*0.はじめに **0.1 「作図」はモノにできたかな? ***(1)「スキル」としての問題もあります。 -前回扱ったくらいの問題であれば,困ることはあまりないでしょう。 -みなさんが見つけてきた,つくってきた問題では,きっと「簡単に作図できるもの」も「工夫しないといけないもの」も,「GCでは扱いにくいもの」もあるでしょう。 -それは,「必要に応じてフォロー」していきます。 ***(2) 「数学的探究の道具」としての使い方から -「ただ作図すればいい」わけではなく,作図して動かしてみる中で,「次第に,取りくんでみたいことが変化していく」ことを実感すると思います。 - それが「対話的な利用」なのです。 ***(3) 「授業の道具」としての使い方から - 答えを解説できたらおしまいということではありません。 - むしろ,GCって,「授業の道具」と思うと,「いろいろな発問の仕方」があり,「いろいすな図の作り方」があるのです。 - それはいずれ,段階的に取りくんでいきます。 **0.2探究課題はいかがでしたか? *** 0.2.1 「問題点がある」レポート -名前や取りくんだ問題がわからない -図がない -- この手のレポートは,図がないと「わかりません」 -- Screen Shot や,スニッピングツールなど,画面データを簡単に取り込む方法を,この際身につけましょう。 -- 生徒にさせるときには,手書きのスケッチも,「アリ」ですけどね。 *** 0.2.2 もっとも「簡単」なのは,「重心」 -どういう意味で「簡単」か,わかりますか? *** 0.2.3 次に「簡単」なのは,「垂直二等分線」 -たぶん,これが一番「多い」です。 -これも「一点」が多いですよね。 -そして,そこから,「どういう問題として把握しなおすといいか」は,....簡単な応用ですよね。 *** 0.2.4 「内心」はどうだったかな。 -隠れた性質を見つけることができるかどうかが鍵になりますね。 *** 0.2.5 「対角線への垂線の足」って,...けっこう難問 - 対応表をつくるのは簡単です。 - そこから何を読み取りますか?_ - 図をみて,どういうことを感じますか? - 「仮説」はつくりやすいですよね。 - でも,証明....どう? *** 0.2.6 実感してほしいこと - 問題の条件を少し変えることで,「いろいろな問題群をつくることができる」 - その中には,「簡単なもの」も「むずかしいもの」も,ときには「解けないもの」も,いろいろある。 - 先生が与える問題などは,一定の水準のものにきまっているけど,こうやってつくった自作問題は,「玉石混淆」 - だから,「取りくむ価値がありそうかどうか」をさぐるところから始まる。 - 価値がない問題なんて取りくんでもしょうがない。 **0.3 いい問題つくれましたか? ***0.3.1 みなさんからの問題と,寸評 -いくつかコメントしてみましょう。 -面積が80?の四角形ABCDがあります。対角線の交点をOとし、OBの中点をE、ODの中点をFとします。またEから垂線をひいて。ACの交点をHとします。次の問に答えなさい。 ①AECFが平行四辺形になることを証明しなさい。 -- 「証明しなさい」となった瞬間に,「正しいはず」ってわかりますね。...ということは -三角形ABCにおいて線分BCを1:2に内分する点をDとし、線分ADを3:2に内分する点をEとする時、三角形ABEと三角形BDEの面積比を求めよ。(自作) --実際に作図して,測定してみるといいでしょうね。 -△ABCにおいて、∠Aの二等分線と辺BCとの交点をD、△ABCの外接円との交点をEとする。このとき、次が成り立つことを証明せよ。 (1) △ABE∽△ADC (2) AD^2=AB×AC-BD×CD --これも、「証明問題」ですね。 -2点A,Bで交わる2つの円O,O‘がある。直線?が円O,O’にそれぞれ点C,Dで接している。また、2点A,Bを通る直線?が、?と点Eで交わり、3点A,D,Cを通る円と点Fで交わる。このとき、四角形BDFCが平行四辺形であることを証明せよ。 --証明問題 -鋭角三角形ABCの頂点AからBCに下ろした垂線をADとし、DからAB、ACに下ろした垂線をそれぞれDE、DFとする。 (1) ∠ADE=∠AFE を証明せよ。 (2) 4点B、C、F、Eは1つの円周上にあることを証明せよ。 --証明問題 -鋭角三角形ABCの外心をO、垂心をH、内心をI、とする。また、直線AOと外接円の交点をD、直線AHと辺BCの交点をEとするとき、次のことを証明せよ (1)△ADB∽△ACE (2)AIは∠OAHを2等分する --証明問題 -鋭角三角形ABCの外心をO、垂心をHとし、Oから辺BCに下ろした垂線をOMとする。また、△ABCの外接円の周上に点Dをとり、線分CDが円の直径になるようにする。このとき、次のことを証明せよ。 (1)DB=2OM (2)四角形ADBHは平行四辺形である。 (3)AH=2OM --証明問題 -二等辺三角形ABCで、点Pは底辺BC上の点である。この点Pを通り辺AB、ACに平行な直線をひき、AC、ABとの交点をそれぞれD,Eとする。Pの位置を変えても、PD+PEは一定であることを証明しなさい。 --証明問題 - (1)鋭角三角形ABCの外心をO、垂心を進をHとするとき、∠BAO=∠CAHであることを証明せよ。 (2)外心と内心が一致する三角形は正三角形であることを証明せよ。 --証明問題 - 正三角形ABCで、辺AB、AC上にそれぞれ点D(点A、Bとは異なる)、E(点A、Cとは異なる)をとり、BD=AEとなるようにする。BEとCDの交点をFとするとき、4点A、D、F、Eが1つの円周上にあることを証明せよ。 --証明問題 -正三角形でない鋭角三角形ABCの重心G、外心O、垂心Hは一直線上にあり、重心は外心と垂心を結ぶ線分を外心の方から1:2に内分することを証明せよ。 --証明問題,この「でない」という条件は... -2つの四角形ABCD、BEFCが、ともに平行四辺形のとき、四角形AEFDも平行四辺形になります。このことを証明しなさい。 --証明問題 -△ABCの辺BC,CA,ABの中点をそれぞれL,M,Nとする。△ABCの外心Oは△LMNについてどのような点か。 --「どのような点か」という問い -△ABCにおいて、AMを中線とする。また、角AMB、角AMCの二等分線が辺AB,ACと交わる点をそれぞれD.Eとする。 (1)DE//BCを示せ (2)DE --証明問題,(2)はなにかたらない - △ABCにおいて、三辺の中点をD,E,F,各頂点とその対辺における垂線の足をHa,Hb,Hc,垂心と△ABCの各頂点との中点をNa,Nb,Ncとしたとき、D,E,F,Ha,Hb,Hc,Na,Nb,Ncは同一円周上に存在する。この円を円Oと呼ぶ。 円Oもしくは円Oの中心と、三角形の5心もしくはそれを中心とする円にはどのような関係があるか。(関係のない組み合わせもある) --オープンな問い - △PQRの辺QR,RP,PQの中点をそれぞれA,B,Cとする。△ABCにおいて、各頂点から向かい合う辺に下ろした3本の垂線は、△PQRの外心で交わることを証明せよ。 --証明問題 -直角三角形ではない△ABCにおいて、辺BC、CA、ABに関して外心Oと対称な点をそれぞれP、Q、Rとする。Oは△PQRについてどのような点か。 --どのような点か -中心核が90°、辺OA、OBが3㎝の扇形OABに対して、OC=1、OD=2となる点CDをとる。点Pが弧AB上を動く時に、扇形CAPと扇形DBPの面積が最小となるときの四角形OCPDの面積を求めよ。 --最小問題,角かな。核じゃなくて。 -座標平面上に、原点oを中心とする半径2の固定された円Cと、それに外側から接しながら回転する半径1の円c’がある。円C’の中心が(3,0)にあるときのC'側の接点に印pをつけ、円C’を円Cに接しながら滑らずに回転させる。円C'の中心C'がoの周りをθだけ開店した時の点pの座標を(x、y)とする。この時、点pの描く曲線を媒介変数θで表せ。 --GCでは扱いにくい問題だね。 -△ABCの辺BC,CA,ABの中点をそれぞれL,M,Nとする。△ABCの外心Oは△LMNの垂心であることを,次の3つを示すことにより証明せよ。ただし,△ABCは鋭角三角形または鈍角三角形とする。 OL⊥NM,ON⊥LM,OM⊥LN --証明問題 -1辺の長さが1である正三角形ABCを考え、辺AB、辺BC、辺CA上にそれぞれ点D、点E、点Fをとる。三角形DEFが正三角形であり、∠ADF=30°のとき、辺DEの長さを求めよ。 --長さを求める問題 ***0.3.2 「証明問題」をそのまま使うと,作図する意味はほとんどない - 「証明問題」は,たとえば,補助線を追加するなどが重要です。 - つまり,「図形を静的に分析する」ことが大切です。 - でも,GCなどは,「動的幾何ソフト」あるいは「作図ツール」といいますが,「動かして調べる」のに適した道具なので,そのよさが生きるように「ちょっと変える」といいのです。 - そういう意味では,今回見つけてきたのは,「素材」なのです。 - それを出発点として,どうやって「教材化していくことができるか」を考えるための素材なのです。 - そういう意味での「教材研究」は,今後段階的に進めていきますが,先週との関わりでいえば,「作図できるか」を検討するのもいいでしょうね。 *1.「軌跡」 *1. 軌跡(1) **1.1 教科書等での「軌跡」とは - 高校の教科書等では,どういう記述がなされているのでしょう。 - みなさんの「記憶」から確認しましょうか。 **1.2 「GC」の中での軌跡は二つの側面で - 「動いた跡」としての軌跡 - 「条件を満たす点の集合」としての軌跡 *2. GCにおける「動いた点の跡」としての軌跡とその拡張 ** 2.1 仕様 - 「点」の「編集」において,「軌跡の色」を設定することが「準備」 - でも,それだけでは,軌跡は残らない - 「軌跡on」のボタンを押しているときに,残る - 「軌跡消去」のボタンで消える ** 2.2 例 |#00145-1125-01| -点Aを動かしてみよう。 -軌跡をonにして動かしてみよう。 -軌跡を消去してみよう。 -点Dだけでなく,Aの軌跡も残すといいよね。 -そういう観点で,点Aの軌跡を緑で残すように設定し,使ってみよう。 -この図を「観察」するなら,どんなことを生徒は発見してくれるのだろうか。 **2.3 こんな図を作図してみよう。 - △ABCがあり,その重心をGとする。 -頂点Aが,ある円上を動くとき,Gがどういう動きをするかを調べるようにしたい。 -たとえば,「教科書の例題」みたいにするなら,次のような条件の図をつくってみることにしよう。 -- Aは,「中心を(6,6)とし,半径3の円」上を動く。 -- Bは原点 -- Cは,(9,0)) ** 2.4 機能の拡張 - 古典的には,軌跡は「点の動いた跡」です。 - でも,GCでは,「直線や円など」の跡も残せるようにしています。 - それらは厳密には,「軌跡ではありません」 - 別の名称で扱うことになります。 |#00146-1125-02| -何の軌跡をどう残すと,興味深いことになるのでしょう。 * 3.教材研究 - 「教育用ソフトとしてGCを探究する」 **数学用ソフトのいろいろな側面 - 基本的には,「解けない問題や,簡単には解けない問題を,解けるようにする」 - ある意味で,「楽になる」 - 同時に,それは,「取り組むことができる数学の世界をひろげる」ことでもある。 -そして,そこにまた,未知の問題,未解決の問題などが発見され,さらなる研究開発の原動力になっていく。 **教育で「へたに使う」と - 「ずるい」方法 - 「カンニングの道具」 - 生徒がするべきことを奪ってしまう。 **「教育用数学ソフト」であるためには - どういう使い方をすることで,どういうことを実現するためのものであるべきか,を考える -- 教育目標を深めることもある。 -- 教材を変えることもある。 -- 教育方法,指導法をかえていくこともある。 -- など ** 少なくとも,教育用数学ソフトは - 「観察可能な数学的現象の世界」をひろげる。 -- 新しく,どういうものを観察可能になったのか -- 「百聞は一見にしかず」に該当する例は? -- 「いわれてみたら,そういうこともあるのか。紙だけでは気づくにくいね」という例は? --「これって,扱うことはできないけど,現象の観察だけなら,できるんだね」という例は? --「こうすることで,観察可能・操作可能になってくる数学的概念・方法がある」という例は? - 「答えを出す」こと以外に,生徒にとって価値がある活動は -- 「観察」することで,「次にこういうことを問題にしたい」等を考えるきっかけを提供する -- 「仮説」をつくり,証明等を考え,「検証する」ような活動 -- 協力しながら,データを集める /それぞれの見方等を出し合って,「そういう見方もあるか」を実感する - 「授業設計」のためのいろいろな選択肢 -- 軌跡に関していえば, -- わかりにくいところに課題がある事例であれば...「わかりやすい解説する」 -- 一定以上の力量がある生徒なら,解決は難しくない事例であれば... 「問題状況を提示し,紙で解決し,実験で検証する」 -- 現象から,問題を見つけるところを,先生から生徒にゆだねられることができるようにする -- 「いろいろな条件かえ」等をしたとき,今までだったら,「それは....無理」と先生がいうのではなく,観察から「なるほど,ちょっとこれは自分たちの手にはおえない」と自分で判断するようにする -- など ** 具体例からの検討 -授業の中で * 4.課題 **4.1 「動いた跡としての軌跡の問題」 - まなびネットに,「動いた跡としての軌跡の問題」を一つ書き込んでください。 - その問題を調べるための図を,GC/html5のサイトに,オンライン保存してください。 -- 名称は,自分の名前-1125-軌跡 **4.2 「条件を満たす集合としての軌跡の問題」 - 次回,条件を満たす集合としての軌跡について扱います。 - それに該当する問題を一つ,まなびネットに書き込んでください。 **4.3 「授業の中で提示した問題についての探究」 - 授業の中で,いくつか問題を紹介すると思います。 - その問題に関して,どういうプロセスで取り組み,どういうことがわかり,どういうことがまだ未解決で残っているのか,等がわかるようなレポートを,Wordでまとめてまなびネットに提出してください。 **備考:今回は,授業ビデオ課題は「ありません」