*0.「教科書」の件 -今日も数冊は用意しています。 ----- *1.この授業の中での「もっとも基本的な事例」 **1.1 私はよく「4角中点」という表現をすることがあります。 #00003-test - もちろん,正確には,「四角形の4つの辺の中点を結んでできる四角形の問題」でもいうべきでしょう。 - 1980年代のPCでは,英数字なら8文字+3文字, 漢字なら4文字+英数字3文字(拡張子)での命名だったので,上記のような略称を使ったためでもあります。 - この問題は,「実に奥が深い」です。いろいろな意味で。 - 「奥が深い」ということを教材研究的にも,授業設計的にも,また授業研究的にも理解できるようになれば,「ほぼ卒業」かもしれません。 - 逆にいえば,「表面的な理解だけでおしまいにしない」ことが大切だと思います。 *2.「中学校の教科書」の中での記述例から「いろいろな意図」を読み取ろう。 **2.1 啓林館「未来へひろがる数学3」pp.142-143 -この中では,「ひろげよう」として記述されていますね。 *** 「ひろげよう」の問題の書き方の意図は? -他の問題での記述の仕方とは「ちがいます」よね。 -- どういう点がちがいますか? -- そこにはどういう意図がありますか? -- 「どういう授業の流れ」を想定しているのでしょう。 -- そこからどういうことを学んでほしいと思っているのでしょう。 *** p.143での「証明」 - 証明の「前」にかいてあることの意図は何でしょう。 -「証明」のポイントは何ですか? - 「かかれていないこと」はありますか? *** 「問2」 - この問題の意図は? -- この問題の正解をつくれるということは,「どういうことがわかっている」ということになるのでしょう。 -- でも,単にそういう練習問題としてだけの意図で出しているわけでもないですよね。 - この問題はあなたにとって「自然」ですか? - どういう意味で「自然」ですか? *** 「練習問題1」 - どういう解決ができるのかな。 - この問題の意図は何でしょう。 - さらに発展させることはできるのかな。 *** 「練習問題2」 - どういう解決ができるのかな。 - この問題の意図は何でしょう。 - さらに発展させることはできるのかな。 - この問題って,あなたにとって「自然」ですか? ** 2.2 「静的な図」を使って考えることには,どんな特徴がある? - 暗黙のうちに, 「当たり前」と思ってやっていることですから,意外に分析はむずかしいのかも。 *** なんで,「特殊な図」を挿絵として書いているのだろう。 - 逆に,「ひろげよう」で図がないのはなぜ? *** どうやって考えることが「基本」 - 思考方法ともいえる。 - それをする上では,何を考えながらしているのだろう。 *** 教具をつくるとしたら... どうする? - 教具を通して,どういうことを体験・実験してほしい? - ワークシートをつくるとしたら.... *** 問題を発展させるとしたら,...どうする? - まずは,自分で問題を「発展」させることそのものをやってみないといけませんよね。 *3, 「動的に探究する」 #00003-test - 図をクリックしてみて, 緑の点を動かしてみてください。 - 「いろいろな場合を観察すること」ができます。 - 動的探究の最初の「基本」はこれですよね。 ** 3.1 「いろいろな場合を調べる」ための道具としての動的幾何ソフト - 私は当初,「作図ツール」と呼んできました。 - 英語では, dynamic geometry software などと表現する人が多いです。 - それに合わせるなら,「動的幾何ソフト」という呼称も一般的といえるわけです。 - いずれみなさんにもスキルを習得していただきますが, この手のソフトは, 「図に合わせて別々のソフトを開発するわけではありません」 - 「後で,動かして調べることができるように,図を分析し,作図する」のです。 **3.2 「いろいろな場合を調べる」とは - ワークシートとしての「対応表」 - ABCDについて,いろいろな場合を調べたいと思います。 - でも,それは「無限にあります」 - 「一通り調べてみたい」と思います。 - 「四角形」にはどんな種類がありますか? - とりあえず,思いつくものを列挙して,それをワークシートの中に書き込むようにしてみましょう。 - 項目数も,そのときどきによって異なるかもしれませんよね。 - 観察結果もちがうかもしれないし,解釈もちがうかもしれない。 - でも,それは「とりあえず」です。 - だって,「観察」だけが数学じゃない。「観察した結果」をもとに,「考える」ことも含めないと数学じゃない。 - 今日の,この時間では,みなさんがどんな観察をして,どんなことを考え,どんな展開ができるのか。 - きっとそこでは,「言語活動」は重要な鍵になります。 - きっとそこでは, みなさんがつくった,観察した,注目した「事実」も重要な鍵になります。 - だから,ワークシートには,「ことば」と「スケッチ」を書き込むようにしました。 - そうでないと,「動かすと,過去は消えてしまう」ので。 **3.3 ここからは,「模擬授業的に進めます」 - * 4.ICTを使うって,....どういうこと? * 4.1 静的と動的は何がちがうの? - 同じ図です。 - でも,なにか違いはありませんでしたか? - いろいろな言い方ができますが, 「思考の道具」がちがうのです。「実験の道具」がちがうのです。 - 今回は実感できないかもしれないけど,名古屋中での多くの実践では,「4人1台」で取り組みました。 - すると,「話し合いやすい環境」になるのです。 *4.2 異なる環境で生まれることの観察や比較・分析するのも,一つのアプローチ - 同じ発問をしても,異なる反応が生まれたり - その発展のさせ方が変わったり - そこで価値付け可能な数学的活動が変わったり - あるいは,活躍可能な生徒が変わったり - そういうことを観察して,「ICTの活用の可能性」を分析するのも,一つの方法でしょう。 **4.3 実現したい数学的活動を想定し,それが実現するように,設計し,検証するのも一つのアプローチ - でも,もう一つのアプローチとしては,「この素材を数学的に,こんな感じに体験するようにしたい」という願いをまず考え,それを実現するには,どんな道具を選択し,どういう流れを想定すると,実現できるだろうかと,そう考えて設計していくのも一つの方法です。 **4.4 「この事例で行えること」を,「他のいろいろな事例でも通用するようにしたい」 - この問題に関しては,100年以上前から,いろいろな教材研究や工夫がされてきました。 - でも,「この問題だけに通用する」指導法であったこともまた,事実です。 - 「わかる生徒」だったら,「他の図形でも,同じことができるはず」であり,「念頭で行えるようになってしまった」でしょう。 - でも,そうでない生徒にも,それを可能にしてくれるのが,ICTでもあるのです。 **5. 課題 - (1)今回のような,「動かして調べる価値がありそうな問題」を考えてみましょう。 - (2)今日の感想 / 次の視点のどれか -- a. 数学的に,自分の理解が深まったという点 -- b. 教師の観点からの教材研究について,自分の理解が深まったという点 -- c. ICT利用に関して,自分の理解が深まったという点 -- d. 「CIIという授業に関して」,「ここがよかったから継続してほしい」「ここがよくなかったから改善してほしい」という点 -- e. その他 ----- * リンク -@https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00002.htm,「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(文部科学省) -@https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm,GIGAスクール構想の実現について(文部科学省)