*1.数学教育にとってのICT **1.1 これまでの「教育の情報化」 - これまで, 約10年おきくらいに, いろいろなことが変わってきました。 - 少し前までは, 電子黒板, (教師用)デジタル教科書 - ここ10年くらいは, タブレットの導入 - この授業では, 特に 「グループ学習の中で, 4人で1台のiPad(上でのGC)」を使った学び, に焦点を当ててきました。 - 標語的には, 「society 5.0」が次の段階として, いろいろなところで議論されていたと思います。 - しかし, ここ数年の新型コロナウィルス問題で, 一気に, オンライン教育の課題が生まれてきました。 - GIGAスクール構想のプロジェクトも前倒しされ, 関連する様々な施策も, その性格も内容も大きく変わりつつあります。 **1.2 「数学は, ペーパーテストで, 限られた時間で正しい答えをかくためのやり方を学ぶ教科」なのか? - 以前, こんな発言がよくありました。 -- 「私の学校(高校)は, 進学校なので, コンピュータを使う授業はしません」 - もし, 「受験のための数学」を考えるなら, ある意味で, その先生の気持ちはわかると思います。 - でも, そういうことなんでしょうか。 **1.3 簡単に答えを出すための道具がICTと思うと, ... - 「ボタンを押したら答えを出す」のが, コンピュータ/ソフト だとしたら, ...数学なんて学ぶ必要ないね。 **1.4 この授業の中で考えたいキーワード例 -「主体・対話的で深い学び」 -「わかりやすい授業」 -「知識・技能」 -「思考力・表現力・判断力」 -「個に応じる指導」 -「言語活動」 -「観察・実験」 -「レポート作成」 -「問題の発見」 ** 1.5 この授業の中で実感してほしいこと ***数学の問題解決の道具としてのコンピュータ - この授業では, 主に, 動的幾何ソフトとしての GC/html5 を使います - 他にも, 関数グラフツールとしてのGrapesや, 表計算ソフトとしてのExcel, 数式処理ソフトとしてのmathematicaや, 動的幾何ソフトをより汎用化したソフトとしての GeoGebra などがあります。 - それらは, 「素早く答えを出す」というだけの貢献をしてくれます。 - それをまず, 出発点として体験してください。 ***授業の道具(教具)としてのコンピュータ - これまでは, 主に,次のことを想定していました。 -- 普通教室にあるプロジェクタ(電子黒板)とそれに接続してあるコンピュータ -- コンピュータ室などでの「一人一台」 -- 普通教室などでも「4人一台」 - しかし, これからは, 遠隔教育での可能性も考慮することが必要だと思います。 ** この授業の中で扱うこと -「図形を動かす」と何がどう変わるのか。 -それを踏まえると, 教材(の意味)はどう変わるのか。 -どんな教育目標を実現可能になるのか。→教材開発,授業設計,カリキュラムデザイン -実際の授業を(みる/分析する/議論する/資料化する...) -教材やレポートを作る(オフラインで作り,オンラインで発表/共有化/議論...) -発表(プレゼン)の練習も -授業そのもので扱っていること/行っていることがいろいろな意味で「実験」 -プラス/マイナスの可能性/危険性を実感してください。 - さらに, 「今の時代」を踏まえて追加することもあると思います。 ** 具体例から(1) #00001-test - 図をクリックしてみて, 緑の点を動かしてみてください。 - どんなことを観察することができますか。 ** 具体例から(2) - webで検索をして, Grapes というソフトをダウンロードしてみてください。 - y = ax
2
+bx+c という関数をつくり, 3つのパラメータを変化させることを考えたいと思います。 - 3つのパラメータの中の1つずつを選択して動かしたとき, グラフはどんな動きをするか予想してください。 - 実際に観察してみましょう。 - どんなことがわかりますか? ** 上記のそれぞれから, どんな数学的活動, あるいはそれを引き出すための発問や, 授業がイメージできますか -そういうことをもとに, この授業は組み立てていきます。 **1.6 課題 - 授業の中で指示します。 *2.「教科書」について -飯島「
ICTで変わる数学的探究」
, 明治図書, 2021 -「この本を読みながら授業をする」とようなことはしません。 -授業を進めていく上での基本的な考え方などを,よりていねいに,具体的な事例に則して記述しています。 -授業だけではよくわからない場合は,この本を読んでみると,「なんだ,書いてあるじゃないか」。 -一方,「読めばわかる」かといえば,模擬授業や自分自身の活動などを通すと,理解の仕方が変わってくることを実感できると思います。 ** 希望者には,次回ここで「販売」します。 -他の方法で入手してもかまいません。 ** 学習指導要領解説は,生協等にて -中学校,高校の学習指導要領解説は,webにpdfもありますが,紙媒体で購入しておくことをおすすめします。