*0.「教科書」の件 - ----- ** 下記では,「オンデマンド」用に用意したコンテンツもありますが - 当日参加できない方がいる場合のことも想定して,以前の授業においてオンデマンドコンテンツも用意したので,それを掲載しています。 - しかし,今回対面で実施するので,「みなさんと議論しながら深めていく」授業を行うことを想定しています。 *1.数学教育にとってのICT **1.1 これまでの「教育の情報化」
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- これまで, 約10年おきくらいに, いろいろなことが変わってきました。 -- 少し前までは, 電子黒板, (教師用)デジタル教科書, もっと前は,コンピュータ室, インターネット接続 -- ここ10年くらいは, タブレットの導入 -- この授業では, 特に 「グループ学習の中で, 4人で1台のiPad(上でのGC)」を使った学び, に焦点を当ててきました。 - 標語的には, 「society 5.0」が次の段階として, いろいろなところで議論されていたと思います。 - しかし, 昨年からの新型コロナ禍問題で, 一気に, オンライン教育の課題が生まれてきました。 - そしてGIGAスクール構想が前倒しされ, 今年4月からは,国内のすべての小中学校で,「一人一台のネットワーク接続されたタブレットPC」が使えるようになりました。(一部例外もありますが,現時点では...) - それは決して「オンライン授業のため」ではありません。 - また,関連する様々な施策も進められていくことを通じて,おそらく今後10年くらいをかけて日本の学校教育を大きく変えていく原動力になると思います。 - 逆にいえば,これまで「かなり停滞してきました」。自治体によって整備状況はかなり違っていて,「最低線(どの学校でもできること)に合わせる」としたら,なかなか前進しないままというのが現実でした。 - その「最低基準」がこの春大きく変わったということは,とても大きなことなのです。 *** みなさんは,これらのことに関しては,どの程度のことを認識していますか? - 意見を聞いてみましょうね。 - 少し議論もしてみましょうね。 - 「今日だけの問題」ではありません。 - みなさんにとっては,「自分にとって大きく関わる問題」のはずなのです。 **1.2 「数学は, ペーパーテストで, 限られた時間で正しい答えをかくためのやり方を学ぶ教科」なのか?
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- 以前, こんな発言がよくありました。 -- 「私の学校(高校)は, 進学校なので, コンピュータを使う授業はしません」 - もし, 「受験のための数学」を考えるなら, ある意味で, その先生の気持ちはわかると思います。 - でも, そういうことなんでしょうか。 **1.3 簡単に答えを出すための道具がICTと思うと, ... - 「ボタンを押したら答えを出す」のが, コンピュータ/ソフト だとしたら, ...数学なんて学ぶ必要ないね。 **1.4 この授業の中で考えたいキーワード例 -「令和の日本型学校教育」 -- 学びの個別最適化 -- 協働学習 -「主体・対話的で深い学び」 -「わかりやすい授業」 -「知識・技能」 -「思考力・表現力・判断力」 -「個に応じる指導」 -「言語活動」 -「観察・実験」 -「レポート作成」 -「問題の発見」 -など ** 1.5 この授業の中で実感してほしいこと
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***数学の問題解決の道具としてのコンピュータ - この授業では, 主に, 動的幾何ソフトとしての GC/html5 を使います - 他にも, 関数グラフツールとしてのGrapesや, 表計算ソフトとしてのExcel, 数式処理ソフトとしてのmathematicaや, 動的幾何ソフトをより汎用化したソフトとしての GeoGebra などがあります。 - それらは, 少なくとも「素早く答えを出す」という貢献をしてくれます。 - それをまず, 出発点として体験してください。 - でも,「それでおしまい」ではありません。 - それ以外に,どういう教育的価値があるのかを,体験し,それを生徒が再体験するための道具として使いこなせるようにしていきましょう。 ***授業の道具(教具)としてのコンピュータ - コロナ禍前までは, 主に,次のことを想定していました。 -- 普通教室にあるプロジェクタ(電子黒板)とそれに接続してあるコンピュータ -- コンピュータ室などでの「一人一台」 -- 普通教室などでも「4人一台」 - しかし, これからは, より多くの可能性も考慮することが必要だと思います。 ** この授業の中で扱うこと -「図形を動かす」と何がどう変わるのか。 -それを踏まえると, 教材(の意味)はどう変わるのか。 -どんな教育目標を実現可能になるのか。→教材開発,授業設計,カリキュラムデザイン -実際の授業を(みる/分析する/議論する/資料化する...) -教材やレポートを作る(オフラインで作り,オンラインで発表/共有化/議論...) -発表(プレゼン)の練習も -授業そのもので扱っていること/行っていることがいろいろな意味で「実験」 -プラス/マイナスの可能性/危険性を実感してください。 - さらに, 「今の時代」を踏まえて追加することもあると思います。 ** 具体例から(1)
拡大すると,画面の様子はよくわかります
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#00003-test - 図をクリックしてみて, 緑の点を動かしてみてください。 - どんなことを観察することができますか。 ** 具体例から(2)
拡大すると,画面の様子はよくわかります
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- webで検索をして, Grapes というソフトをダウンロードしてみてください。 - y = ax
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+bx+c という関数をつくり, 3つのパラメータを変化させることを考えたいと思います。 - 3つのパラメータの中の1つずつを選択して動かしたとき, グラフはどんな動きをするか予想してください。 - 実際に観察してみましょう。 - どんなことがわかりますか? ** 上記のそれぞれから, どんな数学的活動, あるいはそれを引き出すための発問や, 授業がイメージできますか -そういうことをもとに, この授業は組み立てていきます。 **1.6 課題 - 授業の中で指示します。 ----- * リンク -@https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00002.htm,「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(文部科学省) -@https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm,GIGAスクール構想の実現について(文部科学省)