*「数学的探究」を意識したい *0.はじめに **0.1 みなさんから提出された「課題」 -@06A.htm, 点の動きの跡としての軌跡 -@06B.htm, 条件を満たす点の集合としての軌跡 **0.2 宿題としての課題を拝見して
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**0.3 今日やりたいこと *** (1) 「課題」の中では自分の数学的探究の概要を記述したい - 「数学のレポート」なら, 模範解答をきちんと書けることが大切 - でも, 「数学教育のレポート」なら, 目的は少しちがうところにある。 *** (2) 数学的探究をイメージしながら行う「作図の工夫」 - みなさんが以前に提出した事例をもとに, 「作図の工夫」のスキルを少し高めたい。 - 一方, GCなどでの作図というのは, 「動かして調べながら探究を深めていく」ことが基本的な目的であり, 「最初につくりたいと思った図」が最適とは限らないことも実感したい。 - むしろ, 図を工夫しながら, 「どんな探究が可能なのか」そのためには「どんな問いが適切なのか」そして, 「どんな図が適しているのか」を検討しながら作図することが大切だということを実感してほしい。 -- この活動は, 今後も続きます。 *** (3) グループの中で, ある問題に取り組む - 前回同様, グループの中で, ある問題に取り組んでみてほしいと思います。 - そこで「残ったことは, 課題にしておきたい」と思います。 *1.数学教育としての課題作成においては「正解」だけが大切なわけじゃない |#00778-0612-03| **1.1 先週の問題に関して, グループあるいは個人でいろいろな探究をしました - たしかに, 「模範解答」はあります。 - でも, 「全員が画一的に模範解答をつくること」を期待して課題をだしているわけではありません。 - 比較してみると, いろいろな違いがわかります。 **1.2 「読解(解釈)」「表現」「判断」などとして, どういう場面でどういうことがありうるのか。 - 「こういうことを観察する」 -「こう記録する」 -その結果から,「こう読み取る」「こう解釈する」? -そこで, 何を感じる? -そして, 何を言語化する? -次に何をしたいと判断する? **1.3 今回の場合でいえば - どう場合わけする? - その中の, まずどこに着手する? - どんなプロットをする? - 「その結果だけ」にこだわるのか, 「それ以外の点」も推測するのか - どういう方法で証明する? - 「円の一部(弧)」それとも, 「円全体?」 -「どんな円?」 - 角度だけ? それとも, 中心にも注目する? - 代表的な場合だけに注目して証明する? - 場合わけの必要性まで考える? -など ** 1.4 探究における「分岐点」を把握し, そこでどうサポートするかを考える - 実際のグループの中での様子を観察し, 「ここでどうする?」をイメージし, 教師としての支援の仕方の選択肢を考えておく - いろいろなグループの中でのさまざまな結果があるとき, それらをどう発表させ, 学級全体としての探究をどうすすめていくかを考える ** 1.5 「今回の事例」で, 上記を生かそう。 - 積み重ねです。 ** 1.6 別の観点から考えると / これからのICT利用では - 「オンライン授業」等が行われている中で, 一つ注目されているのは, 「対面授業だからできること」あるいは「グループでの学びだからこそできること」です。 - 昨日, 文科省での議論で, こういうのがありました。 @@https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/11/1422470_00007.htm,https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/11/1422470_00007.htm |@@https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20200618-mext_syoto02-000007975_7.pdf,https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20200618-mext_syoto02-000007975_7.pdf| *2.「作図の工夫」と「確認のための図」と「調べるための図」 ** 2.0 毎回少しずつケーススタディを - 毎回1,2個ずつ, 「具体的な事例」について扱いましょう。 **2.1 例1 長さを等しくしたい |00658-石原康太郎-条件変え-0605|#00658-石原康太郎-条件変え-0605| -問題としては, 「BP=CQ」という条件を満たすようにしたい。 -そのためには, 次のような工夫ができる。 -- PはBC上を自由に動く。 --BPを測定する --Cを中心に,半径BPの円をかき,その円とACとの交点をとる。 --点Qをその点と重なるように, 「点の束縛条件」を設定する。 --(あるいは, Qをとるときに, AC上の点としてでなく, 上記の交点そのものをQとする) --作図に必要となったところの「色を無色にする」 |第一段階|#00947-石原康太郎-A| |第ニ段階|#00948-石原康太郎-B| -これで、「確認するための図」は作れました。 -でも, これって, 「確認するため」には有効ですけど, 「探究にはあまり適していません」よね。 **2.2 例2 「平行四辺形」のときを調べたい |00627-伊志嶺朱理ー条件替えー0605|#00627-伊志嶺朱理ー条件替えー0605| - きっと, 教科書などでの最初の問題は, 「ABCDが平行四辺形のときに, ...となることを証明せよ」という問題だったはずなのです。 - だから, その条件を満たすには, ABCDを「平行四辺形に保つ」方がいいともいえます。 - 平行四辺形って, どうやって作図するといいのでしょう。 - もともと, A,B,Cの3点がきまると, Dは決まってしまいます。 - たとえば, 平行線を引いて交点をつくるとしたら, こんな感じ |第一段階|#00954-伊志嶺朱理-A| - そして, 舞台裏となる直線などの色を消してしまって,その交点にDを重ねてしまうように束縛条件を編集すると, 次のような感じ |第二段階|#00955-伊志嶺朱理-B| - でも, この図って, なにか面白くないですよね。 - つまり, 「平行四辺形のときにはそうなる」ということを「確認することしかできない」 - 平行四辺形の特別な場合としての長方形やひし形, 正方形について調べることはできるけど, 「ひし形ではつぶれる」ことがわかる程度。 - つまり, 「調べてわかる」としたら, 「平行四辺形でないときにはだめになるが, 平行四辺形ならうまくいく」ということがわかる方が「調べるための図としてはよい」という感じ。 **2.3 「ストーリー性」をつくっていこう ***例1 - きれいに動かすなら, 軌跡(円)に注目してから, 角にいくのもいい。 - 作業を中核にするなら, 点をプロットして, 円をじわじわ見つけるのもいい - 角を等しくしたい / どうしたらいい? *** 例2 - 「平行四辺形」の場合について観察する -- これって, 平行四辺形以外でも成り立つのだろうか。 - 「いろいろな場合について」調べてみる -- 一通りの結果をまず観察し, まとめてみる -- その中で, 「証明に値するのはどんな場合だろう」 *** 「問い」を変えてみる - オープンにする - 逆にする - などなど *3.ある問題を,模擬授業的に取り組みましょう **3.1 「いろいろな発見」をしよう -今日の問題では, きっと「いろいろな発見」があります。 -少し考えてみて,「うーん。そりゃ, あたりまえだな」という小さい発見もある。 -「なるほど」と思える「大発見」もある。 -今日はできるだけ「大発見」に到達したい。 ** 3.2 今日の問題 / まず, グループで10分くらい - まず, 三角形の3辺の外側に, 正方形をかく。 - そこにちょっと追加する。 - この図を動かして, いろいろな場合を調べ, 「発見」をしてほしい。 - グループごとに, 10分くらいかな。 |#00969-0619-01| ** 3.3 全体での発表 / どんなことを発見したか。 - いろいろな発見の発表 - それは「小発見?」それとも「大発見?」 その根拠は? ** 3.4 何したい? - ----- **4. 課題 -A. 次のことを,wordにまとめて提出してください。 -(1)今回の問題に関して,次のことをまとめてください。 -- a.最初のグループでの取り組み(概要) -- b.全体の議論の中で感じたこと(概要) -- c.次に, グループの中で取り組んだこと(概要) -- 「残ったこと」 -- 「その解決」(その後自分なりに取り組んだこと) -- d.「その素材には, 教材として, どんな魅力があるのだろう」 -B. できたら次回のオンライン授業で, 「授業のビデオ」を分析することを試みてみようと思います。 -- まだ, その準備は終わっていないのですが, 行う場合には, 事前に, 授業の会話記録をmlで配信します。 -- 授業の全部, あるいは一部をみて, グループの中で, 授業について「協議」するつもりです。 -- 配布した授業の会話記録等をもとに, 「授業のどこに注目したいのか」を事前に明確にしておくことを求める予定です。 -- 詳しいことは, mlにて配信しますから, 予定しておいてください。 -備考 --今回の模擬授業の事例は,以前,附属名古屋中学校で, 松元先生がとりくんだ実践です。