想 - 今日の数学的探究に関して,「数学的」と感じたプロセスについて -- 詳しいことは授業の中で指示します。 - 授業ビデオについて --来週(11/3)が休日ですが,今日体験したことに関連する授業のビデオをみるのがあまり先になってしまうといけないので,「授業をみて感想をかく」課題をメールで連絡します。 *4.備考 -今日の例に関しては,教科書の中で扱っています。 -「今日,みんなで体験したこと」と,教科書の中で記述されていることを比較しながら読んでみるといいでしょう。 -「今日の体験」は,「ここだけで起こったこと」です。「他のメンバー」で取り組んだら,また異なる探究が成立するでしょう。さまざまな事例について観察したり,「こういうことって,ありうるだろうか」とか想像してみたり,「それがうまくいくには何が重要なのだろう」と考えたりすること。それが,「探究とはなにか」で伝えたいことなのです。