*0.はじめに **0.1 残りが少なくなってきました。 -今日を含めて4回です。 *1. 指導案作成にあたって ** 1.1 前回も話題にしたこと -項目のみ。詳細は前回の記録を ***1.1.1 「証明」などの「数学らしさ」と,「発見」などのプロセスの両方は,取り入れていただきたい。 ***1.1.2 「やりとり」をふまえながら次第に深まっていく様子をイメージしたい。 ***1.1.3 自分の具体例を念頭に置きながら「CIIの教科書」よむと,けっこう参考になると思うよ。 ***1.1.4 基本的には,「その事例に内在する数学らしさ」を最大限に引き出したいと思うのがいい。 ***1.1.5 「その問題について深くつきあってみる」のが基本 **1.2 タブレットあるいはPC等を使い方について /「どの使い方を想定する」かはきちんと選択してほしい。 ***「一人一台」 -GIGAによって「一人一台」が基本になりましたが,GCの利用では必ずしもおすすめしません。 -「教科書の代替」「ノートの代替」「答案用紙の代替」「テレビ会議(zoomなど)のための機器」など,いろいろな役割をタブレットは持ち得ますが,GCは作図の代替(なので,作図ツールともいう)であり,その活動でいえば,実験の代替といえるでしょう。 -実験をする「スキル」を身につけるなら,一人一台が適切です。 -「そのスキルを生かして一人で問題解決をする」ことがねらいなら,そうすべきです。 -でも,たぶん,みなさんが想定している授業はそうではなものが多いです。 -そうなると,「会話」が活性化しなくなる「孤立化した学び」になってしまうのです。 ***「グループで一台」 -「密は避ける」のが今の学校状況ですが,それはずっと続くとは思えないとすると,「密で話し合いしながら取り組む」スタイルは意識していいと思います。 -授業ビデオの中でみていただいたいものの大半はこのスタイルです。 -適切な問いと,適切な図を与え,観察し,書き込み,....等の学び合いの時間をあたえ,証明をしたくなったら,ノート(紙)に移動し,個人の活動にうつっていくのがたぶん自然です。 -そういう意味で,多くのケースでは,このスタイルが適していると思います。 -そのときに重要なものの一つは,「発問」です。 -グループで話し合いながら探究するのに適した「問い」を考えてほしいのです。 -そして,そこで使う図はちょっと違っていても活動は大きく変わるので,「図の工夫」もしてほしいのです。 ***「教室に一台(プロジェクタ等とともに)」 -生徒にタブレットを渡した瞬間に,「やりたいと思ったら,すぐに操作してしまいます」 -それが望ましい場合もあるけれど,「そうでない方がいい」こともあります。 -たとえば,「予想」をさせたいときは,「一つの画面だけを観察し,動かすかどうかは教師がコントロールする方がいい」のです。 -生徒が「その場で調べる」なら,それは予想ではなく,「観察」になるのですから。 -また,タブレット等を使う場合でも,問題を提示するとか,発表するなど,一斉指導の場面も不可欠で,そこではプロジェクタを使う方が基本です。 ***「ロイロとを併用することもあるが」 -個人やグループの成果は,クラスで共有したり,記録をデジタルアーカイブすることが適切なので,そのために,ロイロノート等を使って名古屋中学校では保存しています。 -みなさんが学校に言ったら,そういうものを活用しているケースも多いでしょう。 -ただ,現時点では,大学でその環境を実感することはできないので,今回はあまり意識しなくていいと思います。(それを前提に書いてもいいけどね) ***「ワークシート」 -「記録」しないといけないケースは多いでしょう。 -そのために,ワークシートを用意した方がいいと思う場合は,指導案において,ワークシートをつくっておくといいでしょうね。 *2.ケーススタディ **2.0 はじめに -今回,全員の事例について扱うことはむずかしいかもしれません。 **2.1 教科書にあるような事例を「すなお」に扱う - ある意味,「独力でがんばれ」 -教科書にある問題でごまかそうとしているから「放置」というわけではありません。 -「教科書などの意図を読み取りながら組み立ててれば,きっとみなさんの力量なら,なんとかなるでしょう」という意味です。 *** 長瀬さん -これはそのまま教科書だよね。 ***水野晴貴くん -円に内接する四角形は,教科書の中でも登場してくるよね。 ***福井くん -円周角の定理の逆 ***高柳くん,新井くん -接弦定理 **2.2 教科書にあるけど,ちょっと「工夫」しようよ。 -「単独の問題として,その解決を考える」というアプローチもあります。 -でも,多くの問題は,他の問題との「関連」があるのではないでしょうか。 -その関連を扱うことは,きっと,みなさんなりに,「数学的な価値」を見いだしているはずだと思うのです。 -それを反映できているでしょうか。 *** 河合さんの問題 -「四角形ABCDで、辺AD、BC、対角線BD、ACの中点を、それぞれ、E、F、G、Hとする。四角形EGFHはどんな四角形か。 上記問題が解けたら、点E、F、G、Hが一直線上にあるときの四角形ABCD、四角形EGFHが平行四辺形になるときの四角形ABCDなどを考える」 -最初からこの問題を単独で扱うことって,「ない」と思うんですよね。 -この問題だけを解決するなら,「中点連結定理が使えることを生徒に気付かせる。」や,その後の流れは「わかります」けど,きっと,みなさんなりに,「数学的な価値」を見いだしているはずだと思うのです。 -「四角形の4辺の中点を結んでできる四角形」の問題との関わりで考えるのではないでしょうか。 -とすると,そういう「原問題」との関わりをうまくいかしていくことが,きっと不可欠なのではないでしょうか。 ***「2.1」のそれぞれも,ある意味で,みなさんの工夫次第 -みなさんの意図が,「教科書にかなり近いところにある」のか,「少し異なる扱い方」をしているのかで,変わってきますね。 **2.3 教科書の発展として,比較的扱いやすいはずのもの ***森田くん -2直線にタッチするときの最短経路 ***唐牛くん,石川くん -方べきの定理 --方べきの定理は,図の作り方にしろ,展開にしろ,選択肢は多様です。 **2.4 5心の周辺 ***井上くん,宮原くん -単独で外心と内心あるいは,重心と外心を扱うのも一つの手。 -一方,Euler線との関わりというわけではないけど,たとえば,「4つの心」に関する現象として扱い,「いろいろな問題」を生成して,そこから「問題を選択する」とか,「分担して取り組む」とか,「一連の流れを扱う」というようなことも可能 ***山本くん -「垂心」の証明に関して他の心との関わりで扱っている。 -「気づき」を引き出すのに,どの方法が,どういう特徴があるのかな。 -「フリーハンドの図」だけでもいける部分もある。動かすと,どういう理解が深まるのだろう。 ***田木くん -垂心に関して,初等幾何の方法でオーソドックスにいくなら,それも一つの選択肢かも。 **2.5 「発展的な定理」に注目した方々 -まず,素朴に,「証明の難易度」をきちんと把握しましょう。 --もし,「そんな証明は対象としての生徒には無理だ」と思えるなら,「定理の発見」のところだけに焦点化する手もあります。 --ただし,「発見に限定」の場合も,それなりに「発見した価値」を生徒も実感できるようにしておくことは不可欠です。 -解法が「手頃」であれば,証明そのものをフリーに解決させることも,適切かもしれません。 -でも,一定のむずかしさがあるなら,それに本気で取り組むことをターゲットにするのか,かなりお膳立てをしておいた範囲での取り組みにするのか,あるいは,証明はあきらめてしまい, 証明が不要でも不自然でない,レポート作成のスタイルを実感できるようにする手もあります。 -あるいは,「補助線のようなものを加えた図」を動かしながら考えて,命題を発見するプロセスを実感する手もあります。 --「その図」は,みなさんが発見した方がいいかもしれないので,今回はまだ教えてしまわない方がいいかもしれませんが...。 --でも,みなさんにとって,「それは無茶なこと」と感じるなら,紹介します。 ***フェルマー点(斉木さん) -まず,フェルマー点の特徴はいくつもあるので,今想定しているものも含めて,どこに焦点を当てるのか。複数を扱うのか,どういう流れを想定するのかが大きなポイントです。 -基本的には,「証明」に至る流れを考えると思います。 --その場合は,その証明は生徒にとってどの程度むずかしいのか,どこはある程度サポートしてしまって,どこを発見の対象にしたいかを選択することが大切です。 --きっとそこには「気づき」が不可欠なので,一人よりも,複数で話し合いながらというスタイルが適切でしょう。 ***ナポレオンの定理(冨板 蒼真くん) -この図は,ある意味で,フェルマー点の発展でもあります。 -フェルマー点のことを既習として扱う手もあれば,未習として扱う手もあります。 -また,たぶん,初等幾何的な証明を想定しているのではないかと思いますし,きっとそれで授業の流れを構築することはできると思いますが,他の方法での証明もできないわけではありません。 -もっとも,複素数などでの証明は,証明というよりも,「計算」の色彩がつよくなってしまいますが。 ***オイラー線(多数) -今回多数の人がオイラー線に注目しているので,少しきちんと扱いたいと思います。 -みなさん,この定理の証明は「理解」しましたか? -注目するのは,「どこ」でしょう。 -論理の組み立て方に特徴はありますか? -「特殊な場合」はありますか? -授業化そのものもけっして簡単ではないので,「協力してつくる」のもアリだと思いますし,そこにいたる流れを1ときずつ分担してつくるのもアリかもしれないとも思います。 -ただ,今日,この話からはじめるときっとそれだけで終わってしまうので,若干あとの方で扱う予定ですが,あまり時間がとれなかったときは,次回,オイラー線「のみ」に焦点化してみるのも一つの手かもしれません。 **2.6 その他 ***加藤 隼也 くん -ちょっと意図が読み取りにくい。 -2円の位置関係を扱いたいなら,円そのものを動かしたらいいんじゃないのかな。 ***的場くん -充填率そのものは興味深いと思います。 -でも,うまく扱えるのかな。 -ちょっと心配。 -「語れる」かどうか,それを聞いて「納得する」かどうかが,一つの試金石 ***岡本くん -塩山の件に注目してみるのは,チャレンジングでわからないでもないけど,...大丈夫? -いろいろな意味で,「結構むずかしい」よ。 ***原くん -シムソンの定理を少しアレンジした形 -「証明」」は大丈夫? -大丈夫で,適切難易度であれば問題ないですか,そこがかなりむずかしいなら,工夫が必要です **印刷のとき,南條くんのを盛り込み忘れていました。 -「問題」そのものを見ると,ある意味,それほど難しい感じはしないというか。 -「補助問題」が必要なのか,「この図」に適切なものを書き込めばいいのか。 --... **2.7今回ないけど,こういうのもある *** 関数関係 -図形の中にある二つの数量の関係を調べるのは,現実の現象の測定よりも,精度が高く,お手軽です。 *** 複素数 -複素数平面上での現象を扱うのもアリではあります。 *** 変換 -中2で扱うのは,あまり詳しくはやらないですけど。 *** 問題の条件変え -ぎっと,数学教育の他の授業では,what if notなどとの関わりであったりするのでは。 -今の事例でも,「そういう扱い」を主軸にする手もあります。 * 3.課題 **3.1 可能な方は,指導案作成を -メールで提出してください。 -やりとりをしながら仕上げていく流れになるでしょう。 **3.2 「授業の大まかな流れ」を明確にする(前回同様) -今回同様に,授業の中で,模擬授業的なプロセスを盛り込みながら検討してみたいと思います。 -次の項目を,まなびネットに書き込んでみてください。 -- (1) 発問 -- (2) 図(オンライン保存したもののurlをコピペする) -- (3) 想定する主な授業の流れ -上記がある程度明確になってきたら,きっと指導案へ...といけますよね。(そのための準備として行っているわけです。) ** 心配な方々 -まなびネットに書き込みをしていない方 -対面に参加してきていない方 -それぞれ,いろいろな事情があるかもしれませんが,「デフォルト」は例年とは変わっていません。「例外的な対処」があるだけです。「オンデマンドを勝手にみて,最後に指導案だけ出せば単位がでる」なんていうことは,もともと想定していません。 -大丈夫なのでしょうか。