*条件変えの作図と「軌跡」 *0.はじめに **0.1 「課題提出」に関連して -前回の課題はメール提出でした。まだ署名等に不備がある方がときどきいます。 -今回は, メールではなく, オンライン保存です。 -提出後に直接コメントする機会が減りますが,コメントがほしい方や, 質問をしたい方は, メールを送ってください。 **0.2 「課題」どれくらいの「あいまいさ」がいいのだろう -メールでの指摘の中で, 「グループで取り組んだことをまとめろと言われても,あいまいなので, 何をしていいのかわかりにくい」という指摘がありました。 -たしかに, ある意味「もっとも」な指摘です。 -一方で, すべき項目があまりに明確すぎると, みなさんにとって「自分で考え, 自分たちなりに工夫する余地」がなくなってしまうのも事実です。 -つまり, 「主体的」な学びを考える上では, ある程度「みなさんにまかせる」ことも必要で, そのあたりの相互理解が, むずかしいなと感じています。 -今後, この授業の中でも,考えてみたいと思っています。 **0.3 「提出すべきこと」「共有すべきこと」など - メールで提出し, 個々にチェックした方がいいこと - web上に提出し, 共有した方がいいこと - など, 提出・共有の仕方もかんがえてみたいと思います。 ** 0.4その他「オンライン教育」について -私のところでの試みは, 下記にまとめてみています。 --@@http://www.auemath.aichi-edu.ac.jp/teacher/iijima/online/,http://www.auemath.aichi-edu.ac.jp/teacher/iijima/online/ -最近, こんな話題もありました。 --@@https://gendai.ismedia.jp/articles/images/72974,文部科学省の課長が苦言「いまの日本のICT教育、おかしいです」 --記事の内容, あるいは, リンク先にあるYouTubeでの課長の発言を試聴してみると, いいですよ。 --いろいろなことを実感できます。 **0.5 オンデマンドで「ここに」掲載していることと, リアルタイムのzoom ですることの「差別化」 -ここに書かれていることをそのまま「消化する」ことはあまり考えていません。 -そのやり方の是非についても, お感じのことがあれば, メール等でも指摘してください。 -いろいろな意味で, 「今だからしか経験できないことをいろいろと一緒に実験してみたい」と思います。 *1.宿題の周辺 **1.1「さらに考えてほしいところ」があったのも事実だけど, 作図のスキルの確認が基本的な目的なので... -かなりよくできていたのではないでしょうか。 -今年は人数が多いので, 1日だけでも, かなりの数のデータがオンラインで保存されたことになっていますね。
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**1.2「条件変え」は, すでに, 「アノ」事例で学んでくれている人も多いようですね。 -学んでいた方は, ぜひ, 思い出してくださいね。 **2.「条件変え」とは ** 前回の問題を振り返ってみよう。 -- 前回は, 少しオープンな形になっていましたが, 通常の形になおしてみます。 -原問題1 --線分AB上に点Cをとり, ABの同じ側に, 2つの正三角形△ACD, △BCEをつくる。 --このとき, 線分AEとCDを結ぶとき, 次のことを証明せよ。 --AE = CD -条件変えをした問題1A --上の問題文において, 「正三角形」を正方形に変えたい。 --どうなるか。 ** 基本的な手法 (what if not strategy) - 考えていることを, 「命題としてきちんと表現する」 - その中の構成要素を, 別のものに変えてみる。 - そのとき, 結論が同じように成り立つかどうかを考える。 ** 授業化のねらいのターゲットの一つとしての「条件変え」 - ある程度高次のねらいを実現するための ICT利用 というものを考えるとき,一つの「ねらい」として, 「条件変え」の事例をもとに, 条件変えに関係する学習目標をより達成しやすくするために使う, ということもアリだと思います。 *3.「条件変え」と, 動的幾何ソフトとの関わり **3.1 「動かすこと」で変える。(1) - たとえば, 過去の「四角形の4つの辺の中点を結んでできる四角形」の問題を考えてみるとすると, 次のような考え方もできます。 - 原問題2 -- 長方形ABCDの4つの辺AB,BC,CD,DAの中点をそれぞれE,F,G,Hとし, それらを結んで四角形EFGHをつくるとき, 四角形EFGHはひし形になることを証明せよ。 |#00594-test| - 条件変え問題 -- 「長方形」を「ひし形に」変えるとどうなる(2A) -- 「長方形」を「正方形に」変えるとどうなる(2B) - これらの活動をする上で, 「違う作図が必要なわけではありません」 - 「変形」をすることによって, 一般化や特殊化に相当する条件変えであれば, 行うことができるともいえます。 **3.2 「設定を変えて動かすこと」で変える。(1) |#00587-0605-01| -原問題1は, 「実にいろいろな発展の仕方」があります。 -上記の図は, 上記の問題そのものにぴったり合っている図です。 -- CをAB上のどこにとっても, 結論は成り立つということを確認することができる図 -図をちょっと変えることで, 「違う問題」について考えるのと同じことを実現することができます。 - たとえば --「線分AB上に点Cをとり」, ABの同じ側に, 2つの正三角形△ACD, △BCEをつくる。 -- ↓ --「半直線AB上に点Cをとり」, ABの同じ側に, 2つの正三角形△ACD, △BCEをつくる。 |#00588-0605-02| --「直線AB上に点Cをとり」, ABの同じ側に, 2つの正三角形△ACD, △BCEをつくる。 |#00589-0605-03| - 上の図をもとに, これらの図をつくるにはどうしたらいいのでしょうか。 - それは, 「編集」→「直線」→「ABを選択」→現在「線分」になっているものを, 「半直線」や「直線」に変える。
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**3.3 「設定を変えて動かすこと」で変える。(2) - 点「C」を「線分AB」→「半直線AB」→「直線AB」と変えましたが,「線分ABの『上の方に』」動かす, つまり自由にしたときに, .... という見方もあってもいいでしょう。 |#00590-0605-04| -この場合, 「編集」→「点の束縛条件」→「C」→「自由にする」 -この手続きによって, 変えることができます。
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**3.4 違う気持ちを表現するために, ちょっと工夫した作図をする -原問題1 --線分AB上に点Cをとり, ABの同じ側に, 2つの正三角形△ACD, △BCEをつくる。 --このとき, 線分AEとCDを結ぶとき, 次のことを証明せよ。 --AE = CD - この原問題を「紙」や「教具」で実現しているとすると, 二つの正三角形をくっつけている図をイメージしていることもあります。 - すると, そもそも, Cを動かしたとき, 正三角形の大きさが「変わる」ことって, 不自然です。 - そういう「気持ち」を表現すると, 次のような問題文が教科書に掲載されていることもあります。 問題1B --図のように二つの正三角形△ACD, △BCEが点Cを共有して並んでいます。。 --(1)このとき, 線分AEとCDを結ぶとき, 次のことを証明せよ。 ---AE = CD --(2)右側の△BCEをまわしたとき, この結果はどうなるでしょう。 -こういう場合は, 少し工夫をした作図をしないといけません。 -- 例 |#00592-0605-06| - いずれ, こういう図もみなさんにはつくれるようになっていただけるといいと思いますが, この授業としては, 次のスタンスでいきます。 -- 基本的には, 今はもっと素直な作図のスキルだけでいいと思います。 -- 「今つくりたい人は, 『教えて』と要求してください」
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**3.5 条件変えのために 「作図をしなおす」 - 前回の正方形のように, 「正三角形」を「正方形」に変えるために, 作図をしなおすことが必要な場合も, それなりにあります。 - そういうとき, 生徒の活動として, 「自分で作図できることを求める」方法もあるでしょうし, 「その気持ちに適した図を事前に用意しておいて, 提示する」という方法もあるでしょう。 *4. 「二つの正三角形」の発展のいろいろ(1) -この図は, 単なる正方形への条件変えではなく, もっともっと奥が深いです。 -それを少し実感してみましょう。 **4.1 「正方形」でなく, 「正n角形」へ - これは, みなさんの中でもレポートに掲載していた方, いましたね。 **4.2 「正方形」でなく, 「直角二等辺三角形」へ - これは, みなさんの中でもレポートに掲載していた方, いましたね。 **4.3 「相似な二等辺三角形を構成要素とするような形へ - 証明を読むと, 核になっているのは.... **4.4 「注目する場所を変える」と / 交点を Fとする - 二つの線分の交点をFとしてみます。 - 点Cを動かしてみます。 - このとき, Fの動きについて, どんなことが気になりますか? |#00593-0605-10|
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*5.軌跡 - 上記の「4.4」をモノにする上では, 「軌跡」の機能が必要です。 - 数学で扱う「軌跡」には, 次の二つがあります。 -- 点の動いた跡としての軌跡 -- 条件を満たす点の集合としての軌跡 - 教科書等での軌跡は, 「条件を満たす点の集合としての軌跡」として扱われているのが普通ですが, 数学的な背景としても, 「点の動いた跡としての軌跡」も重要です。 - また, GCの場合には, 「点」だけでなく, 「直線」なども含めて, その対象の動いた跡としての軌跡を扱うことができます。 - 基本的な手順は, -- 「編集」機能として, 軌跡の色を設定する -- 「軌跡のスイッチ」をonにする -- ある点を動かす -- すると, その点の動きに応じて, 注目している点の動きがどうなったかの記録を残すことができる。 ** 5.1 6/5でのグループの中で話し合いをして解決してほしい問題 (20分) *** 問題A -Fの軌跡はどうなっているのか。 |#00593-0605-10| -Cの動きを自由にしたときには, Fの軌跡はどうなるのか。 -そのことを証明せよ。 ** 5.2 「課題」としての「軌跡を探究するのに値している問題」を探せ。 - ある点を動かしたときに, それに連動して動く点の軌跡について考える問題を探してください。 - 宿題とします。 - 備考 -- GCでは二次関数は扱えません。 -- GCでは空間も扱えません。 -- 軌跡が直線や円になる問題が多いでしょうが, 「こんな変わった曲線になる」ことを観察するような事例もいいかもしれません。 **6.グループで取り組もう / いろいろな場合を調べるべき問題 / 条件変えに適した問題の図をつくり, オンライン保存する - 今日は試しに,「3人ずつのグループ」にしてみようと思います。 - みなさんが宿題として考えたきた, 「素材」を出し合って検討し, 「作品」をなるべく多くつくりましょう。 *** 6.2 「いろいろな場合を調べる問題」をつくる - 発案者の名前-いろいろ-0605 という名前で保存する - 必要ならば, 「問題文」を画面の中にいれる。 - つくれきれなかったものは, 「作者」が来週までにつくっておく。 - 適していない問題だった場合には, 適している問題を考えなおして, つくっておく
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*** 6.3 「条件変えの問題」をつくる - 二つの問題を一つのセットとして, つくりたいので, 次のような工夫をする -- 「エキスパートモード」にする -- 元になる問題を「Data0(ステップ1として使える)」に保存する -- 条件を変えた問題を「Data1(ステップ2)」に保存する -- 必要ならば, 問題文を点の名前として, いれておく。 -- 「複数」として 「発案者の名前-条件変え-0605」という名前で保存する
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----- **7. 課題(再掲) -A. 今回, 課題として持参してきた次の二つの問題に関して「6」にある要領で, オンライン保存する。(次回授業までに間に合うように) -B. 次回までに, 次の事柄に相当する「問題文」を教科書, 問題集, あるいは自作問題をつくってword等に記述しておき, 次回の授業のときに, 「コピー & ペースト」で提出できるようにしておくこと。 -- 「(点の動きとしての)軌跡を調べる」ことに値する問題 (1つ) -- 「条件を満たす点の集合としての軌跡を調べる」ことの値にする問題(1つ) --- なお, 「条件を満たす点の集合としての軌跡」がよくわからなければ,パスしてもいいです。 -備考 --今回は, メールで提出する課題はありません。 --質問等に関しては, メールで問い合わせていただければと思います。