*0.はじめに **0.1 松元実践に関して ***みなさんの「感想」とてもいいです。 -いろいろなところをきちんと観察しているし,自分の意見も持っているし,それぞれ「とてもいい」です。 -もちろん,「でもさー」と言いたくなることもないわけではありません。 -つまり,本当は,いろいろと「議論したい」と思う素材がいろいろあって,「授業について議論できる力量」を感じるわけです。 -ただ,「このCIIの時間の中では,それはちょっと確保できない」 -そういう意味で,「みんなの感想を眺めて」ください。 -そういう趣旨で,フォーラムにしているわけですし。 ***「一つの授業から,いろいろな授業の可能性を考える」ことができると,さらにいい -「附属だから」という意見もいくつかありました。 -そりゃそうです。 -「この学校,この生徒,この教材だからできる最大限のこと」を実現したいと,松元先生は思い,そして行動しました。 -ちがう学校,ちがう生徒だったら,ちがう授業化をするはずですよね。 -同じ附属でも,名古屋中と岡崎中はいろいろな意味で,全然ちがいます。 -「このネタをもう一つの附属中でやるには,どういう授業にするといいだろう」と,いつも思い議論します。 -ついでにいえば,この素材はかなり前に,川崎市内の公立学校で実践したものなのです。 -つまり,附属でないとできない素材ではないのです。 -ついでにいえば,「高校」だと,どういう位置づけになるのでしょうね。 *** 「どういう価値」をそこに見いだしたいか -「知識?」 -「プロセス?」 -それ以外って,なに? ***資料 - もともと,「学びあい」を意識した実践です。 - 関連資料,ありますから,参考にしてください。 -@http://hdl.handle.net/10424/00008538,GC を使った「学び合い」の授業のための教材研究の一例 -12/6 のGC 活用研究会(松元実践)に向けて-(2018) **0.2 みなさんが取りくんできた問題 -前回の素材を「どう料理できるか」をきちんと議論していなかったから,「同じ」人もいるし,「軌跡」の問題の人もいるし。 ***それぞれへのコメント - 問題・円周上にn点を取り、点同士を結ぶ線分を引き得る限り引くとする。ただし、3つの線が内部で1点で交わらないことはないものとする。これらの線により分割された領域の数をanとおく。例えばa1=1, a2=2, a3=4, a4=8, a5=16, a6=31である。a10の値は○○であり、a20の値は○○である。(2019 産業医科大・前回私が挙げた問題) --いい問題だと思います。でも,たぶん,PC等を使うよりも,「紙」の上などで考える方が適しているんじゃないかな。 -原点Oと点X(12,12),Y(20,0)があり、鋭角XOYの内部に2点A(12,7),B(17,3)が与えられている。半直線OX,OY上に、それぞれ点P,Qをとり、AP+PQ+QBを最小にするには、P,Qをそれぞれどのような位置にとればよいか。また、AP+PQ+QBが最小となるときの値を求めよ。 (改訂版チャート式基礎からの数学I+A 数研出版 改題) --「中学校の「あの」問題の発展として,「いい」問題ですよね。さらに発展させることもできるけど。 --「ジャンル」として,「最大・最小問題」は,扱いやすいです。 -円x^2+(y-3)^2=1に外接し、x軸に接する円Cの中心の軌跡を求めよ。「改訂版 チャート式 数学Ⅱ+B」数研出版 --「こういう円」をどうやってつくるのか。その試行錯誤が可能になりますね。 -x^2+y^2=r^2, x^2+y^2-8x-4y=0について、2円が内接する時、定数rの値を求めよ。また、異なる二点で交わるときのrの範囲を求めよ。 (改訂版 チャート式基礎からの数学Ⅱ+B 数研出版) --2円の位置関係を扱う問題「群」をイメージできますね。 -四角形ABCDがあります。対角線の交点をOとし、OBの中点をE、ODの中点をFとします。またEから垂線をひいて。次の問に答えなさい。 AECFはどんな図形になるだろうか 面白いほどよくわかる数学 小宮山博仁著 日本文芸社 改題 --これまでのスタンスの問題群と,よくにている感じがしますね。 -2つの円(x-3)^2+(y-4)^2=9、x^2+y^2=r^2が共有点をもたないように、定数rの値の範囲を定めよ。ただし、r>0とする。(改訂版 数学Ⅱ 数研出版 P.113演習問題A-5) --これも,2円の位置関係ですね。 -直線y=mxと円(x-4)^2+y^2=12が異なる2点A、Bで交わるとき、線分ABの中点Pの軌跡を求めよ。(改訂版 チャート式 数学Ⅱ+B 数研出版) --mを使っているけど,現象としては,「定番」といえるかな。 -xy平面の原点をOとする。xy平面上のOと異なる点Pに対し,直線OP上の点Qを次の条件(A),(B)を満たすようにとる。
(A)OP・OQ=4
(B)Qは,Oに関してPと同じ側にある。
点Pが直線x=1上を動くとき,点Qの軌跡を求めて,図示せよ。
(改訂版 チャート式 基礎からの数学Ⅱ+B 数研出版)
--これを「どう作図しようか」という,作図題という側面もありますね。どうやりますか? -鋭角三角形ABCの外心をO、垂心をH、内心をI、とする。また、直線AOと外接円の交点をD、直線AHと辺BCの交点をEとするとき、3点O・I・Hの関係を見つけよ (クリアー数学I+A 数研出版 改題) --これも,後日,名古屋中学校での実践をみていただきたいと思っている事例です。「解説するだけ」は簡単だけど,「生徒が活動するような授業」として設計するのは,けっして簡単ではないのです。でも,やりがいもあるけど。 -座標平面状で点(2,2)を中心とする半径1の円をCとする。Cに外接し、x軸に接する円の中心Pの軌跡を求めよ。(改訂版 チャート式 数学Ⅱ+B 数研出版) --前出だったかな? -次の条件を満たす点Pの軌跡を求めよ。
(1)放物線y=x^2上を動く点Qと点A(4,0)を結ぶ線分AQの中点P
(2)定点A(2,0),B(4,0)と円C:x^2+y^2=9上の動点Qを頂点とする△ABQの重心P
(FocusZ 数学Ⅱ+B 啓林館)
--放物線が登場するものは,「すなおに使う」のはむずかしいよ。この問題の場合,扱えないわけではないけれど。 -正三角形でない鋭角三角形ABCの重心G、外心O、垂心Hは一直線上にあり、重心は外心と垂心を結ぶ線分を外心の方から1:2に内分することを証明せよ。 (改訂版チャート式基礎からの数学I+A 数研出版) --Euler線のことは,前出でも書きましたが,名古屋中での実践を扱いたいと思います。 -2点A(2,3)、B(6,1)の距離の比が1:3である点Qの軌跡を求めよ。 (改訂版 チャート式 基礎からの数学Ⅱ+B 数研出版) --条件を満たす点の集合の代表的な問題....ですね。 -円C:(x-2)^2+y^2=2,直線?:y=kx(kは実数の定数)について
(1) 円C と直線?が」異なる2点A,Bで交わるとき,kの取りうる値の範囲を求めよ。
(2) (1)のとき,線分ABの中点Pが描く軌跡を求めよ。
--(1)が主役になるよね。一般化できるよね。原点を通る直線族を考えているけど,「他の点を中心にすると」「平行線の族」にすると,どうなる? -2点O(0,0)、A(1,0)と円x^2+y^2=1上を動く点Pを3つの頂点とする三角形の重心Gの軌跡を求めよ。 --軌跡の問題として,基本的かな。 -点Qが円x^2+y^2=9上を動くとき、点A(1,2)とQを結ぶ線分AQを2:1に内分する点Pの軌跡を求めよ。 --これも、軌跡の問題として,基本的かな。 - 円C:(x-1)^2 +(y-1)^2=4と2点A(5,1),B(3,4)がある。点Dが円上を動くとき△ABDの重心Eの軌跡を求めよ。 (00東洋大) --これも、軌跡の問題として,基本的かな。 *1.「教材研究」をしたい **1.1 「図形を動かす」ことを生かすという観点で *2.「中学校の教科書の事例」を解読してみるスタンスで -「作図する」ことを含めて **2.1 問題1 - 次の図は,中学校の教科書で掲載されている図です。 -- (1)「どういう問題文」でしょう。 -- (2)「どういう意味で動かす」ことを,教科書では想定しているのでしょう。 -- (3)そういうことに取り組むのに適している図を作図してみましょう。
*** 備考 - 正三角形や,正方形の作図をするときには,「要注意」 **2.2 問題2 - 次の図は,中学校の教科書で掲載されている図です。 -- (1)「どういう問題文」でしょう。 -- (2)「どういう意味で動かす」ことを,教科書では想定しているのでしょう。 -- (3)そういうことに取り組むのに適している図を作図してみましょう。
*** 備考 - 直角三角形をぴったりつくるのは,けっこう面倒です。 - まず,背景にグリッドがあると便利です。(座標軸等を表示したい / どうするといいでしょう / ショートカットキー Ctrl + A) - 「格子点」にするためには,先週,なにかありましたね。 - 直角三角形は,「動かない」方がいいのです。 - どうするといいでしょう。 -- 「編集」→「点」がヒントです。 **2.3 問題3 - 次の図は,中学校の教科書で掲載されている図です。 -- (1)「どういう問題文」でしょう。 -- (2)「どういう意味で動かす」ことを,教科書では想定しているのでしょう。 -- (3)そういうことに取り組むのに適している図を作図してみましょう。
*** 備考 - 二等辺三角形をぴったりつくるのは,けっこう面倒です。 - まず,背景にグリッドがあると便利です。(座標軸等を表示したい / どうするといいでしょう / ショートカットキー Ctrl + A) - 「格子点」にするためには,先週,なにかありましたね。 - 二等辺三角形は,「動かない」方がいいのです。 - 動く点は,「線分上」にとりたいですね。 - 「作図」→「点」→「追加」... - 注目したいところの色を変えるといいかもしれません。 **2.4 問題4 - 次の図は,中学校の教科書で掲載されている図です。 -- (1)「どういう問題文」でしょう。 -- (2)「どういう意味で動かす」ことを,教科書では想定しているのでしょう。 -- (3)そういうことに取り組むのに適している図を作図してみましょう。
*** 備考 -2.3とよくにていますね。 -垂線の足を平行な線分に変えただけですね。 -でも,「平行な線分」なんていう作図はできません。 -どうするといいのでしょう。 -ちょっと「ずるい」ことをします。 -まず,「平行な直線」をかきます。 -交点をつくります。 -すると,「線分」をつくることができるわけです。 -でも,直線はいりません。 -消してしまうと,作図できません。 -でも,「消したふり」をするために,「色を透明にする」のです。 **2.5 問題5 - 次の図は,中学校の教科書で掲載されている図です。 -- (1)「どういう定理」でしょう。 -- (2)「どういう意味で動かす」ことを,教科書では想定しているのでしょう。 -- (3)そういうことに取り組むのに適している図を作図してみましょう。
-- (4) 教科書では,「分度器で測定」することを想定しているかもしれませんが,GCを使うと測定することができます。次の図のように,測定値を表示した図をつくってみましょう。
-- (5) その図で動かすと,どんなことがわかりますか? -- (6) 角度を測定しない図だと,どんなことがわかりますか? (測定値がない方が気づきやすいこともある)
-- (7) 上記の図のように,「線分」を「直線」に変えてみましょう。(編集で行えます)そうしてから動かすと,どんなことがわかりますか? **2.6 問題6 - 先日,稲沢市立祖父江中学校の先生(教職大学院の院生)が取り組んだ実践です。 -- (1)ABCDが長方形のとき,4つの三角形にはどんな関係がありますか? -- (2)「いろいろな四角形」について,「4つの三角形にはどんな関係があるか」を調べてみてください。 -- (3)なにか気づくことはありますか?
**2.7 問題7 - 口頭で「こんな図を作図してほしい」というのを提示します。 - 「定理を発見」してほしいと思います。 - もちろん,証明もね。 -- 過去に,附属名古屋中学校で取り組んだ事例の中から。 *3.高校の教科書/大学入試問題では -みなさんが以前に提出した問題の中に,いろいろと「いい素材」がありますね。 -中学校では,「動的な見方・考え方」を意識している問題が上記に該当しますが,高校の場合は,もっと直接的に,特定の概念等を扱う素材が該当することが多いですね。 -たぶん,今日はそこまで扱う時間がないので,「自分で課題として深めてみる」ケースや,次回に取り上げる事例から実感していただくようにしたいと思います。 * 4.自習課題(来週) **4.1 「動して調べる価値がありそうな問題」と,「その探究でのおもしろさ」 -- 前回と同様のことを,「別の問題」についても取りくんでみてください。(前回のものを深掘りするというスタンスでもいいです。) -- 今回は,もう少し本格的にしてみましょう。 - まず,すべきこと --「動して調べる価値がありそうな問題」を見つけましょう。(過去に見つけたものを使ってもいいです) -- その問題に対応する図をオンライン保存してください。 ---ファイル名は,「自分の名前-1209」 ---(複数保存するようなときは,a,b,c等を付加するといいかと思います) -- そして,動かして調べてみてください。 -- そこで感じる「おもしろさ」を言葉で表現したいのです。 -- 今回は,Wordで書いて,pdfにして保存したものを提出することにしましょう。 -- ファイル名は,自分の名前-1209-探究.pdf **4.2 授業ビデオ課題としての「山中実践」 -12/16は,名古屋中学校で,GC活用研究会という,授業研究会を実施するので,「自習」になります。 --@https://www.nj.aichi-edu.ac.jp/wp-content/uploads/sites/2/2022/11/b555bf5fef43e8f52a942dcab5ad7f3f.pdf,ここに,案内があります(2ページ目) -当日,対面やzoomでの参加も可能ですが,たぶん,他の授業・ゼミ等で難しいでしょうね。 --もちろん,参加希望の方は,ぜひ。 -みなさんの過去の事例の中でも示された話題,過去に山中先生が名古屋中で実践されました。 -最初は,中学生には無理かなと思ったけど,山中実践で取りくんでみると,「けっこう中3向けに適しているのではないか」と思いました。 -「来週」の自習課題とするのに,ちょうどいいかなと。 -- 次の観点で,分析して, 「まなびネット」に書き込んでください。 ---(1)課題の工夫 ---(2)想定されている「数学的活動」 ---(3)「なるほど」と思う,「先生の発言や行動」 ---(4)「なるほど」と思う,「先生の発言や行動」 ---(5) 授業としての改善点や,その他感じたこと